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サタン@現実世界/カイ・グランデ編

荒らされた家といなくなった令嬢

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家に入った瞬間、異変に気づく。

ぐちゃぐちゃにされた家具。

床についた足跡。

そして、血痕ーーー。



「オリヴィア!!!」



俺は喉が張り裂けんばかりに彼女の名を呼んだ。

しかし、返答は無い。

俺は自分がしてしまったことを今さら後悔する。

何を呑気に飲んでんだ。

自分の仕事を放棄して。

いや、それは建前。

俺は。

自分の好きな人も守れない。

正真正銘のゴミクズだ。

「ぐぅっ……!クソがーーー!!!」

自分への苛立ちを無人の部屋で叫ぶ。

あの血痕はオリヴィアのものだろうか。

俺は居ても立っても居られず、そのまま外へ飛び出した。

(いや。普通に考えればオリヴィアはレスター卿に対する反乱軍の交渉材料にされるはずだ。だから、まだ生きてはいる可能性は高い……!)

だが、命は取られていないにしても、暴力やひどいことをされている可能性はある。

そう考えると最悪な気持ちになった。

それに、ある疑問が頭を渦巻く。

(なぜ場所がバレた……?今まではバレなかったのに、今日に限って……)

考えられるとしたらーーー。

考えたくない結論がそこにある。

ーーーペイジだ。

俺は信頼していたあいつにしか打ち明けていない。

しかし、その瞬間に起きたこの出来事。

関連が無いと考える方が不自然だ。

思えば様子がおかしかったのもそのせいかもしれない。

ひとまず、まだパブにいるかもしれないと考えた俺は、さっきまでいた店に向かってダッシュした。



「親父!ペイジは!?」

店に入るなり、店主の胸ぐらを掴んでペイジの居場所を聞き出す。

「いててて!よせ、カイ!ペ、ペイジならさっき出てったよ!」

「なんか言ってたか!?」

「な、なんか大金が入るかもとか言って、嬉しそうにしてたよ」

「大金だと……?クソ……!そんで奴はどこ行った!?」

「し、知らねえよ……。でも、なんか廃工場がどうのって言ってたような……」

「廃工場?」

嫌な響きだ。子供の頃を思い出す。

だがこの辺で廃工場といえば、あそこしかない。

確かにあそこなら秘密裏な取引もできそうだ。

ーーー俺は突入の決意を固めた。

「オリヴィアに何かあったらタダじゃ済まさねえ……!」

「わ、わかったから、とりあえずこの手を離すんだ……」


「罪のねぇ女さらって……それが男のやることかぁァーーーーー!!!」


「いや、オレ関係ないから!!」


「ぶっ●すぞ!!この野郎ーーーー!!!」


「オレに言わないで!!」

俺は店主の胸ぐらを掴んだまま叫び続けた。



パブを出ると、俺は一度自宅に戻った。

"ある物"を持っていくためだ。

「ぶっ●す……!ぶっ●す……!」

そして、オリヴィアの片付けの時にも見つからなかった床下から"ソレ"を取り出した。

ーーー闇金から借金してまで買った散弾銃。

オリヴィアに危害を加えていたら、こいつでペイジ達をぶち抜いてやる。

俺は本気だった。

そのまま背中に背負って、ジャケットの下に隠し持つと、俺は再び外へ飛び出した。
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