あばずれローニャ

黒神譚

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第1話

イケメン以外に用はない・4

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「別に好きでこんな体になったわけじゃない。
 これは呪いだ。あんたクラスの修道女じゃ感知も出来ないほどのな。」

「まぁ、呪い・・・。
 美乳になる呪いなんて、罪な呪いがあったもの・・・」

修道女は俺の体にかかった呪いを誤解しているようだが、説明するのは煩わしい。

「俺の旅の目的は最高峰の司祭でも解けなかったこの呪いを解く方法を見つけて元の体に戻ることだ。」

俺はぶっきらぼうにそう言って部屋を出ようとドアノブを触った時に未だ修道女に礼を言ってないことに気が付き、振り返って彼女に礼を言った。

「ありがとう。君のおかげですっかり体調が良くなったよ。
 世話になった。」

そう言って俺が頭を下げた時、慌てて修道女が声を上げる。

「ああっ!! ま、待ってくださいっ!!
 今、街の者達が先の襲撃でモンスターに攫われた女子供を取り戻す準備にかかっています。
 どうか、ご助勢願えませんでしょうか?」

「人質奪還作戦か・・・そりゃ、危険だな。
 敵のアジトへの攻撃は人間の城への攻撃と同じで攻める側が危険だ。」

俺は顔をしかめてそう言うと、修道女はがっかりした顔を見せた。
だが、「安心してくれ。こっちも旅の冒険者だ。報酬が貰えるなら喜んで助勢するよ。」と、俺が言うと途端にとびっきりの笑顔を見せた・・・。

(ああ・・・。俺が男だったら一撃でホレちゃいそうな笑顔だなぁ・・・。
 でも、いまやこれがイケメンの笑顔だった方が大変だ。惚れちゃわないように気をつけないと・・・)

そう。俺は女体化してから、あまり女性に対して性的興奮を覚えなくなって行っている。
男性だったころは、かなり女性にモテる男であちらこちらで浮名を流していたというのに今の俺は魔神シトリーの呪いのせいでイケメンの方が女より好きだ。・・・こんなことを考えていると自然と好みの男性の顔を思い浮かべてしまう程度に俺は変わってしまった。
そんな自分がちょっと怖い。

さて、俺がそんな現状に悩んでいる間に修道女は俺に深々と頭を下げてから部屋の外にいた一人の若者に声をかけ、俺が救出作戦に助勢することを伝えていた。
若者は大喜びで俺を町のボスの元へと案内するのだった。

若者が案内したのは町長の自宅で、その庭では兵士たちが軍備を整えたり、腹ごしらえをしていた。
俺は町長のいる部屋に案内される途中、そいつらを横目で見ながら装備が可もなく不可もないことを確認し、作戦は上手くいくだろうと感心した。

やがて町長の部屋に通されると、そこには3人の男が大きなソファーに座っていて、俺を確認すると真ん中の男が立ち上がった。

「いやぁ、この度は救出作戦に助勢くださるとのこと。誠にかたじけない。
 私はこの町の町長グリズです。そして、こちらは防衛隊の隊長ハンス。左側の人が司祭のラルフです。」
町長は自分と両わきに座る男を紹介した。

「ご丁寧にどうも。俺は冒険者のローニャ。
 よろしく。」
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