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第8話
闇の戦巫女 17
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色欲の魔神シトリーの妻であるはずの私がいやらしい小道具を見て狼狽えて放った乙女の悲鳴を聞いてフェリックスは困惑した。
「ええっ!? で、ですが、これはメリナ殿が直々に体で吟味された上に大絶賛された品々だけを集めたものだと聞いております。
これさえあれば、二、三日は体のいたるところからよだれが止まらなくなると太鼓判を押されておられました。
決してローニャ様にお寂しい思いはさせません、
ほら、この天蓋などは自分で宙づりに縛り付けて、事が済めば自力で解くこともできる優れものですぞっ!!」
「きゃあああああああ~~~っ!!!
な、なんてことを言うのっ!! 今すぐ片付けてっ!! 片づけてくれないと私、泣いちゃうからっ!!」
「は、はいいいい~~っ!!」
フェリックスはその巨体に似合わぬ狼狽えぶりを見せながら、慌てて部下たちを呼び集めていかがわしい小道具を部屋から運び出した。
そうして、ようやくベッドと化粧台とが残った部屋に私は一応の満足を見せた。(なお気分を盛り上げるために壁に掲げられた絵画は、描かれた内容はともかく美形男子も描かれていたので残しておいた。)
「フェリックス、ご苦労様です。先ほどの小道具は全てメリナの部屋に運んでおくように。
あの子がそんなに気に入ったというのなら、さぞかし歓んで遊ぶでしょうね。」
私としてはいかがわしい嫌がらせをしてきたメリナに対する意趣返しのつもりだったのに、フェリックスは私の言葉を聞くと「おお・・・。メリナ殿のために下賜なされますると? なんとお優しいお心遣い・・・」と、妙な誤解と感動を受けていた。感極まって涙まで潤ませたのでどうやら本気らしい。
それもそうか。彼らは何と言っても色欲の魔神の眷族。いやらしい行為は神の御意志に沿うものであり、推奨されている。むしろ、私の反応の方が不自然。
私もあまり純潔を守ろうとし過ぎると異端扱いを受けかねないわね。
「フェリックス。私の全ては一人のもの。
たとえ自分の意思でも私に手を付ける行為は許されないのです。」
「おおっ!! なんと敬虔なっ! 魔神シトリー様に日々の欲望さえお捧げになるとっ!?」
フェリックスは勘違いして感動した。いや、彼が勘違いするように私が仕向けたんだけどね。
そう、私の体は魔神シトリーのものじゃない。私の全てはアルバートのもの。
彼に全てを捧げ、彼に全てを奪われる事こそ私の願い。
しかし、この思いがフェリックスに対しては良い影響が出たようで、ますます私を見つめる瞳に敬意の光がこもっているように見えた。
そこに気が付いたチャームはフェリックスに命令する。
(外で異変があったら、すぐに私とマ・・・ローニャに申し出なさい。どんな些細なことでも逐一、迅速に、正確に、そして詳細に話すのよ?
わかったわね?)
「かしこまりました。」
これで私たちは外での異変を詳細に知ることができる。
続けてチャームはフェリックスに命令し、寝室には私とチャームだけにさせた。警備の上で不安があるとさすがにフェリックスは難色を示したが、魔神シトリーの子であるチャームに逆らう事も出来ず、仕方なく寝室の外の通路に手警備体制を敷くこととなった。
(これで、とりあえず事が起きたときに戦いやすくなったわね。
ママ、まずは休息を。魔法の使用回数の回復をしないといざという時に倒れちゃうわよ。)
チャームは逃走準備に余念がなかった。
そして、その意見には私も賛成だ。万全の体調でなければフェリックスとメリナから逃げることは不可能だろう。
メリナたちも準備万端だ。
フェリックスの話だとこの神殿には隠し通路があって逃げ算段が整っている。光の勢力に対するなにかしらの罠を仕掛けて迎撃の準備も万端をしているはずだから、事が起これば現場は大混乱になるはず。
アルバートは心配ないだろうけど、冒険者たちも無傷では済まないはず。
私は彼らの身を案じざるを得なかった。
そして私も・・・
私が魔神シトリーの御子チャームを宿していると知られた時、私は彼らに闇の戦巫女として殺されるかもしれない・・・
「ええっ!? で、ですが、これはメリナ殿が直々に体で吟味された上に大絶賛された品々だけを集めたものだと聞いております。
これさえあれば、二、三日は体のいたるところからよだれが止まらなくなると太鼓判を押されておられました。
決してローニャ様にお寂しい思いはさせません、
ほら、この天蓋などは自分で宙づりに縛り付けて、事が済めば自力で解くこともできる優れものですぞっ!!」
「きゃあああああああ~~~っ!!!
な、なんてことを言うのっ!! 今すぐ片付けてっ!! 片づけてくれないと私、泣いちゃうからっ!!」
「は、はいいいい~~っ!!」
フェリックスはその巨体に似合わぬ狼狽えぶりを見せながら、慌てて部下たちを呼び集めていかがわしい小道具を部屋から運び出した。
そうして、ようやくベッドと化粧台とが残った部屋に私は一応の満足を見せた。(なお気分を盛り上げるために壁に掲げられた絵画は、描かれた内容はともかく美形男子も描かれていたので残しておいた。)
「フェリックス、ご苦労様です。先ほどの小道具は全てメリナの部屋に運んでおくように。
あの子がそんなに気に入ったというのなら、さぞかし歓んで遊ぶでしょうね。」
私としてはいかがわしい嫌がらせをしてきたメリナに対する意趣返しのつもりだったのに、フェリックスは私の言葉を聞くと「おお・・・。メリナ殿のために下賜なされますると? なんとお優しいお心遣い・・・」と、妙な誤解と感動を受けていた。感極まって涙まで潤ませたのでどうやら本気らしい。
それもそうか。彼らは何と言っても色欲の魔神の眷族。いやらしい行為は神の御意志に沿うものであり、推奨されている。むしろ、私の反応の方が不自然。
私もあまり純潔を守ろうとし過ぎると異端扱いを受けかねないわね。
「フェリックス。私の全ては一人のもの。
たとえ自分の意思でも私に手を付ける行為は許されないのです。」
「おおっ!! なんと敬虔なっ! 魔神シトリー様に日々の欲望さえお捧げになるとっ!?」
フェリックスは勘違いして感動した。いや、彼が勘違いするように私が仕向けたんだけどね。
そう、私の体は魔神シトリーのものじゃない。私の全てはアルバートのもの。
彼に全てを捧げ、彼に全てを奪われる事こそ私の願い。
しかし、この思いがフェリックスに対しては良い影響が出たようで、ますます私を見つめる瞳に敬意の光がこもっているように見えた。
そこに気が付いたチャームはフェリックスに命令する。
(外で異変があったら、すぐに私とマ・・・ローニャに申し出なさい。どんな些細なことでも逐一、迅速に、正確に、そして詳細に話すのよ?
わかったわね?)
「かしこまりました。」
これで私たちは外での異変を詳細に知ることができる。
続けてチャームはフェリックスに命令し、寝室には私とチャームだけにさせた。警備の上で不安があるとさすがにフェリックスは難色を示したが、魔神シトリーの子であるチャームに逆らう事も出来ず、仕方なく寝室の外の通路に手警備体制を敷くこととなった。
(これで、とりあえず事が起きたときに戦いやすくなったわね。
ママ、まずは休息を。魔法の使用回数の回復をしないといざという時に倒れちゃうわよ。)
チャームは逃走準備に余念がなかった。
そして、その意見には私も賛成だ。万全の体調でなければフェリックスとメリナから逃げることは不可能だろう。
メリナたちも準備万端だ。
フェリックスの話だとこの神殿には隠し通路があって逃げ算段が整っている。光の勢力に対するなにかしらの罠を仕掛けて迎撃の準備も万端をしているはずだから、事が起これば現場は大混乱になるはず。
アルバートは心配ないだろうけど、冒険者たちも無傷では済まないはず。
私は彼らの身を案じざるを得なかった。
そして私も・・・
私が魔神シトリーの御子チャームを宿していると知られた時、私は彼らに闇の戦巫女として殺されるかもしれない・・・
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