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幕間 2
アルバートの密会 2
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妙に私が自信たっぷりにローニャの純潔を保証するのでレジーナは怪訝な顔で尋ねた。
「純潔・・・? どうしてアルバート様にそれがお分かりになられるのですか?」
やれやれ、私も舐められたものだ・・・。
「女が純潔かどうかくらい口づけをしてみればわかるさ。それに香りでもね。」
「まぁっ!! 呆れたっ!!」
レジーナは私を軽蔑するような目で睨む。密偵としていろいろな人物を使い分ける彼女だが、普段は淑女のお淑やかさと気品に満ちている。その美女が唇をとんがらせて私を非難したのだ。
長く美しい目は大きく見開かれ、印象的な青い瞳が私を睨みつけていた。きっと、私を女の敵だとでも思っているのだろう。
そして、その怒りは直ぐにある疑問によって打ち消されてしまう。
「キスなさったのですか? あの淫売とっ!?
アルバート様、どうなさったのですか?
他にも身分いやしきあの女にアルと呼んでくれなどと頼まれたり・・・。
私の知る限りアルバート様がアルと呼ぶのを許しているのはご家族の方たちのみです。
もしかしたら、アルバート様はすでにローニャの呪いの虜にされておられるのでは?」
私はレジーナの言葉にギョッとして反射的に「はは・・・まさか・・」と答えるのが精一杯だった。
何故なら、私は自分の心の変化に多少なりの自覚があったからだ・・・。
彼女とのキスは甘く、そして私を昂らせる。
これまで多くの女性を虜にしてきたこの私が・・・だ。
彼女を縛る時の私は自分でも止められないほどの性的欲求が湧き上がって来て自制できない。私にはそのような趣味がなかったにもかかわらず、彼女の美しさを見れば、手が止まらなくなり、より美しく。被虐的に彼女を縛り付けてしまう・・・。
これが彼女の呪いによるものなのか、それとも私がローニャに心を奪われかけているという証なのか、それは私にもわからなかった・・・。
何故なら、彼女は呪いに支配されない昼でさえ私の心をかき乱すからだ。
美しい赤い髪。勝気な意思を感じさせる赤い瞳の中には幼い少女のか弱さも感じられる。
彼女は絶世の美少女でありながら、女として完成されつつある。
小さく薄い骨格。それでいて成熟した女性のようにメリハリの利いた凹凸のボディラインに刺激されない男はいない。
甘えん坊なのに他人に対して優しく、自分に厳しい。責任感があり、自立した精神は彼女が正しい人だという証明だ。
ローニャは、外見でも内面でも極上の美少女だ。
私はしばらく考えてから、慎重に言葉を選んでレジーナに返答した。
「レジーナ。私は確かに彼女に心惹かれているのかもしれないね。
しかし、それも冒険者として確かな強さを秘めた彼女が最悪の呪いにかかってしまった事に対する同情によるものなのかもしれない。
この数日の間に強いはずの彼女のか弱い一面を私は何度も見ていた・・・。だから守ってあげたくなったのかもしれない。誰にも汚されることが無いように私が包み込んで守ってあげたい、と思っているだけなのかもしれない。」
「だから、レジーナ。ローニャに対する処置はもう暫く保留にしておくように教会に伝えてくれ。
そしてもし、私がローニャの呪いの虜になりかけているという事実が発覚したら、後継の者をよこすように伝えてくれ。
そうだな・・・後継にはカミラをよこすように伝えてくれ。あの女のような男色者ならローニャの虜にされることもあるまい。」
レジーナは黙って私の言葉を聞き終えたのち、「承知いたしました。」と返答し、その場を立ち去った。
しかし、私はその時、確かに聞いた。
レジーナの口から小さく、それでいて怒りに満ちた声で呟いた
「あの・・・泥棒猫っ・・・
よくも私のアルバート様を・・・」と言う言葉を。
そうか、ローニャとの口づけの話を聞いた時の彼女の怒りはそういう事だったのか・・・。
私はその事に気が付いてから、ハッとなった。
おやおや・・・?
これはまた、困ったことになりそうだぞ・・・と。
「純潔・・・? どうしてアルバート様にそれがお分かりになられるのですか?」
やれやれ、私も舐められたものだ・・・。
「女が純潔かどうかくらい口づけをしてみればわかるさ。それに香りでもね。」
「まぁっ!! 呆れたっ!!」
レジーナは私を軽蔑するような目で睨む。密偵としていろいろな人物を使い分ける彼女だが、普段は淑女のお淑やかさと気品に満ちている。その美女が唇をとんがらせて私を非難したのだ。
長く美しい目は大きく見開かれ、印象的な青い瞳が私を睨みつけていた。きっと、私を女の敵だとでも思っているのだろう。
そして、その怒りは直ぐにある疑問によって打ち消されてしまう。
「キスなさったのですか? あの淫売とっ!?
アルバート様、どうなさったのですか?
他にも身分いやしきあの女にアルと呼んでくれなどと頼まれたり・・・。
私の知る限りアルバート様がアルと呼ぶのを許しているのはご家族の方たちのみです。
もしかしたら、アルバート様はすでにローニャの呪いの虜にされておられるのでは?」
私はレジーナの言葉にギョッとして反射的に「はは・・・まさか・・」と答えるのが精一杯だった。
何故なら、私は自分の心の変化に多少なりの自覚があったからだ・・・。
彼女とのキスは甘く、そして私を昂らせる。
これまで多くの女性を虜にしてきたこの私が・・・だ。
彼女を縛る時の私は自分でも止められないほどの性的欲求が湧き上がって来て自制できない。私にはそのような趣味がなかったにもかかわらず、彼女の美しさを見れば、手が止まらなくなり、より美しく。被虐的に彼女を縛り付けてしまう・・・。
これが彼女の呪いによるものなのか、それとも私がローニャに心を奪われかけているという証なのか、それは私にもわからなかった・・・。
何故なら、彼女は呪いに支配されない昼でさえ私の心をかき乱すからだ。
美しい赤い髪。勝気な意思を感じさせる赤い瞳の中には幼い少女のか弱さも感じられる。
彼女は絶世の美少女でありながら、女として完成されつつある。
小さく薄い骨格。それでいて成熟した女性のようにメリハリの利いた凹凸のボディラインに刺激されない男はいない。
甘えん坊なのに他人に対して優しく、自分に厳しい。責任感があり、自立した精神は彼女が正しい人だという証明だ。
ローニャは、外見でも内面でも極上の美少女だ。
私はしばらく考えてから、慎重に言葉を選んでレジーナに返答した。
「レジーナ。私は確かに彼女に心惹かれているのかもしれないね。
しかし、それも冒険者として確かな強さを秘めた彼女が最悪の呪いにかかってしまった事に対する同情によるものなのかもしれない。
この数日の間に強いはずの彼女のか弱い一面を私は何度も見ていた・・・。だから守ってあげたくなったのかもしれない。誰にも汚されることが無いように私が包み込んで守ってあげたい、と思っているだけなのかもしれない。」
「だから、レジーナ。ローニャに対する処置はもう暫く保留にしておくように教会に伝えてくれ。
そしてもし、私がローニャの呪いの虜になりかけているという事実が発覚したら、後継の者をよこすように伝えてくれ。
そうだな・・・後継にはカミラをよこすように伝えてくれ。あの女のような男色者ならローニャの虜にされることもあるまい。」
レジーナは黙って私の言葉を聞き終えたのち、「承知いたしました。」と返答し、その場を立ち去った。
しかし、私はその時、確かに聞いた。
レジーナの口から小さく、それでいて怒りに満ちた声で呟いた
「あの・・・泥棒猫っ・・・
よくも私のアルバート様を・・・」と言う言葉を。
そうか、ローニャとの口づけの話を聞いた時の彼女の怒りはそういう事だったのか・・・。
私はその事に気が付いてから、ハッとなった。
おやおや・・・?
これはまた、困ったことになりそうだぞ・・・と。
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