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第1話
イケメン以外に用はない・5
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俺の自己紹介を聞いた3人は怪訝な顔をした。
それはそうだろう。こんな田舎町、女が男言葉を話すなんて真似を許容する文化はない。
こっちもそれはわかっているのだが、自分にかけられた呪いが女体化だと知られるのは日常生活において色々と面倒だ。
そう言った事情で俺は本来の性別も名前も隠して今は女性名のローニャとして生活している。
その事を説明する手間を省いてしまっているために旅の往き先々で揉めることも多いが、それでもこの男言葉だけが今の俺にできる男らしさなのだから、やめることはできない。
「感心しませんな。女性が男言葉を使うだなんて・・・。
女言葉は男を魅了します。女の恋愛の武器にもなるという事をお忘れなく。」
司祭は顔をしかめて苦言を言うが、助勢を願う立場の町長と隊長は「すみません、田舎の事なのでお気になさらず。」と逆に頭を下げて来てくれた。
「・・・で? 作戦と報酬は?」
俺も気にせず男言葉のまま尋ねた。事は一刻も争うものなので隊長のハンスも気にせず素早くテーブルに広げた地図を指差しながら俺に作戦を説明してくれた。
「奴らは数ヶ月前からこの町の北にある遺跡に住みついている。馬で6分の1日の距離だ。
そこにオーガ3兄弟を頭にゴブリンが100匹ほどいる。
ローニャ。君が殺したのはその3兄弟の中の弟だ。
我々は、今夜、夜襲を仕掛ける。
遺跡のことは奴らよりも地元民の私達の方が内部に詳しい。人質の場所もまず間違いなく見当が付く。
そこで君には我々が救出に向かう間にオーガ3兄弟。今は2兄弟だが、そちらを引き付けてもらいたい。
君の美貌なら頼まずとも向こうから寄ってくるはずだ。
倒す必要はない。目的は人質奪還だ。無理な戦闘は避け、こちらの人質救出が済んだ時は撤退の号令と共に引き上げてくれ。」
「・・・良い作戦だ。遺跡での戦闘は短い方がいい。」
俺が作戦に納得すると、町長のグリズが「報酬は銀貨5枚と三日間の食料でどうかね?」と交渉を持ち掛けてきた。
俺は少し考えたのち、この田舎町で大きな報酬は酷と考え「できれば、新しい肌着を3着つけて欲しい」と頼んだ。3人は女性からおっぴらにそんなことを言われて、少し戸惑ったが、町長は「お安い御用で」と、了承してくれた。これで俺の肌着問題も解決。あとは任務にあたるのみだ。
作戦の決行は早かった。俺との交渉が済んだらすぐに出発となった。
道中、俺は馬に乗りながら町長がサービスで渡してくれたサンドウィッチをほおばりながら、敵の事を考えていた。
100のゴブリンをしたがえるオーガ兄弟。かなりの強敵であることは、中の弟を倒した時に感じていた。凄まじい剣戟に女の俺ではどうしようもなかった。
オーガが油断していてくれたからファイアーボールをキッチリと当てることができたが、逃走したゴブリンから報告を受けているであろう残りの兄弟たちが俺に油断してくれるとは思えない。
かなり危険な作戦だと肝に銘じるのだった。
それはそうだろう。こんな田舎町、女が男言葉を話すなんて真似を許容する文化はない。
こっちもそれはわかっているのだが、自分にかけられた呪いが女体化だと知られるのは日常生活において色々と面倒だ。
そう言った事情で俺は本来の性別も名前も隠して今は女性名のローニャとして生活している。
その事を説明する手間を省いてしまっているために旅の往き先々で揉めることも多いが、それでもこの男言葉だけが今の俺にできる男らしさなのだから、やめることはできない。
「感心しませんな。女性が男言葉を使うだなんて・・・。
女言葉は男を魅了します。女の恋愛の武器にもなるという事をお忘れなく。」
司祭は顔をしかめて苦言を言うが、助勢を願う立場の町長と隊長は「すみません、田舎の事なのでお気になさらず。」と逆に頭を下げて来てくれた。
「・・・で? 作戦と報酬は?」
俺も気にせず男言葉のまま尋ねた。事は一刻も争うものなので隊長のハンスも気にせず素早くテーブルに広げた地図を指差しながら俺に作戦を説明してくれた。
「奴らは数ヶ月前からこの町の北にある遺跡に住みついている。馬で6分の1日の距離だ。
そこにオーガ3兄弟を頭にゴブリンが100匹ほどいる。
ローニャ。君が殺したのはその3兄弟の中の弟だ。
我々は、今夜、夜襲を仕掛ける。
遺跡のことは奴らよりも地元民の私達の方が内部に詳しい。人質の場所もまず間違いなく見当が付く。
そこで君には我々が救出に向かう間にオーガ3兄弟。今は2兄弟だが、そちらを引き付けてもらいたい。
君の美貌なら頼まずとも向こうから寄ってくるはずだ。
倒す必要はない。目的は人質奪還だ。無理な戦闘は避け、こちらの人質救出が済んだ時は撤退の号令と共に引き上げてくれ。」
「・・・良い作戦だ。遺跡での戦闘は短い方がいい。」
俺が作戦に納得すると、町長のグリズが「報酬は銀貨5枚と三日間の食料でどうかね?」と交渉を持ち掛けてきた。
俺は少し考えたのち、この田舎町で大きな報酬は酷と考え「できれば、新しい肌着を3着つけて欲しい」と頼んだ。3人は女性からおっぴらにそんなことを言われて、少し戸惑ったが、町長は「お安い御用で」と、了承してくれた。これで俺の肌着問題も解決。あとは任務にあたるのみだ。
作戦の決行は早かった。俺との交渉が済んだらすぐに出発となった。
道中、俺は馬に乗りながら町長がサービスで渡してくれたサンドウィッチをほおばりながら、敵の事を考えていた。
100のゴブリンをしたがえるオーガ兄弟。かなりの強敵であることは、中の弟を倒した時に感じていた。凄まじい剣戟に女の俺ではどうしようもなかった。
オーガが油断していてくれたからファイアーボールをキッチリと当てることができたが、逃走したゴブリンから報告を受けているであろう残りの兄弟たちが俺に油断してくれるとは思えない。
かなり危険な作戦だと肝に銘じるのだった。
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