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第四話 初めての奴隷
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【リディス】
レベル:10
ジョブ:なし
種 族:人間
性 別:女
年 齢:18歳
状 態:普通
【ステータス】
生命力:5
精神力:4
持久力:5
筋 力:5
技 力:9
魔 力:4
呪 力:1
神 力:1
【ジョブ一覧】
なし
【スキル一覧】
≪ 剣 術 ≫Lv1
≪魔術の才能≫
おじさんの期待通りに鑑定が作用する。物だけでなく人にも影響があると知れたのは収穫だった。
ステータスやジョブにスキルなど、現実感のない情報だが戦闘能力を推し測る材料には十分。他の少女にも鑑定を行った結果、スキルを複数持つのはリディスという名の少女一人で、魔術の才能という名称にも惹きつけられた。
目の下にクマが刻まれているが顔立ちは整っている。金髪は自然な色合いで、緩い二つ結びのウェーブがかった毛先が両肩にのっていた。
お洒落に見えるよう身ぎれいにするのは店側の仕事だ。おじさんも風貌自体に魅力を感じて最後の決断を下す。
「正面の子でお願いします」
「はい、かしこまりました」
執事服の女性と共に、他の少女四人は部屋を出て行った。
「リディスです」
一人で残った少女がお辞儀をする。自分よりもマシな買い手はいくらでもいると卑下するおじさんは、できるだけ丁寧な対応を心掛けると誓った。
「強みや戦い方を聞く前の決断。ムラヒト様のお眼鏡にかないましたようで、よかったです」
鑑定が周囲へ気づかれなかったのは、ヴィネアの反応で分かる。つまり、下心のみで決めた風に外からは見えていた。
「剣の扱いを学んだ経験があります」
淡々とした口調でリディスが説明するが、魔術の才能に関して言及はない。
「気になることがあれば、お聞きくださって構いませんよ」
おじさんはヴィネアの言葉に頷きを返す。
「魔法の知識はどれぐらいありますか?」
「どんなものかを知っている程度です。魔法自体は使えません」
スキルを見る限りでは才能を持っていても興味が薄いパターン。おじさんの望みは魔法を覚えてもらったうえで、指導を受けることだ。
この場で細かい質問を繰り返しても与える印象は逆効果。懐が深いと勘違いするぐらいが良好な関係を気づけると考えたおじさんは、話を切り上げようとしたところでハッとする。この後の流れが支払いなのをすっかり忘れていた。
巾着袋があるとはいえ、値段を聞かずにいたため急な怖さが出る。ここまできて断れば出禁もあり得た。初来店で冷やかしと捉えかねない行動は避けるべきだった。
「値段を教えてもらっていいですか?」
「金貨五十枚になります」
肝を冷やすおじさんは笑顔で答えるヴィネアに愛想笑いを浮かべた。
リュックを開けてアダルトグッズに気を付けながら巾着袋を調べ、中身がまともな金貨だと信じてテーブルに出していく。
慎重に五枚積みで並べると十セットに足りてなお、巾着袋には余裕があった。
「はい、確認致しました。最後に注意事項等を説明させていただきます。奴隷の期間は一年間で、ムラヒト様には衣食住の世話をお願いすることになります。性的な行為は禁止です」
戦いのサポートを頼んだ条件としては妥当と言えた。
「もし妊娠させた場合、奴隷の契約は破棄されますのでご注意ください」
金貨五十枚の価値にはピンとこないおじさんだが、丸々棒に振るのが愚かなのは分かる。軽く考えて間違いを犯すと出禁に加え、ブラックリスト入りで他店でも奴隷を変えなくなる恐れがあった。
気の迷いを起こさない自制心を保つ。物事を下半身で考えないことが、奴隷との生活に必要な姿勢だった。
「納得いただければこちらへ」
ヴィネアがソファーを立って、テーブルの向こうへ移動する。おじさんも続いて横に立つと、手を取られて硬直した。
「では契約に移ります」
リディスの手も取られて熱を帯びる。甲の辺りに複雑な紋様が浮かび上がり、鎖の音が聞こえてきた。
次の変化に備えていたおじさんだったが、ヴィネアの手が離れる。すでに紋様は消えて違和感もなかった。
「これでリディスさんはムラヒト様の奴隷になりました。基本的に命令順守ですが性行為の強要などはできません。もし、反抗的な行為があった場合はお知らせください」
おじさんは多少の失礼は許せるどころか、むしろ見下されたほうが気楽になる。端的な表現で、エム寄りの気質を持っているため反抗的な行為も受け止めたかった。
レベル:10
ジョブ:なし
種 族:人間
性 別:女
年 齢:18歳
状 態:普通
【ステータス】
生命力:5
精神力:4
持久力:5
筋 力:5
技 力:9
魔 力:4
呪 力:1
神 力:1
【ジョブ一覧】
なし
【スキル一覧】
≪ 剣 術 ≫Lv1
≪魔術の才能≫
おじさんの期待通りに鑑定が作用する。物だけでなく人にも影響があると知れたのは収穫だった。
ステータスやジョブにスキルなど、現実感のない情報だが戦闘能力を推し測る材料には十分。他の少女にも鑑定を行った結果、スキルを複数持つのはリディスという名の少女一人で、魔術の才能という名称にも惹きつけられた。
目の下にクマが刻まれているが顔立ちは整っている。金髪は自然な色合いで、緩い二つ結びのウェーブがかった毛先が両肩にのっていた。
お洒落に見えるよう身ぎれいにするのは店側の仕事だ。おじさんも風貌自体に魅力を感じて最後の決断を下す。
「正面の子でお願いします」
「はい、かしこまりました」
執事服の女性と共に、他の少女四人は部屋を出て行った。
「リディスです」
一人で残った少女がお辞儀をする。自分よりもマシな買い手はいくらでもいると卑下するおじさんは、できるだけ丁寧な対応を心掛けると誓った。
「強みや戦い方を聞く前の決断。ムラヒト様のお眼鏡にかないましたようで、よかったです」
鑑定が周囲へ気づかれなかったのは、ヴィネアの反応で分かる。つまり、下心のみで決めた風に外からは見えていた。
「剣の扱いを学んだ経験があります」
淡々とした口調でリディスが説明するが、魔術の才能に関して言及はない。
「気になることがあれば、お聞きくださって構いませんよ」
おじさんはヴィネアの言葉に頷きを返す。
「魔法の知識はどれぐらいありますか?」
「どんなものかを知っている程度です。魔法自体は使えません」
スキルを見る限りでは才能を持っていても興味が薄いパターン。おじさんの望みは魔法を覚えてもらったうえで、指導を受けることだ。
この場で細かい質問を繰り返しても与える印象は逆効果。懐が深いと勘違いするぐらいが良好な関係を気づけると考えたおじさんは、話を切り上げようとしたところでハッとする。この後の流れが支払いなのをすっかり忘れていた。
巾着袋があるとはいえ、値段を聞かずにいたため急な怖さが出る。ここまできて断れば出禁もあり得た。初来店で冷やかしと捉えかねない行動は避けるべきだった。
「値段を教えてもらっていいですか?」
「金貨五十枚になります」
肝を冷やすおじさんは笑顔で答えるヴィネアに愛想笑いを浮かべた。
リュックを開けてアダルトグッズに気を付けながら巾着袋を調べ、中身がまともな金貨だと信じてテーブルに出していく。
慎重に五枚積みで並べると十セットに足りてなお、巾着袋には余裕があった。
「はい、確認致しました。最後に注意事項等を説明させていただきます。奴隷の期間は一年間で、ムラヒト様には衣食住の世話をお願いすることになります。性的な行為は禁止です」
戦いのサポートを頼んだ条件としては妥当と言えた。
「もし妊娠させた場合、奴隷の契約は破棄されますのでご注意ください」
金貨五十枚の価値にはピンとこないおじさんだが、丸々棒に振るのが愚かなのは分かる。軽く考えて間違いを犯すと出禁に加え、ブラックリスト入りで他店でも奴隷を変えなくなる恐れがあった。
気の迷いを起こさない自制心を保つ。物事を下半身で考えないことが、奴隷との生活に必要な姿勢だった。
「納得いただければこちらへ」
ヴィネアがソファーを立って、テーブルの向こうへ移動する。おじさんも続いて横に立つと、手を取られて硬直した。
「では契約に移ります」
リディスの手も取られて熱を帯びる。甲の辺りに複雑な紋様が浮かび上がり、鎖の音が聞こえてきた。
次の変化に備えていたおじさんだったが、ヴィネアの手が離れる。すでに紋様は消えて違和感もなかった。
「これでリディスさんはムラヒト様の奴隷になりました。基本的に命令順守ですが性行為の強要などはできません。もし、反抗的な行為があった場合はお知らせください」
おじさんは多少の失礼は許せるどころか、むしろ見下されたほうが気楽になる。端的な表現で、エム寄りの気質を持っているため反抗的な行為も受け止めたかった。
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