あばずれローニャ

黒神譚

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第2話

幼馴染が追ってくるっ!! 8

私の話を聞き入るアルバートの憂いに満ちた顔はとても美しく、そして彼の優しさを表していた。
私の作った話は子供の頃に聞いた没落貴族のよくあるお話だったけど、よくあるお話だけにアルバートは、そういった一族の惨めさをよく知っていた。
だから私が貴族に関わりたくないと言った事には疑いを持たなかった。よくある話だったからだ。

「・・・そうか。貴族に対する反発から君は阿婆擦れ女を演じているのか。」

アルバートは私の話に納得してから話をつづけた。

「それならば、君がディエゴを知らないと言ったのもうなずける。
 正直、私は君がディエゴの愛妾あいしょうかと思ったが、そんな君がディエゴの女になろうなんて思わないか。」

「まっぴらごめんです。遊ばれて終わるのは母を見て知っています。
 それにディエゴ様は、私がシトリーがいるはずの場所に行ったときには本当にいませんでした。
 このナイフと剣は私の物ではありません。
 もし、この二振りをご家族に返してあげたいと仰るのならば差し上げます。もう、私に関わらないということを条件にするのならば・・・。」

私はアルバートの言葉にのっかって、逃げる算段を立てた。
一族の誇りである長剣とナイフを手放すことは正直、心苦しかったけれども、それでも実家に返るのなら問題はなかった。
そうして、その覚悟を見せればアルバートが本当に私が貴族とかかわりたくない女だと納得してくれるはずだから。

でも、アルバートの返事は意外なものだった。

「・・・いや。迷宮で拾ったものは持ち主本人が訴えを起こさない限り拾い主の持ち物になるのが冒険者のルールなのだろう? ならば、このナイフと長剣は君が持つべきだ。」

そういってアルバートは自分で新たに用意したのか上等の鞘に抜身のナイフをしまって渡してくれた。

「このナイフは、女性の力でもオーガの表皮を貫通する業物わざもの。売れば大金になるが、冒険者を続けるのならば、君はこのナイフを大切に持っておくことをお勧めするよ。」
「・・・ありがとうございます。」

私は素直にナイフを受け取ると腰に差す。
それから席を立って逃げようとしたのだけれども、アルバートはそれを許さなかった。

「まだ食事が残っているし、君にはまだ聞くことがある。
 もうしばらくだけ付き合ってくれたまえ。」

怖い反面、私の好みのイケメンと一緒に食事できるチャンスを逃したくないという欲求がせめぎあい、結果として私は彼の誘惑に抗う事が出来ずに席を立てなかった。
私が椅子に座るのを見たアルバートは安心したかのように優しい笑顔を見せてくれた。

「ありがとう。」
「・・・で、お話って何ですか? アルバート様。」

一撃で私の体を火照らせるほどの笑顔だったけど、私はその欲求に抗って刺々とげとげしい返事を返すことができた。
(よかった・・・。まだ私は彼の誘惑に抗える程度の理性を保っている。)
私はそんな風に自分の状態を確認しながら、彼の話を待った。

 
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