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第4章「聖母誕生」
第83話 魔神アンナ・ラーの戦い
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世界を産めと言われてしまって困惑する私の手にタヴァエルお姉様は再び小さくなったガラス球を置きます。
(こんな私の指二本分もないような直径の球体が実はこの世界と同じ大きさだなんて・・・。
一体、どういう仕組みなのでしょうか・・・?)
私がまじまじと見ているとタヴァエルお姉様は更に
「これはあなたの体から生まれるわけではありません。
あなたの魂が生み出す奇跡なのです。」と、 捕捉して説明してくださいました。
するとタヴァエルお姉様は意味が解らずに困っている私の前に豊穣神ミュー・ニャー・ニャー様を転がしました。
どこかの異界と接続したタヴァエル様の右腕がミュー・ニャー・ニャー様の首根っこを鷲掴みにして、床にごろんと投げ捨てたのでした。
「ただ産ませるだけなら、この淫売にも可能ですが、それはあなたにしかできないことです。」
タヴァエルお姉様に酷い事を言われながら酷いことをされた豊穣神ミュー・ニャー・ニャー様ですが、反論するどころか涙目になってブルブルと震えるだけでした。
「この女を生かしておいたのは、それよ。
この女は豊穣神。
大地の恵みそのもののこの女の体に大地の精を孕まし続ければ、当分の間、実り多い年になる。
野草も農作物もな。疲弊した国々には必要な存在だ。
ゆえに拷問の限りを与えて心を屈服させて服従させている。」
それを聞いた私はビックリして豊穣神ミュー・ニャー・ニャー様の体に覆いかぶさるように抱き着き、明けの明星様の邪悪なたくらみから守るという意思表示を見せますが、明けの明星様は「ちゃうちゃう」と言って否定を意味するジェスチュアである右手を左右に振る仕草をお見せになられるのでした。
明けの明星様はおっしゃいました。
「あのな。ラーマ。俺は何もいやらしいことする言うてるんやないで?
大地に恵みをもたらすんは豊穣神の使命や。それをちょっとだけ大残業してもらって世界を潤すって話や。
(まぁ、言うてないだけでいやらしいことはするんやけどな・・・)」
何か不穏当な独り言が聞こえたような気がするのですが、アンナお姉様も「彼女は嫌がっているわけじゃなくて恐れているだけ。何の心配も無いわ」と、ミュー・ニャー・ニャー様の身の安全を保障してくださるのでした。
そしてその言葉に嘘がないであろうことはアンナお姉様にすがりつくミュー・ニャー・ニャー様の態度がアンナお姉様に対して見せる全幅の信頼をしている証拠でした。
(このお二人は敵味方に分かれて戦ったはずの関係・・・。
いつの間にこのような関係になられたのでしょうか?」
そう思った私は今更のことながら、尋ねるのでした。
「そういえば、お三方がジェノバ軍に味方した魔神様方にどのように勝利なさったのですか?」
私がそう言うとヴァレリオ様は笑顔で
「それは勿論、君への愛の力のおかげさ」何ておっしゃるものだから、明けの明星様に「茶化すな」と注意を受けました。
そうです。今は真面目に尋ねているのです。皆様が無事であるかどうかを戦争している間、私はずっと心配していたのです。茶化してはいけません。
そして、明けの明星様は「俺は事の顛末を見ていたから、話す順番を決めてやろう。」と最初に武勇伝を語るお方としてアンナお姉様をご指名になられました。
そうしてご指名を受けたアンナお姉様は、明けの明星様に恭しく頭を下げてから、戦闘のご様子を語られるのでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6柱の神々が一同を介して戦場を移動し、決戦の場へと集まりました。そこで私は魔神スーリ・スーラ・リーンたちにこう宣言したのです。
「一騎打ちを始めましょう!!
先ほど取り決めたようにそれぞれ一名ずつが戦い、勝ち残った者が多い側の勝ちといたしましょう。」
すると魔神スーリ・スーラ・リーンは快く快諾したのでした。
「もちろんだ。そして俺達が勝った場合の商品はお前だ。魔神ギーン・ギーン・ラー。いや、今はアンナ・ラーだったか?
アンナ・ラー。この場にて宣誓せよ。
お前個人の戦闘結果を計算に入れず、我らが勝った場合はお前は俺達に身を捧げて一生服従する・・・と」
魔神スーリ・スーラ・リーンはいやらしい目つきで私を見つめながらそう言いました。その時に目つきのおぞましさと言ったら何とも表現できません。かつてのライバルに手籠めにされてしまうという屈辱よりも、彼のいやらしい目つきに対する嫌悪感の方が勝っていたのです。
正直、逃げ出したくもなりましたが、私は自分の勝利は勿論の事、仲間の勝利を信じなくてはいけません。ですから震える声でで言い返してやったのです。
「その申し出、受け入れましょう。
ただし、そちらも改めて誓いなさい。私達は勝敗のいかん問わず、人間の戦争に加担しないことを。」
私の申し出は受諾され、双方がこの戦いに勝っても人間の戦争に手出しがかなわぬ事と私が勝利者の女になることが決定されました。これが結果的に私たちをラーマから離す原因になってしまったのですが、この宣誓のおかげで私たちは勝利できたと言っても過言ではありませんでした。
何故なら、彼らが連携したら私たちに勝ち目がなかったからです。
団体戦を模した一騎打ちだったからこそ、私たちに勝機が生まれたのです。この精神的な余裕が私たちをどれほど勝負に対して有利に働いたか秤用も無い事ですが、途方もなく力になったことは疑いようがない事実でした。
私は安心して勝負に挑むのでした。
といっても、私の相手はそこに転がっているメス犬です。
負ける気が全く致しませんでした。
まずお互いの陣営から先方の神が前に出ました。
一方が私。もう一歩がミュー・ニャー・ニャー。
二人はお互いの視線が触れ合った途端に前に進み出てお互いの陣営が見守る中、戦い始めたのです。
先ず先手を取ったのは私です。
既に豊穣神よりの神性に偏りつつあるとはいえ、元闘神の私が豊穣神に後れを取るはずがありません。一瞬で間合いを詰めると、両拳で彼女を何度も殴りつけにかかったのです。
すると、不思議なことが起こりました。
なんと彼女は私の攻撃を防御するどころかその体で受け止めたのです。
肉体は破壊されおびただしい血が流れても彼女は笑って体で受け止めるのでした。
私は数発の打撃を打ち込んでもさほど彼女の外見が一切傷ついていないということに気が付いた時、それが異変だとわかったのです。そして、その異変を起こしているのが彼女の能力だと気が付きました。
私が彼女の能力に気が付いた時、ミュー・ニャー・ニャーは勝ち誇ったように言いました。
「ようやく気付いた? あなたの攻撃では私を傷つけられないという事を。
いいえ、正確にはあなたの攻撃では私を破壊し切れないという事に・・・」
破壊し切れない・・・。その言葉に違和感を覚えた私は右手に神槍を持つと、彼女の肉を少しだけ削り落としました。
私の槍の一撃をよけきれなかったミュー・ニャー・ニャーは、悲鳴こそ上げましたが、削ぎ落された肉は直ぐに再生し、傷口が埋まってしまうのでした。
実際に自分で目にしても信じられない光景でした。
『再生せし者』。どれだけ破壊されても必ず復活する祝福をもって生れて来たもの。彼女は伝説で聞いたことがある存在だったのです。
再生せし者は、攻撃力よりもその再生力が恐ろしい。どんなに攻撃力がある神もこの者の相手をすれば、いつかは魔力を失い、体力も尽きて敗北してしまうのです。
私は彼女を見誤っていました。しょせんはただのか弱き豊穣神。元闘神の私の敵ではないと・・・。
ところが彼女は私が想像する以上の化け物だったのです。
私が彼女の存在を理解した時、彼女は再び勝利を確信して言いました。
「愚かな女ね。私が何の対策もなく元闘神のあなたに戦いを挑むと思ったの?
私はか弱い女。そして、どうじに果てない生を持つ男。
あなたのようなメス犬に勝ち目などなかったという事をゆっくりと教えてあげましょう。」
そういうとミュー・ニャー・ニャーは自分の体から甘ったるい香りを出しました。
男神ならば何ともないのでしょう。女神であっても闘神ならば耐えられるでしょう。
しかし、それは豊穣神にかたむきつつある私には抗いがたい男の魅了の呪いの香りだったのです。
たちまちのうちに私は淫婦の虜になりかかりました。いかに戦闘力がある闘神でも魅了されてしまったらもうおしまいです。あとは良い様に使い込まれてしまう。
そう思うとゾッとしたのですが、その時、彼女が言ったのです。
「この大地とのつながりがある限り、この精は尽きず、この生は尽きない。
お前は負けたのよ、アンナ・ラー。
いかにお前でも世界がもつ新世代を作り出す力には逆らえないでしょう? 」
「ああ、楽しみだわアンナ・ラー。あなたが私の靴に跪いてキスをして物欲しそうな顔で私に懇願する姿が・・・。」
彼女は勝ち誇ってそう言ってしまったのです。しかし、それは勝敗決するまで言ってはいけない言葉でした。
なぜなら、私たちには大地どころか世界を牛耳る異界の王タヴァエル様と顔見知りだったのですから・・・。
そうなると結果はあっという間につきました。私がタヴァエル様に念話で連絡するだけで勝てたのです。
『あいつに魔力提供しないでください」ってね。
程なくしてミュー・ニャー・ニャーはこの異界とのエネルギーと同調をする権利を失い、あっさりと私の往復乳ビンタの前に屈服したのです。
しかし、私がラーマにそこまで戦闘報告をするとミュー・ニャー・ニャーが血相を変えて旦那様に向かって言いました。
「ひ、酷いっ! 私が急に弱体化したのは、そういう理由だったの!?
なんかもっと凄い魔法か何かでやられたのだとばかり思ってたのにっ!!」
「お聞きになられましたか? 明けの明星様っ! 不正ですっ!?
一騎打ちの対決に不正を行ったんですよこの女っ!!
勝敗のいかんに問わず、私の身柄を自由にしてくださいっ!!
ていうか、ペナルティを課してくださいっ!! この女、私のオッパイを本気で往復ビンタしたんですよっ!!
メチャクチャ痛かったんだからぁッ!!!」
しかし旦那様はそれを却下なさいました。
「な、なんちゅうしょうもない戦いや・・・。
ま、それはええとして・・・。
ミュー・ニャー・ニャーよそれを不正と言うなら、大地のエネルギーを貰ってたお前も不正やろうが。
それは大地と言う助っ人。一騎打ちとは言えんなぁ・・・。」
至極もっともご指摘に、もしかしたら自分は介抱してもらえるかもしれないと期待していたミュー・ニャー・ニャーは、がっくりと肩を落として座り込み、今、本当の敗北を迎えてしまったのだと気づかされるのでした。
以上が私、アンナ・ラーの戦闘報告です。
(こんな私の指二本分もないような直径の球体が実はこの世界と同じ大きさだなんて・・・。
一体、どういう仕組みなのでしょうか・・・?)
私がまじまじと見ているとタヴァエルお姉様は更に
「これはあなたの体から生まれるわけではありません。
あなたの魂が生み出す奇跡なのです。」と、 捕捉して説明してくださいました。
するとタヴァエルお姉様は意味が解らずに困っている私の前に豊穣神ミュー・ニャー・ニャー様を転がしました。
どこかの異界と接続したタヴァエル様の右腕がミュー・ニャー・ニャー様の首根っこを鷲掴みにして、床にごろんと投げ捨てたのでした。
「ただ産ませるだけなら、この淫売にも可能ですが、それはあなたにしかできないことです。」
タヴァエルお姉様に酷い事を言われながら酷いことをされた豊穣神ミュー・ニャー・ニャー様ですが、反論するどころか涙目になってブルブルと震えるだけでした。
「この女を生かしておいたのは、それよ。
この女は豊穣神。
大地の恵みそのもののこの女の体に大地の精を孕まし続ければ、当分の間、実り多い年になる。
野草も農作物もな。疲弊した国々には必要な存在だ。
ゆえに拷問の限りを与えて心を屈服させて服従させている。」
それを聞いた私はビックリして豊穣神ミュー・ニャー・ニャー様の体に覆いかぶさるように抱き着き、明けの明星様の邪悪なたくらみから守るという意思表示を見せますが、明けの明星様は「ちゃうちゃう」と言って否定を意味するジェスチュアである右手を左右に振る仕草をお見せになられるのでした。
明けの明星様はおっしゃいました。
「あのな。ラーマ。俺は何もいやらしいことする言うてるんやないで?
大地に恵みをもたらすんは豊穣神の使命や。それをちょっとだけ大残業してもらって世界を潤すって話や。
(まぁ、言うてないだけでいやらしいことはするんやけどな・・・)」
何か不穏当な独り言が聞こえたような気がするのですが、アンナお姉様も「彼女は嫌がっているわけじゃなくて恐れているだけ。何の心配も無いわ」と、ミュー・ニャー・ニャー様の身の安全を保障してくださるのでした。
そしてその言葉に嘘がないであろうことはアンナお姉様にすがりつくミュー・ニャー・ニャー様の態度がアンナお姉様に対して見せる全幅の信頼をしている証拠でした。
(このお二人は敵味方に分かれて戦ったはずの関係・・・。
いつの間にこのような関係になられたのでしょうか?」
そう思った私は今更のことながら、尋ねるのでした。
「そういえば、お三方がジェノバ軍に味方した魔神様方にどのように勝利なさったのですか?」
私がそう言うとヴァレリオ様は笑顔で
「それは勿論、君への愛の力のおかげさ」何ておっしゃるものだから、明けの明星様に「茶化すな」と注意を受けました。
そうです。今は真面目に尋ねているのです。皆様が無事であるかどうかを戦争している間、私はずっと心配していたのです。茶化してはいけません。
そして、明けの明星様は「俺は事の顛末を見ていたから、話す順番を決めてやろう。」と最初に武勇伝を語るお方としてアンナお姉様をご指名になられました。
そうしてご指名を受けたアンナお姉様は、明けの明星様に恭しく頭を下げてから、戦闘のご様子を語られるのでした。
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6柱の神々が一同を介して戦場を移動し、決戦の場へと集まりました。そこで私は魔神スーリ・スーラ・リーンたちにこう宣言したのです。
「一騎打ちを始めましょう!!
先ほど取り決めたようにそれぞれ一名ずつが戦い、勝ち残った者が多い側の勝ちといたしましょう。」
すると魔神スーリ・スーラ・リーンは快く快諾したのでした。
「もちろんだ。そして俺達が勝った場合の商品はお前だ。魔神ギーン・ギーン・ラー。いや、今はアンナ・ラーだったか?
アンナ・ラー。この場にて宣誓せよ。
お前個人の戦闘結果を計算に入れず、我らが勝った場合はお前は俺達に身を捧げて一生服従する・・・と」
魔神スーリ・スーラ・リーンはいやらしい目つきで私を見つめながらそう言いました。その時に目つきのおぞましさと言ったら何とも表現できません。かつてのライバルに手籠めにされてしまうという屈辱よりも、彼のいやらしい目つきに対する嫌悪感の方が勝っていたのです。
正直、逃げ出したくもなりましたが、私は自分の勝利は勿論の事、仲間の勝利を信じなくてはいけません。ですから震える声でで言い返してやったのです。
「その申し出、受け入れましょう。
ただし、そちらも改めて誓いなさい。私達は勝敗のいかん問わず、人間の戦争に加担しないことを。」
私の申し出は受諾され、双方がこの戦いに勝っても人間の戦争に手出しがかなわぬ事と私が勝利者の女になることが決定されました。これが結果的に私たちをラーマから離す原因になってしまったのですが、この宣誓のおかげで私たちは勝利できたと言っても過言ではありませんでした。
何故なら、彼らが連携したら私たちに勝ち目がなかったからです。
団体戦を模した一騎打ちだったからこそ、私たちに勝機が生まれたのです。この精神的な余裕が私たちをどれほど勝負に対して有利に働いたか秤用も無い事ですが、途方もなく力になったことは疑いようがない事実でした。
私は安心して勝負に挑むのでした。
といっても、私の相手はそこに転がっているメス犬です。
負ける気が全く致しませんでした。
まずお互いの陣営から先方の神が前に出ました。
一方が私。もう一歩がミュー・ニャー・ニャー。
二人はお互いの視線が触れ合った途端に前に進み出てお互いの陣営が見守る中、戦い始めたのです。
先ず先手を取ったのは私です。
既に豊穣神よりの神性に偏りつつあるとはいえ、元闘神の私が豊穣神に後れを取るはずがありません。一瞬で間合いを詰めると、両拳で彼女を何度も殴りつけにかかったのです。
すると、不思議なことが起こりました。
なんと彼女は私の攻撃を防御するどころかその体で受け止めたのです。
肉体は破壊されおびただしい血が流れても彼女は笑って体で受け止めるのでした。
私は数発の打撃を打ち込んでもさほど彼女の外見が一切傷ついていないということに気が付いた時、それが異変だとわかったのです。そして、その異変を起こしているのが彼女の能力だと気が付きました。
私が彼女の能力に気が付いた時、ミュー・ニャー・ニャーは勝ち誇ったように言いました。
「ようやく気付いた? あなたの攻撃では私を傷つけられないという事を。
いいえ、正確にはあなたの攻撃では私を破壊し切れないという事に・・・」
破壊し切れない・・・。その言葉に違和感を覚えた私は右手に神槍を持つと、彼女の肉を少しだけ削り落としました。
私の槍の一撃をよけきれなかったミュー・ニャー・ニャーは、悲鳴こそ上げましたが、削ぎ落された肉は直ぐに再生し、傷口が埋まってしまうのでした。
実際に自分で目にしても信じられない光景でした。
『再生せし者』。どれだけ破壊されても必ず復活する祝福をもって生れて来たもの。彼女は伝説で聞いたことがある存在だったのです。
再生せし者は、攻撃力よりもその再生力が恐ろしい。どんなに攻撃力がある神もこの者の相手をすれば、いつかは魔力を失い、体力も尽きて敗北してしまうのです。
私は彼女を見誤っていました。しょせんはただのか弱き豊穣神。元闘神の私の敵ではないと・・・。
ところが彼女は私が想像する以上の化け物だったのです。
私が彼女の存在を理解した時、彼女は再び勝利を確信して言いました。
「愚かな女ね。私が何の対策もなく元闘神のあなたに戦いを挑むと思ったの?
私はか弱い女。そして、どうじに果てない生を持つ男。
あなたのようなメス犬に勝ち目などなかったという事をゆっくりと教えてあげましょう。」
そういうとミュー・ニャー・ニャーは自分の体から甘ったるい香りを出しました。
男神ならば何ともないのでしょう。女神であっても闘神ならば耐えられるでしょう。
しかし、それは豊穣神にかたむきつつある私には抗いがたい男の魅了の呪いの香りだったのです。
たちまちのうちに私は淫婦の虜になりかかりました。いかに戦闘力がある闘神でも魅了されてしまったらもうおしまいです。あとは良い様に使い込まれてしまう。
そう思うとゾッとしたのですが、その時、彼女が言ったのです。
「この大地とのつながりがある限り、この精は尽きず、この生は尽きない。
お前は負けたのよ、アンナ・ラー。
いかにお前でも世界がもつ新世代を作り出す力には逆らえないでしょう? 」
「ああ、楽しみだわアンナ・ラー。あなたが私の靴に跪いてキスをして物欲しそうな顔で私に懇願する姿が・・・。」
彼女は勝ち誇ってそう言ってしまったのです。しかし、それは勝敗決するまで言ってはいけない言葉でした。
なぜなら、私たちには大地どころか世界を牛耳る異界の王タヴァエル様と顔見知りだったのですから・・・。
そうなると結果はあっという間につきました。私がタヴァエル様に念話で連絡するだけで勝てたのです。
『あいつに魔力提供しないでください」ってね。
程なくしてミュー・ニャー・ニャーはこの異界とのエネルギーと同調をする権利を失い、あっさりと私の往復乳ビンタの前に屈服したのです。
しかし、私がラーマにそこまで戦闘報告をするとミュー・ニャー・ニャーが血相を変えて旦那様に向かって言いました。
「ひ、酷いっ! 私が急に弱体化したのは、そういう理由だったの!?
なんかもっと凄い魔法か何かでやられたのだとばかり思ってたのにっ!!」
「お聞きになられましたか? 明けの明星様っ! 不正ですっ!?
一騎打ちの対決に不正を行ったんですよこの女っ!!
勝敗のいかんに問わず、私の身柄を自由にしてくださいっ!!
ていうか、ペナルティを課してくださいっ!! この女、私のオッパイを本気で往復ビンタしたんですよっ!!
メチャクチャ痛かったんだからぁッ!!!」
しかし旦那様はそれを却下なさいました。
「な、なんちゅうしょうもない戦いや・・・。
ま、それはええとして・・・。
ミュー・ニャー・ニャーよそれを不正と言うなら、大地のエネルギーを貰ってたお前も不正やろうが。
それは大地と言う助っ人。一騎打ちとは言えんなぁ・・・。」
至極もっともご指摘に、もしかしたら自分は介抱してもらえるかもしれないと期待していたミュー・ニャー・ニャーは、がっくりと肩を落として座り込み、今、本当の敗北を迎えてしまったのだと気づかされるのでした。
以上が私、アンナ・ラーの戦闘報告です。
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