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第6話
ヒロイン揃い踏み 7
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「二人とも相手が悪かったな。
彼の名はヒューゴ・サンチェス。不祥事を起こして退職させられるまでは、剣の腕一本で国の騎士団で部隊長までなりあがった男らしい。周りにいた冒険者たちの証言とも一致する。まずウソではないだろう。
聖騎士LV.4。君達よりも相当格上の相手だ。そう気を落とすな。」
アルバートは冒険者ギルドの床に座り込んで泣いている俺達の頭を撫でながら、慰めるように説明してくれた。
「・・・こ、子ども扱いしないでぇ~っ・・・」
グスグス泣きながらアルバートの手を払いのける俺とは対照的にナタリアは、シュンと肩を落としてショックを受けていた。
そんなナタリアを見たアルバートは一つの提案をする。
「ナタリア・・・。男に力負けしたくない気持ちはわかるが、大斧はもう捨てなさい。
あれは君の剣士としての素質をダメにする。
今日からローニャと同じタイプの剣を使え。君はもっと強くなれる。私が保証するよ。」
位の高い神官騎士がナタリアと視線が合うように地面に跪き、彼女の手を取って慰める姿はまるで恋物語に出てくる王子様のようだった。
とても美しいシーンだけれども、そんな状況でも俺の嫉妬心が陰りを見せることはなかった。
(アルバート・・・。どうしてそんなにナタリアに優しくするの?
彼女は確かにオッパイも大きい美人だけれど・・・俺もここで座って泣いているんだよ?)
もっと、俺だけを見て欲しい。まだ陽が昇っているというのに女としての嫉妬心が俺の胸を焦がす。
「そ、そうよ!! ナタリア。
俺と一緒に今から剣を買いに行こうよ! 貴女にあった剣を選んであげるわっ!!」
「・・・うん。ありがとう、ローニャ・・・。」
ナタリアは涙を拭きながらアルバートの助言と俺の提案を受け入れた。そのしおらしい態度は女になってしまった俺でさえ「可愛い・・・」と呟いてしまうほど魅力的に見えた。
「ああ。ここの処理は私に任せて二人で武器屋に行ってきなさい。
終わったら、ローニャ。前回の店で食事をしよう。席は私がとっておく。いいね?」
アルバートは気前よく金貨7枚を懐から出すと、新しく買う剣の代金にしろと言う。
アルバートが渡した金貨の量は一冒険者が手にする剣の代金として破格だった。小貴族が手にするぐらいの剣の金額を貰ったナタリアは「こ、こんなにいただけませんっ!!」と困惑したが、アルバートは金貨を押し付けた。
「私とローニャの旅は過酷なものとなる。
君もついてくるなら安物の粗悪品を手にしていたら、あっという間に何本も折ってしまう。これぐらいの剣を持ってくれ。」
そういって微笑むアルバートを見たナタリアの顔から敗戦のショックは消え失せ、恋する女の顔になっていた。
対する俺は更に嫌な考えが頭をよぎってしまう。
(なんで・・・そこまで優しくするのっ!?)
・・・ああ、嫌だ。自分でも嫌になるくらいちょっとしたことさえ俺はジェラシーを覚えずにはいられない。そんな自分がちょっとだけ嫌になった。
・・・だから、せめてもの罪滅ぼしにナタリアには良い剣を選んであげようと思うのだった。
彼の名はヒューゴ・サンチェス。不祥事を起こして退職させられるまでは、剣の腕一本で国の騎士団で部隊長までなりあがった男らしい。周りにいた冒険者たちの証言とも一致する。まずウソではないだろう。
聖騎士LV.4。君達よりも相当格上の相手だ。そう気を落とすな。」
アルバートは冒険者ギルドの床に座り込んで泣いている俺達の頭を撫でながら、慰めるように説明してくれた。
「・・・こ、子ども扱いしないでぇ~っ・・・」
グスグス泣きながらアルバートの手を払いのける俺とは対照的にナタリアは、シュンと肩を落としてショックを受けていた。
そんなナタリアを見たアルバートは一つの提案をする。
「ナタリア・・・。男に力負けしたくない気持ちはわかるが、大斧はもう捨てなさい。
あれは君の剣士としての素質をダメにする。
今日からローニャと同じタイプの剣を使え。君はもっと強くなれる。私が保証するよ。」
位の高い神官騎士がナタリアと視線が合うように地面に跪き、彼女の手を取って慰める姿はまるで恋物語に出てくる王子様のようだった。
とても美しいシーンだけれども、そんな状況でも俺の嫉妬心が陰りを見せることはなかった。
(アルバート・・・。どうしてそんなにナタリアに優しくするの?
彼女は確かにオッパイも大きい美人だけれど・・・俺もここで座って泣いているんだよ?)
もっと、俺だけを見て欲しい。まだ陽が昇っているというのに女としての嫉妬心が俺の胸を焦がす。
「そ、そうよ!! ナタリア。
俺と一緒に今から剣を買いに行こうよ! 貴女にあった剣を選んであげるわっ!!」
「・・・うん。ありがとう、ローニャ・・・。」
ナタリアは涙を拭きながらアルバートの助言と俺の提案を受け入れた。そのしおらしい態度は女になってしまった俺でさえ「可愛い・・・」と呟いてしまうほど魅力的に見えた。
「ああ。ここの処理は私に任せて二人で武器屋に行ってきなさい。
終わったら、ローニャ。前回の店で食事をしよう。席は私がとっておく。いいね?」
アルバートは気前よく金貨7枚を懐から出すと、新しく買う剣の代金にしろと言う。
アルバートが渡した金貨の量は一冒険者が手にする剣の代金として破格だった。小貴族が手にするぐらいの剣の金額を貰ったナタリアは「こ、こんなにいただけませんっ!!」と困惑したが、アルバートは金貨を押し付けた。
「私とローニャの旅は過酷なものとなる。
君もついてくるなら安物の粗悪品を手にしていたら、あっという間に何本も折ってしまう。これぐらいの剣を持ってくれ。」
そういって微笑むアルバートを見たナタリアの顔から敗戦のショックは消え失せ、恋する女の顔になっていた。
対する俺は更に嫌な考えが頭をよぎってしまう。
(なんで・・・そこまで優しくするのっ!?)
・・・ああ、嫌だ。自分でも嫌になるくらいちょっとしたことさえ俺はジェラシーを覚えずにはいられない。そんな自分がちょっとだけ嫌になった。
・・・だから、せめてもの罪滅ぼしにナタリアには良い剣を選んであげようと思うのだった。
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