隠れ勇者の居残りハーレム

Na7saka

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第一章 ファーストセックスから始まる物語

第1話 魔王が討伐された日  

 勇者として異世界に召喚されて一週間、魔王が倒されたとの一報が入った。十二代目、つまりは一つ先輩に当たる勇者が倒したらしい。

 魔王が現れたのは二十年以上前だと聞いている。この世界の住人にとっては喜ばしい限りなんだろうけど、俺には肩透かしでしかなかった。この一週間、したことと言えば文字の勉強ぐらいだ。

 勇者の召喚は一年に一回できていたらしく、十二代目が一年間生存したために予備として呼んだとのこと。先代が死んでから呼ぶわけにはいかなかったのかと思ってしまうのは、魔王との戦いを知らない身だからなのかもしれない。

 おそらく、これから国を挙げての祭りが行われるに違いない。魔王を倒した暁には元の世界に返してやる、と丁寧な言い方で言われたが、果たして俺も帰れるのかどうか。

 この世界に来た当初のわくわくもネットにつなげない環境下では日に日に薄れていく。やっぱり現代っ子だったんだなと実感する一週間だった。

「ん?」

 誰かから呼ばれた気がして振り返ろうとした瞬間、身体から力が抜ける。

「あ、れ……?」

 派手に床へ倒れ込んでしまうが痛みはない。そして、まぶたが重くなり抗えずに閉じてしまった。



 ◇



 決して大きくはない部屋、床には赤い絨毯が敷かれてその先に大きな執務机が配置されている。部屋の明かりは執務机のライトだけ。そこで燃えるような赤い髪を軽くまとめた女性が筆を走らせていた。

 年齢のほどは大人であることしか一目では分からず、目じりのしわから推し量ることしかできない。そして、その部屋にノックの音が響いた。

「入れ」

 赤髪の女性が手を止めずに答える。

「失礼します」

 ドアを開けて部屋に入ってきたのは騎士服を着た一人の女性。白に近い金髪は短く整えられ、意志の強い瞳が真っすぐ前を見ていた。

「少し待て」

「はっ」

 執務机の前で騎士が姿勢よく待機する。

「魔王が討伐された」

「それは……」

「十二代目の勇者がやってくれた。明日の朝、発表を行う」

 騎士は言葉を詰まらせ、こぶしを握った。

「喜ぶのが早いことは分かっているな?」

「もちろんです」

「辞令だ」

 赤髪の女性が筆を走らせていた紙を騎士に渡す。

「紅百合騎士団、ですか」

「本来であれば仰々しく発表したいところだが、それは後でもいい。お前の年齢はいくつだった?」

「二十二です」

「同等かそれ以下の年齢の騎士を二十人前後選べ。他の条件は女、それも純潔であること」

「純潔……?」

 予期せぬ言葉に騎士はつい聞き返してしまう。

「なんだ、男とまぐわった経験があるのか?」

「……陛下、少々言葉使いが下品かと」

「くっくっく、ちなみに言うと私はある」

「知っています」

 にやりと笑みを見せた赤髪の女性に、騎士の表情が柔らかく崩れた。

「紅百合騎士団は象徴的なものにしたい。魔王が討伐された証としてのな。まあ、それは前提でしかないが」

 赤髪の女性は椅子に深く背中を預け、横を向いた。

「十二代目の勇者は元の世界に帰ることを選んだ」

「各国もそれを望んでいるでしょう」

「だが、やつらはもう一人勇者がいることを知らない」

「十三代目の勇者を一部の者のみに伏せていたのは……」

「十三代目をどう思う」

「……直接話をしたことはありませんが、落ち着きのある人物だと聞きました」

「見た目は?」

「ネルクシア王国にはいないタイプでしょうか」

「抱かれるとしたらどうだ?」

「……抱かれてもいいと感じる女性は少なくないと思います」

「私なら抱いてやってもいいと思うがな」

「陛下……」

「お前はどうなんだ」

「私は……強く拒むことはないかもしれません」

「そうこなくてはな。騎士の基準に追加だ。十三代目の絵姿を見て好印象を持つ者を選べ」

 騎士はいぶかし気にするも、短く返事をする。

「お前は落ち着きある男だと思っているのかもしれないが、女の乳と尻を凝視していたのを私は見た」

「……」

「胸元の開いたドレスで迎えてやった時の目の泳ぎよう、お前にも見せてやりたかったぐらいだ。いや、その機会はいくらでもあるな」

 騎士の憮然とした表情とは違い、赤髪の女性は小気味よく笑っていた。

「あれはむっつりと言うのか?」

「陛下の前で緊張しない男性はいません」

「後はそうだな、名前を決めておけ」

「十三代目のでしょうか?」

「元の世界の名前を使うのはなしだ。そして勇者でもない。孤児としてヘンドリクセン家に養子に入った、という設定でいいだろう。お前の家には私が一筆書いて送っておこう」

「……随分と楽しそうですね」

「魔王が討伐されたんだぞ?」

「喜ぶのが早いという言葉はどこへいったのでしょう」

「それはそれだ」

 そう言って赤髪の女性は姿勢を正し、執務机に肘をついた。

「で、結局お前は純潔なのか?」
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