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第1話
イケメン以外に用はない・10
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向かってくるオーガを迎え撃つために私は長剣を抜いてオーガに向かって走り出す。
(ちょっ!! ばかっ!!
女の体で何やってるのよっ!! ママ、死にたいのっ!?)
慌ててチャームが「加速」の加護を私にかけた。
魔神シトリーの呪いが生み出す加護の力は強大で私は全盛期とまではいかないけれどかなりの速さまで加速する。
女の身ではありえないほどの急加速はオーガにとっては不測の事態だった。
どんな優秀な戦士であっても経験と訓練で敵の攻撃のタイミングを予測して行動を開始する。その時、急な変更は効かないものだ。
あっという間に距離を詰められたオーガは自分の目測よりも私が早かったために踏み足のバランスを崩してしまった。
「やあああああ~~~~っ!!」
私は体勢が崩れたオーガの一番弱い部分、すなわちオーガの足元へスライディングしながら気合いもろとも横薙ぎに足を切る。
ガチンっ!! と、大きな金属音が鳴り響く。
私の一撃は所詮女の細腕によるもの。いかに奇襲をしたとはいえ分厚い表皮は裂けても鋼のようなオーガの筋肉にはほとんど歯が立たなかった。
「痛~~~っ!」
敵の反撃を受けないように素早く立ち直りながら、オーガから距離を取るために再び走り出した私だけど、先ほどの衝撃で手が軽く痺れてしまった。
そんな私を手下のゴブリンたちが囲もうとしたのだけど、護衛のメイソンとオリバーの放った矢が次々とゴブリンたちを射抜いていく。
「ローニャっ!! あまり派手に動くなっ!!
君に矢が当たってしまうかもしれないっ!!」
ごもっともだけど、この数のゴブリンに囲まれるわけにはいかないし、オーガに掴まるわけにもいかない。動き回る私を避けて矢を放つのは至難の業だろうけど、私はメイソンの腕を信じて動くしかなかった。
しかも悪いことに聖油のナイフを受けたオーガまで戦闘に加わってきた。聖油を受けた右腕はとても痛むはずなのによくやるわね。
「兄弟の仇っ!! 殺してやるっ!!」
「挟み撃ちにしてやるっ!!」
2体のオーガは怒り心頭で、その上、戦い慣れている。加速の加護を受けた私を巧みに挟み込もうと追い込んでくる。
(ああっ! もうっ!! なにやってるのよっ!!
そっちに逃げちゃ駄目っ!! ああんっ! もうっ!! ママ、死にたいのっ!!)
戦闘は、ド素人のチャームが私の魂の中でゴチャゴチャとうるさい。
(チャームっ!! 防衛の加護をっ!!
先の戦いで彼らの攻撃を私はブロックしきれないことは証明されてるわっ!!)
(わ、わかったっ!!)
素人頭とはいえ、魔術に関して言えば呪いのチャームの方が私よりも遥かに上手。
うるさいけれども信頼のおける私のパートナーだった。
「どうした小娘っ!! 逃げ回る事しかできないのかっ!!」
「お前の剣など俺達には効かぬ。ジワジワと追い詰め、疲れたお前を慰み者にしてやるっ!!」
闘いなれたオーガの指摘は鋭い。
オーガのプレッシャーを浴び続ける私の精神力はみるみるうちに疲弊していった。
(ちょっ!! ばかっ!!
女の体で何やってるのよっ!! ママ、死にたいのっ!?)
慌ててチャームが「加速」の加護を私にかけた。
魔神シトリーの呪いが生み出す加護の力は強大で私は全盛期とまではいかないけれどかなりの速さまで加速する。
女の身ではありえないほどの急加速はオーガにとっては不測の事態だった。
どんな優秀な戦士であっても経験と訓練で敵の攻撃のタイミングを予測して行動を開始する。その時、急な変更は効かないものだ。
あっという間に距離を詰められたオーガは自分の目測よりも私が早かったために踏み足のバランスを崩してしまった。
「やあああああ~~~~っ!!」
私は体勢が崩れたオーガの一番弱い部分、すなわちオーガの足元へスライディングしながら気合いもろとも横薙ぎに足を切る。
ガチンっ!! と、大きな金属音が鳴り響く。
私の一撃は所詮女の細腕によるもの。いかに奇襲をしたとはいえ分厚い表皮は裂けても鋼のようなオーガの筋肉にはほとんど歯が立たなかった。
「痛~~~っ!」
敵の反撃を受けないように素早く立ち直りながら、オーガから距離を取るために再び走り出した私だけど、先ほどの衝撃で手が軽く痺れてしまった。
そんな私を手下のゴブリンたちが囲もうとしたのだけど、護衛のメイソンとオリバーの放った矢が次々とゴブリンたちを射抜いていく。
「ローニャっ!! あまり派手に動くなっ!!
君に矢が当たってしまうかもしれないっ!!」
ごもっともだけど、この数のゴブリンに囲まれるわけにはいかないし、オーガに掴まるわけにもいかない。動き回る私を避けて矢を放つのは至難の業だろうけど、私はメイソンの腕を信じて動くしかなかった。
しかも悪いことに聖油のナイフを受けたオーガまで戦闘に加わってきた。聖油を受けた右腕はとても痛むはずなのによくやるわね。
「兄弟の仇っ!! 殺してやるっ!!」
「挟み撃ちにしてやるっ!!」
2体のオーガは怒り心頭で、その上、戦い慣れている。加速の加護を受けた私を巧みに挟み込もうと追い込んでくる。
(ああっ! もうっ!! なにやってるのよっ!!
そっちに逃げちゃ駄目っ!! ああんっ! もうっ!! ママ、死にたいのっ!!)
戦闘は、ド素人のチャームが私の魂の中でゴチャゴチャとうるさい。
(チャームっ!! 防衛の加護をっ!!
先の戦いで彼らの攻撃を私はブロックしきれないことは証明されてるわっ!!)
(わ、わかったっ!!)
素人頭とはいえ、魔術に関して言えば呪いのチャームの方が私よりも遥かに上手。
うるさいけれども信頼のおける私のパートナーだった。
「どうした小娘っ!! 逃げ回る事しかできないのかっ!!」
「お前の剣など俺達には効かぬ。ジワジワと追い詰め、疲れたお前を慰み者にしてやるっ!!」
闘いなれたオーガの指摘は鋭い。
オーガのプレッシャーを浴び続ける私の精神力はみるみるうちに疲弊していった。
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