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第44話 オルクスとエンダート
「おい」
「うわぁ、急に後ろに現れるなよ」
俺は王妃の身柄を天心会へ預け、エンダートとアックスの下へと戻った。
「おおオルクス!もう終わったのか!」
「ああ終わったよ、悪いなアックスこんな奴の見張りなんかやらせて」
「こんな奴⁉︎」
「別に構わんよ」
王妃はああ言ってたけど、さてエンダートの奴はどうしようかな。
「おいオルクス、お前一体何処へ行っていたんだ?」
「ああ、お前の母さんのところへ行ってたよ」
「母上だと!貴様母上に何をしたんだ、事と次第によっては私は貴様を許さんぞ」
「端的に言って捕まえたかな」
「な、なんだとぉ!」
エンダートはそう叫び、俺を強く睨んだ。
はぁこいつ助けるのやめようかなぁ。
「お前の母さん……王妃は今回の件の全ての責任を取るって言って俺に拘束されたんだ」
「は、母上」
エンダートはそのまま下を向いて動かなくなってしまった。
やっぱりまだ子供だな、仕方ないこのまま王妃の言う通りこいつは不問にするか。
「まぁそんなわけで今回の一件での責任はお前にーー」
「待てオルクス!母上は間違っておる、今回の黒幕はこの私だ、母上ではない!」
「え?」
「私は軍部と仲が良い、故に軍を動かすかどうかも私が決められる、そして私は魔人であるそのため魔人族にも顔が利く」
なんだ急に、まさか母親である王妃を救おうとしてるのか。
こいつ……ちょっとカッコいいな。
「つまりだオルクス!母上は解放してやってくれ、その代わりこの私がどんな罰も受けよう」
そう言ってエンダートは頭を下げた。
はぁ、まったく2人とも似た者親子ってわけか。
「いいやエンダート、お前は今回不問にするよ」
「なぜだ!お前話を聞いていたのか?」
「多分だけど、お前は今回の責任についてよくわかっていないと思うんだ」
「え?」
俺がそう言うとエンダートは頭を上げた。
「今回の件はもしかしたら国が滅んでいたかもしれないほどの事件なんだ、そんな事件を次期王候補が引き起こしたとなれば国内だけじゃなく、諸外国にもマイナスなイメージになる」
「わ、わかっておる」
「いいやわかってないね、お前普通に死刑になるからな」
「へ?」
王国滅亡の危機を招いたのが王候補筆頭のエンダートだと知れれば、国民はまず許さない。
故にエンダートは死刑になる、王妃はそれが一番嫌だったのだろう。
だからこそ責任を全て自分が背負う事にした、エンダートは母である王妃に利用された可哀想な子供、そう国民に解釈されたいのだ。
そこまでエンダートはおそらくわかっていない。
そんな奴に責任を負わせるのは酷だよな、まぁこいつには俺が個人的に罰を与えるけど。
「だがそれは王妃の意思ではない、故にエンダートお前には今回の件の罰として俺と一緒に来てもらうぞ」
「は?なんでお前と一緒について行かねばならんのだ、それに私は死刑になる覚悟を持ち合わせておるぞ」
「そんな悲しいことを12のガキが言うなよ、親が泣くぞ」
「お前だってまだ15、6のガキだろうが!」
王妃はエンダートは大人びているけどまだ子供と言っていた。
なんとなくその言葉の意味がわかった気がする。
エンダートは確かに言動は大人のそれかもだけど、まだ本質的な意味がまるでわかっていない。
つまり幼いエンダートは格好だけを気にするあまり、軍部に燻る王政府から軍主体の政府への転向をねらう派閥に担がれて今回の一件を引き起こしたのだろう。
なるほどな王妃はそれをわかっていたから俺に大目に見るようにと頼んだわけか。
まったく困った親子だ。
「はぁ、お前も実は可哀想なやつなんだな」
「オルクス貴様失礼な奴だな」
なんだか今回の一件は最初から最後まで王妃の手のひらで踊らされた気分だな。
「アックス!色々ありがとな、また今度話そう」
「おう!」
俺は半分置物になっていたアックスに別れを告げた。
「じゃあ行くかエンダート」
「行くってどこへだ?」
「アビリティ発動ー異空間の扉」
「なっ、なんだこれ!」
エンダートは異空間の扉を見ると驚いて腰を抜かしてしまった。
そんなビビるほどかな。
俺はそんなエンダートを無理やり担いで、扉をくぐった。
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