あばずれローニャ

黒神譚

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第2話

幼馴染が追ってくるっ!! 12

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数々の浮名を流していたアルバートの恋愛経験の豊富さは事実だった。それは私がこれまで経験したことがないような極上のキスが証明していた。
そのキスは甘く優しく包み込むようにしながら、それでいて私を徐々に刺激し支配するかのようだった。
(ああ・・・ステキッ・・・)
抗えない快感と包容力に私は逃げることを忘れ去って彼の虜になっていた。
女を支配するには十分すぎるほどあまりにも濃密なキス。何時しか私は自分から彼の唇を求めて甘い声を上げてねだっていた。
夢心地・・・。私はまるで桃源郷の温泉にでも使ったかのように体の緊張がほどけて脱力していくのがわかった。もう、自分では自分の体を自由に動かせない程の体の火照りにのぼせ上ってしまっていた・・・。

でも、そんな私を見て、アルバートは驚いたようにキスを止めるのだった。

「ああっ・・・やめないでっ・・・。アルバート様、もっと、キスをください。お願い・・・」

自分で意識する前に私の口は力無い声を上げてアルバートのキスを求めて懇願していた。
その時、私の心の中にはかつてのライバルのプライドなど微塵も残ってはおらず、ただただ、彼という媚薬の魅力に屈服する哀れな虜囚となっていた。
先ほどアルバートが憂いに満ちた表情を見せた時、母性を刺激されて私が彼を慰めてあげたいと思った。けれど、それは完全に私の思い上がりだった。アルバートと私は狼と子羊の関係だった。私はただ、この甘美な快楽をもたらす美しい支配者に従うしかなかったのだ。

私が我を忘れて彼に再びキスをねだった時、アルバートは私を拒絶するかのように逞しい腕で私の体を押し戻し、

「・・・信じられない・・・。
 この反応・・・。いや、この香り・・・。
 君はまさか・・・純潔の乙女・・・なのか?」と、動揺した声で尋ねた。

その言葉に私はハッと我に返った。
・・・そう、私は数々の男性を誘惑し虜にしておきながら、数々の幸運に恵まれてどうにかこうにか純潔を保ってきた・・・。つまり、メイソンの時のようなことを繰り返してきたという事。
魔神シトリーの呪いは強力であったけれども呪いである以上、神聖なものを前にすると若干だが効力が弱まる。
この大陸は光の勢力の圏内であるので、多くの場所に神聖なものが置いてあったり、多くの人の心は敬虔な神々の信徒だった。故に愛情表現の一つとして神聖な行為を行う。メイソンがそうしてくれたように多くの男性が私に愛を囁くと同時にそう言ったことをしてくれた。そのおかげで私は我に返ってその場から逃げ出すことができた。

そう、私は未だ純潔だった。
彼はその事を一瞬で見抜いたのだ。
我に返った私は自分がかつてのライバルの虜にされた惨めさと処女と知られた気恥ずかしさに涙が溢れ出て来て「ああっ!!」と、声を上げて彼から逃げ出すのだった。
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