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第28.5話 オルクスは意外とモテる?
「美味い!メリッサまた料理上手くなったね!」
「あ、ありがとオルクス」
オルクスがそう言うとメリッサは恥ずかしそうにオルクスから目を逸らした。
第二広場の片隅にオルクスが幼少期の頃から通う酒場がある。
そこは店主のオルゲンとその娘メリッサの2人だけで営業しており、他所からみればいつ無くなってもおかしく無いほどにその建物はボロかった。
「しかしオルクスよぉ、お前ん家ももう以前とは比べ物にならないくらい大金持ちになったんだから、こんなボロ酒場なんかで飯食ってねぇでもっとちゃんとしたとこ行ったらいいんじゃねぇか?」
「いやいいんだよおやっさん俺はここが好きなんだ、それに俺はメリッサの作るご飯がこの街で1番美味しいって思ってるし」
「そ、そんなことないよ……オルクスおかわり食べる?」
「まったくお前らはよぉ」
オルクスは何の気もなくそう言っているが、他所から見れば2人のその様子はもはや惚気以外のなにものでもない。
そんな2人の様子を見てか店主であるオルゲンもオルクスにならこの店を任せられるとさえ思っていた。
「あ!オルクスそういえば国営ギルドの冒険者になるんだっけ、おめでとう!」
「え、あ、ああそうだねありがとう」
嬉しくなかった、オルクスは正直言って国営ギルド天神会に行きたくない。
何故なら、幼少期散々自分を振り回した挙句、お前はセンスがないから破門かなとまで言った元先生ゲルマンが会長を務めているからである。
「本当すげぇよなぁ、天神会と言えばあのゲルマン・ディアスが会長を務める王国最強の集団だもんな」
「げ、ゲルマン……」
その名を聞いたオルスクの頭に過去のトラウマがよぎった。
「ど、どうしたのオルクス、そんなにひどい顔色してもしかして何か良く無いものでも入ってた?」
「い、いやそう言うわけじゃなくて、実は今日なんだか調子悪くて」
「だ、大丈夫?」
「う、うん」
ゲルマン・ディアスはこの国の人にとって英雄である。
その昔、ゲルマンには王をあの魔人族から救った過去があり、それ故にゲルマンに対する国民のイメージは気高く強い冒険者であるが、弟子であるオルクスからすればゲルマンはギャンブル好きのただの爺さんである。
「そ、それじゃそろそろ俺行くね」
「え、もう行っちゃうの?」
「う、うん実はそのゲルマン・ディアスに呼ばれててさ」
「えー!凄いね!」
「すげぇなオルクス!」
「いや凄くない、凄くない」
オルクスはそう言って重い腰をあげた。
「いってらっしゃいオルクス!また来てね!」
「ああ、また来るよ」
酒場を後にするオルスクの背中を見て、メリッサは直感的にもうオルクスはもうここには来ないのかもしれないと考えてしまった。
「ねぇお父さん、オルクスまた来るかな」
「ああまた来るよ、きっとな」
それを聞いたメリッサは、寂しさでいっぱいになりオルクスを引き止めたいと思った心をぐっと堪えてオルクスを見守った。
あれから半年ほど経ったが、あれ以降オルクスは一回も酒場に現れなかった。
「今日も来ないか……」
「おいメリッサ!4番テーブルにこれ運んでくれ」
「うん、わかった!」
カウンターで料理を受けとったメリッサは4番テーブルへと向かった。
4番テーブルにいるのはローブをした男女2人で、なにやら怪しい雰囲気があった。
「お、おまたせ致しましたトマトとナスのオーブン焼きです」
メリッサがそう言ってテーブルに料理を置くと男の方がローブをとった。
「ありがとうメリッサ、あと久しぶり」
「お、オルクス⁉︎」
半年ぶりに見るオルクスの雰囲気は、まるで何年も前線で戦ってきた冒険者のようなものだった。
「いやぁごめんね最近行けてなくて、仕事が忙しくてさ」
「何が忙しいよ、勝手に厄介ごと運んできてるのはあんたの方じゃない」
「ごめんよティア、でもゲルマン先生やバーバラさんの依頼が結構難題多くてさ」
「言い訳はもういいわよ」
そう言ってティアナは届いた料理を食べ始めた。
「あ、待って、それは俺が頼んだやつ……」
「うっさい!あんたはパンでもかじってろ!」
「そ、そんなぁ俺それ好きなのに」
オルクスはそう言うとがっくりと肩を落とした。
そんなオルクスを見てメリッサは、雰囲気は違ってもいつものオルクスだと確信した。
「安心してオルクス、今すぐにまたもう一つ私が作るから!」
「え、本当メリッサありがとう!」
そうしてメリッサは嬉しそうに厨房へとかけていった。
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