隠れ勇者の居残りハーレム

Na7saka

文字の大きさ
2 / 21
第一章 ファーストセックスから始まる物語

第2話 性処理要員  

「ん……」

 身体が重い。上半身を起こして状況を確認すると、どうやら応接セットのソファーで横になっていたようだ。部屋は薄暗く記憶にない場所だった。

「起きたか」

「っ!」

 声がした方向を見る。執務机に座る一人の女、窓から入ってくる月明りに照らされ短い髪が白く光っているようだった。誰かがいたという驚きよりも、その美しさに目を奪われてしまう。

 その女は立ち上がり、テーブルを挟んでソファーに座った。

「魔王が討伐されて今日で一週間になる」

「え?」

「色々と言いたいことはあるだろうが、聞いてほしい」

 いや、討伐されてからって……。

「十二代目の勇者は今朝、華々しく元の世界に帰っていった。その時に君も一緒に帰ってもらうはずだったんだが、監禁されていたらしくてな」

「……」

「見つかったのがついさっき。特殊な魔法がかけられていたため身体に異常はなかった。そして、召喚と同様に帰還を行うのにも同等かそれ以上の月日がかかる」

 と、いうことは……。

「俺はすぐに帰れない?」

「そうなる。帰還の準備は魔王の討伐が知らされた瞬間から行われていた。複雑な魔法のため途中で止めることができない類のものだ。発動か失敗してしまえばまた一年以上の期間が必要になる。元の世界に帰りたいと申し出た十二代目勇者の怒りを買うことはできないとの判断だった」

「……力のある勇者でなく、召喚したばかりで力のない俺ならどうにでもできるから?」

「その通りだ。申し訳ない」

 目の前の女が頭を下げた。

 俺も重い頭を動かすが、考えが上手くまとまらない。

「それでだ、我が国で新しく紅百合騎士団が設立された。君をそこの預かりにしたいと考えている」

「騎士団の……?」

「従士扱いだが悪いようにはしない。紅百合騎士団は私を含め二十三人の女性騎士で構成される。スタッフを含めればもう少しいくんだが」

「騎士として働くってこと?」

「いや、働くのも働かないのも自由だ」

「それは……」

 意図が分からない。女の集団の中に男が一人っていうのもな。

「君は紅百合騎士団に所属する騎士をいつでも好きにしてくれていい」

「好きにって……?」

「紅百合騎士団に所属する者は国に全てを捧げる意思表示として、純潔を守る必要がある。しかし、我々も女だ。男を意識してしまうこともある。若い騎士を集めているため、間違いが起こることを非常に危惧している」

 真面目な顔で何を言ってるんだか。純潔がどうとか元の世界なら炎上ものだ。そういう人権が無視される部分は実に異世界だった。

「紅百合騎士団は魔王が討伐された証、言わば象徴として設立された。そこに泥を塗るような出来事があってはならないと考えている。そこで君の出番だ」

「俺の?」

「勇者は神の使いとされている。そんな存在に抱かれたからといって純潔が失われることはない」

 完璧な理論武装だな、ってなるのか? つまりは……。

「性処理要員?」

「間違いではないんだが、私のような女を抱くのは嫌か?」

「それは……」

 抱けるならいくらでも抱きたい。日常的な騎士服、でいいのかこれは。何かの鳥が刺繍されてとても綺麗だ。ロングスカートにはどこか優雅さがあり、ベルトなどの細かいデザインにも気合が入ってるのが見て取れる。それに、胸の膨らみがすごかった。こんな美人でプロポーションのいい人に出会ったのは初めてだ。

「とりあえずは一晩考えてみてほしい。そうだ、自己紹介がまだだったな。私は紅百合騎士団の総長を任されたイヴ・ヘンドリクセンだ」

「あ、俺は」

「クロクス・ヘンドリクセンを名乗ってもらいたい」

 耳馴染みのない名前が頭に入ってこない。

「クロクスは孤児になる。そして、我がヘンドリクセン家が養子として迎え入れた」

「勇者を名乗るなと?」

「その通りだ。国としての不手際を知られたくないため、そう思ってくれて構わない」

 一気に話を聞いてあれだったが、監禁されてたんだもんな。話を信じるならだけど。

「今日はもう遅い、体調も万全ではないはずだ。部屋へ案内しよう。ベッドの上でゆっくり眠るといい」

 騎士の女、イヴが立ち上がって部屋を出ていくので後を追う。部屋ではあまり感じなかったが、廊下に出てみて新しい建物なのが分かった。床はゴシック調のタイルが綺麗にデザインされている。天井の所々がアーチ状になっていて、機能性以外の部分を意識した建物なのが窺えた。

 階段を一つ下りて左右の壁が窓になっている渡り廊下を進む。

「こっちが居住用の建物だ。部屋の机に簡易的な敷地図を用意しているので確認しておいてくれ。入るのを禁止している場所は特に設けていない。風呂場は大浴場が一つだが、いつ使ってくれても構わないだろう」

 お気遣いどうもと受け取ればいいのか。

 居住用の建物の廊下、窓から見た感じおそらく二階、を歩いて最奥の部屋が俺の部屋らしい。立ち止まったイヴがドアを開けてくれたので中に入った。

 ドア横のスイッチを入れると部屋が照らされる。第一印象は単純に広さを感じた。中央に大きな絨毯が敷かれ、応接セットが置かれている。その奥には執務机があり、全体的に落ち着いた色合いだ。

 窓際にはどこか懐かしいロッキングチェアがあった。調度品はよく見ると細かい意匠が施されている。雑には扱えないな。

 入口から見て右側に部屋が続いていたので行ってみると寝室だった。中央奥に一人で寝るには大き過ぎるベッドがあり、その手前足元にまで絨毯が敷かれている。壁際に置かれたキャビネットの脚が細くて不安になるのは下々の考えかな。

「何か問題点はあるだろうか」

「もう少し家具と調度品を安いやつにしてもらえると助かる」

「そこは慣れてほしい。では、いい夢を」

「え、ああ……おやすみ」

 寝室から出ていくイヴを見送る。部屋の明かりが消えるとドアの開閉音がして、静かになった。

「はぁ……」

 異世界に呼ばれて一週間経ったと思ったら、さらに一週間意識を失っていたなんて訳が分からない。まったく、怖い世界だ。靴を脱いでベッドに身体を投げ出した。

 今は女をあてがってやるから大人しくしておけ、ということなのか。実感はなくても魔王を倒した勇者と同等の力を発揮できるポテンシャルはあるんだろう。ただ、邪魔なら殺せばいい気もする。今の俺なんてこの世界の住人からしたらミジンコレベルに違いなかった。

 殺せない理由があるとか? 元の世界に帰るのも死ぬのも、そう変わらないと思うけど。色々と疑問はあっても事情を知らな過ぎて考えるだけ無駄な気がしてきた。

「……寝るか」

 どうにも頭が重たいままだ。あとは明日の自分に任せよう。



 ◇



「早かったじゃない。戻ってこないかと思ってた」

 部屋に入ってきたイヴを一人の女性が迎える。背中に伸びる髪は見事な金髪で、メガネをかけた姿が理知的な印象を持たせていた。

「覚悟はしていたんだがな」

 二人はテーブルを挟んでソファーに座る。

「わざわざ二度目のお風呂にも入ったのにね」

「それは……汗を流すためだ」

 イヴは気まずそうに頬をかいた。

「彼はどうだったの?」

「取り乱す様子はなかった。返事は保留だが手ごたえはある」

「あなたに迫られて落ちない男の人はいないわよ」

「迫ったつもりはない。だが、陛下の仰った通りだった」

 メガネをかけた女性は間を空けるイヴを黙って待つ。

「……私の胸の辺りをじっと見ていたように思う」

「ぷっ……ふふ」

 たまらず笑う女性にイヴはため息をついた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。