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第2章 新国家「エデン」
第31.5話 「サタン」
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ラーマの悲鳴が戦場に轟いていたころ、皇太子アンドレアは呆然と殺しあう兵士たちを見ていた。
(何故だ? 何故こんなことになった?
混乱する戦場を利用してラーマを奪い、国に連れ帰って祝言を上げる予定だったはずなのに・・・
どうして、こんなことに・・・?
私はこれからどうすればいいっ!?)
混乱する頭の中、必死に正解を導きだそうとしても、この異常事態を解決することなど不可能であった。
そうして頭を抱えた皇太子が乗る馬の頭の上に一人の美少年が天からゆっくりと降り立った。この世の者とは思われぬほど美しい全裸の美少年。アンドレアが裏切りを決意したあの時、夢で見た高位の存在だった。
地獄絵図のような混乱の戦場に取り残されたアンドレアはその美少年を見た瞬間に、泣きながらその美しい足に縋り付き、助けを請う事しかできなかった。
「お助け下さいませっ!! 御身の御言葉に従ってラーマを奪いに来たら、この混乱ですっ!!
どうか、私をお導き下さいませっ!! ラーマをっ!! ラーマの下へお導き下さいませっ!!」
アンドレアは地獄に仏を見たかのように救いを求めたのだが、その美少年は仏ではなかった。そればかりかアンドレアを足蹴にして落馬させると、軽蔑の眼差しを向けるのだった。
すがろうとした相手に無下にされて混乱したアンドレアは声を上げて抗議した。
「私は御身の望んだままに行動したまでっ!! どうしてこのような仕打ちを受けねばならんのですかっ!?」
美少年はアンドレアにそう言われても相変わらず軽蔑の目をむけたままだった。それどころか自分の一物を握ると、アンドレアの美しい顔に向けて小便をするのだった。
アンドレアは悲鳴を上げたが、不思議なことに体は一ミリたりとも動かせず、ただ美少年の小便を浴びせかけられるだけだった。
「皇太子、試練に敗れた者よ。お前はなりそこなったのだ。
己の欲に負け、誘惑に負けた。
見ろ、この戦場に横たわる屍の海を。そう。お前の痴情がもたらした惨劇を見るがいい。
死んだ兵士と夫を亡くした妻の叫びを心で聞くがいい。父親を亡くしたがために収入が無くなり、食事を得られずに死んでいく子供のうつろな瞳を思い描くがいい。
お前が寝ているときも起きているときも、死んだ後もその瞳はお前を見ているぞ。」
「わかるか、皇太子。お前はラーマを奪うのではなく、ラーマを支えてやらねばならなかった。
この狂った戦況の中でも未だなお和平実現を信じているあの純粋な娘をお前はどうして助けてやらなかったのだ?
お前は何故、愛を持ってラーマに接しようと思わなかったのだ?
今この場で殺しあう私利私欲に狂った者共と、男の性欲をかき乱すラーマの肉体を自分のものにすることしか考えられなかったお前と何が違うというのだ?」
「冥土の土産に聞いておけ。あの娘こそ試練に打ち勝つ者。お前には手の届かぬ存在なのだ。」
その時、アンドレアは初めて自分が謀られたのだと知った。
「ああああああああ!
だましたなっ! だましたなっ!!
ちくしょうっ!! 殺してやるっ!! 地獄に堕ちろっ!! この悪しき魂めがっ!!」
アンドレアの言葉を聞いた美少年は怒り狂ったように声を荒げて言う。
「地獄に堕ちろだと? 何を今さらっ!?」
「何を今さら言う。ここを見ろ。この戦場を見ろっ!! 地獄はここだっ!! ここにあるっ!!」
「お前が作った地獄だっ!! よくわかっているだろうっ!!」
美少年はそれだけ言うと煙のように姿を消した。
あとに残されたアンドレアは己の罪の深さを知り、その後悔に耐えられなくなりナイフで自決するのだった・・・。
そうして、その遺体は誰の目にも留められず、ただ狂ったように殺しあう兵士たちに踏みつけられていくのだった・・・。
ラーマの悲鳴が戦場に轟いていたころ、皇太子アンドレアは呆然と殺しあう兵士たちを見ていた。
(何故だ? 何故こんなことになった?
混乱する戦場を利用してラーマを奪い、国に連れ帰って祝言を上げる予定だったはずなのに・・・
どうして、こんなことに・・・?
私はこれからどうすればいいっ!?)
混乱する頭の中、必死に正解を導きだそうとしても、この異常事態を解決することなど不可能であった。
そうして頭を抱えた皇太子が乗る馬の頭の上に一人の美少年が天からゆっくりと降り立った。この世の者とは思われぬほど美しい全裸の美少年。アンドレアが裏切りを決意したあの時、夢で見た高位の存在だった。
地獄絵図のような混乱の戦場に取り残されたアンドレアはその美少年を見た瞬間に、泣きながらその美しい足に縋り付き、助けを請う事しかできなかった。
「お助け下さいませっ!! 御身の御言葉に従ってラーマを奪いに来たら、この混乱ですっ!!
どうか、私をお導き下さいませっ!! ラーマをっ!! ラーマの下へお導き下さいませっ!!」
アンドレアは地獄に仏を見たかのように救いを求めたのだが、その美少年は仏ではなかった。そればかりかアンドレアを足蹴にして落馬させると、軽蔑の眼差しを向けるのだった。
すがろうとした相手に無下にされて混乱したアンドレアは声を上げて抗議した。
「私は御身の望んだままに行動したまでっ!! どうしてこのような仕打ちを受けねばならんのですかっ!?」
美少年はアンドレアにそう言われても相変わらず軽蔑の目をむけたままだった。それどころか自分の一物を握ると、アンドレアの美しい顔に向けて小便をするのだった。
アンドレアは悲鳴を上げたが、不思議なことに体は一ミリたりとも動かせず、ただ美少年の小便を浴びせかけられるだけだった。
「皇太子、試練に敗れた者よ。お前はなりそこなったのだ。
己の欲に負け、誘惑に負けた。
見ろ、この戦場に横たわる屍の海を。そう。お前の痴情がもたらした惨劇を見るがいい。
死んだ兵士と夫を亡くした妻の叫びを心で聞くがいい。父親を亡くしたがために収入が無くなり、食事を得られずに死んでいく子供のうつろな瞳を思い描くがいい。
お前が寝ているときも起きているときも、死んだ後もその瞳はお前を見ているぞ。」
「わかるか、皇太子。お前はラーマを奪うのではなく、ラーマを支えてやらねばならなかった。
この狂った戦況の中でも未だなお和平実現を信じているあの純粋な娘をお前はどうして助けてやらなかったのだ?
お前は何故、愛を持ってラーマに接しようと思わなかったのだ?
今この場で殺しあう私利私欲に狂った者共と、男の性欲をかき乱すラーマの肉体を自分のものにすることしか考えられなかったお前と何が違うというのだ?」
「冥土の土産に聞いておけ。あの娘こそ試練に打ち勝つ者。お前には手の届かぬ存在なのだ。」
その時、アンドレアは初めて自分が謀られたのだと知った。
「ああああああああ!
だましたなっ! だましたなっ!!
ちくしょうっ!! 殺してやるっ!! 地獄に堕ちろっ!! この悪しき魂めがっ!!」
アンドレアの言葉を聞いた美少年は怒り狂ったように声を荒げて言う。
「地獄に堕ちろだと? 何を今さらっ!?」
「何を今さら言う。ここを見ろ。この戦場を見ろっ!! 地獄はここだっ!! ここにあるっ!!」
「お前が作った地獄だっ!! よくわかっているだろうっ!!」
美少年はそれだけ言うと煙のように姿を消した。
あとに残されたアンドレアは己の罪の深さを知り、その後悔に耐えられなくなりナイフで自決するのだった・・・。
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