24 / 81
第二十四話 円環
アビゲイル先生はいう。
「清浄の光。それはその名の通り光の精霊の力を借りて発動する魔法です。
実はこの魔法を聖女様は召喚された時から使うことは出来るのです。理論上は。
しかし、異世界からこの世界に来た人たちに、世界の理自体が異なるこの世界の魔法をいきなり使うことなど不可能なのです。
私どもが伝え聞くに、これまで14人。魔法の存在する異世界から召喚された聖女様がおられましたが、その聖女様達でも訓練しなければ清浄の光を放つことができなかったと聞きます。
そして、これまでに55人の聖女様がこの世界に召喚されましたが、清浄の光を放つことができるまでに最短で6ヶ月。平均で2年。長くて6年かかったと伝え聞いています。」
その期間の長さを聞いて俺達は驚きの声を上げる。
「6年っ!? それは気の長い話だ。」
「清浄の光が使えるようになるまでに6年・・・・。」
美野里は清浄の光を使えるようになるまでの年数の重みもさることながら、それがゴールでないことにもキチンと気が付いていた。
「使えるようになるまでに最長で6年と言ったけれど、それは『使いこなせるようになるまでにかかった年数』ではないのだよね?
そして、最初にこの神殿に籠って6年修行して。さらにそこから数年間この神殿で修行する・・・・と?」
「うっ、マジか・・・・それはもう幽閉に近いな。」
美野里の境遇を聞いて俺は同情を隠せない。
美野里は今年の誕生日を迎えると俺と同じ17歳になる。そんな年齢で幽閉されるのはあまりにも不憫だ。
美野里の顔がシュンと暗くなる。それをみて俺は慌ててフォローを入れる。
「で、でもさ。それって最悪の事態の話だろ?
上手くいけば最短の6ヶ月とは言わなくても2~3年で使いこなせるようになるかもしれんぜ?
気を落とさずに前向きに行こうぜ? なっ?」
俺がフォローを入れるとアビゲイル先生もフォローを入れる。
「そ、そうですよ。美野里様。
それに神殿の中って結構快適ですよ。生活の全てを私達が責任もってお世話させていただきます。」
「おおっ! そ、それは羨ましいっ!
夢のハーレム異世界転生だぜ?」
その一言はよけいだったらしく、美野里はちょっとムッとした顔をして「バカ」と小さく呟いてから話を変える。
「で、具体的に精霊を体に取り込むというのは、どういう事なんだい?
つまりだね。ボク達は魔法も精霊もない世界にいたわけだよ。どうやって精霊という者を感じ取って体に取り込めばいいのか見当もつかないのさ。」
そう言われてアビゲイル先生は、慌てて授業を再開する。
「ご安心ください。美野里様、剣一様。
この世界の者でも初めからは魔法が使えたりしませんし、不得手な者は大勢います。
そういう者たちのための指導方法は確立しております。それでは授業の本題に入りましょう。」
アビゲイル先生はそう言うと黒板に7つのキャラクターが書かれた紙を貼り付けた。
それぞれのキャラクターは羽が生えていたり、杖を持っていたり、ろうそくを持っていたりしている上に、とても可愛らしい絵柄で描かれていて、一目でそれが精霊なのだとわかる。
「精霊を体に取り込むためには、まず、精霊の姿を心の中で正しくイメージしていただく必要があります。
黒板をご覧ください。
お花の冠をかぶっているのが地の精霊です。
水色の羽衣をまとっているのが水の精霊です。
ろうそくを持っているのが火の精霊です。
背中と足に羽が生えているのが風の精霊です。
白と黒のストライプの衣装を着た巻き毛の子が雷の精霊です。
背中に羽を持ち、杖を持っているのが光の精霊です。
真っ黒なとんがり帽子をかぶって枯れ木の枝を持っているのが闇の精霊です。」
黒板の絵を見て美野里が「わぁ、可愛いっ! 精霊ってこんなに可愛い姿なんですね。」と歓声を上げる。
するとアビゲイル先生は顔を真っ赤にしながら、
「いえ。この絵は私が描いたもので、あくまで私のイメージです。」と言った。
「え? これ、アビゲイル先生が描いたの?」
「凄いっ!! 絵の才能半端ないなっ!?」
俺達は先ず、先生の絵に驚いたが、すぐに一つの疑問に行き当たった。
「これはあくまで先生のイメージって言いましたけど、それはどういう意味なんですか?」
アビゲイル先生は自分の絵が思いの外、反響が良かったことに照れたのか、真っ赤な顔のまま説明をしてくれた。
「実は精霊を見たことがある者は一人もいません。それは精霊が目に見えないくらい小さいからと言われています。
ですから、先ほど精霊を体内に取り込むときに精霊の姿を正しくイメージする必要があると申しましたが、それは術者本人がイメージしやすい姿形を予め作っておく必要があるからです。
精霊の姿形をイメージしてから取り込むのと、イメージせずに取り込むのとでは、その効果に雲泥の差が出てしまうのです。
その理由はわかりませんが、とにかく個人個人が考える精霊の姿をイメージできないと精霊を取り込むことが難しいと、数々の実験で明らかになっています。」
「なるほど。」
美野里は納得すると、黒板を指差しながら「このイメージはボクも想像しやすいです。これを参考にさせていただきます。」と言った。
先生は満足そうに「ありがとうございます。」と言うと、今度は精霊を体内に取り込む為の呼吸法を教えてくれた。
「人間の体には魔力の通り道があります。頭の頂から足の踵までを貫く一本の輪があって、そこを魔力が循環するイメージをしてください。
それが出来たら次に世界に散らばる精霊が自身の体の外から自分の頭に入って来て足の踵に抜ける超巨大な一本の円環があることを想像してください。
その円環が想像出来たら、次にまた自分が欲しい精霊がその輪を通って循環するイメージをしてください。
精霊を体内に取り込むとき、その精霊が自分の体を通る速度はイメージの問題なので個人個人それぞれにございますよね?
その精霊が通うリズムに呼吸を合わせることがとても重要です。ですが呼吸速度は問題ではありません。
大切なのは精霊とリズムを合わせることなのです。」
アビゲイル先生の説明はまるで東洋の「経絡」や「気」の思想に似ており、俺を感心させるのだった。
紀元前6世紀に端を発するとされるインドヨーガの呼吸法。
中国発祥の道教に於いて仙人になる方法として鍛錬される呼吸法。
日本でも神道や修験道に於いて祈祷の際には細かな呼吸法が指定されている。
これらはどれが起源という事はない。古代人にとって呼吸とは生きている証であり、呼吸とは生きる力を得る方法であり、魂を進化させる技術として発展していったものだった。
それらの根本は空気中にある神気および自然界の気を我が身に取り入れる方法だ。この世界ではそれが精霊を体内に取り込む方法なんだ。
肌から直接吸収するわけでもなければ呪具を使って二次摂取する方法でもない。呼吸をもって吸収するのだ。
神仏習合の教義を密かに守り伝え、密教的な加持祈祷方法も習っていた俺にはこの円環のイメージは近しい存在で身に付けるのは難しくないように思えた。
「清浄の光。それはその名の通り光の精霊の力を借りて発動する魔法です。
実はこの魔法を聖女様は召喚された時から使うことは出来るのです。理論上は。
しかし、異世界からこの世界に来た人たちに、世界の理自体が異なるこの世界の魔法をいきなり使うことなど不可能なのです。
私どもが伝え聞くに、これまで14人。魔法の存在する異世界から召喚された聖女様がおられましたが、その聖女様達でも訓練しなければ清浄の光を放つことができなかったと聞きます。
そして、これまでに55人の聖女様がこの世界に召喚されましたが、清浄の光を放つことができるまでに最短で6ヶ月。平均で2年。長くて6年かかったと伝え聞いています。」
その期間の長さを聞いて俺達は驚きの声を上げる。
「6年っ!? それは気の長い話だ。」
「清浄の光が使えるようになるまでに6年・・・・。」
美野里は清浄の光を使えるようになるまでの年数の重みもさることながら、それがゴールでないことにもキチンと気が付いていた。
「使えるようになるまでに最長で6年と言ったけれど、それは『使いこなせるようになるまでにかかった年数』ではないのだよね?
そして、最初にこの神殿に籠って6年修行して。さらにそこから数年間この神殿で修行する・・・・と?」
「うっ、マジか・・・・それはもう幽閉に近いな。」
美野里の境遇を聞いて俺は同情を隠せない。
美野里は今年の誕生日を迎えると俺と同じ17歳になる。そんな年齢で幽閉されるのはあまりにも不憫だ。
美野里の顔がシュンと暗くなる。それをみて俺は慌ててフォローを入れる。
「で、でもさ。それって最悪の事態の話だろ?
上手くいけば最短の6ヶ月とは言わなくても2~3年で使いこなせるようになるかもしれんぜ?
気を落とさずに前向きに行こうぜ? なっ?」
俺がフォローを入れるとアビゲイル先生もフォローを入れる。
「そ、そうですよ。美野里様。
それに神殿の中って結構快適ですよ。生活の全てを私達が責任もってお世話させていただきます。」
「おおっ! そ、それは羨ましいっ!
夢のハーレム異世界転生だぜ?」
その一言はよけいだったらしく、美野里はちょっとムッとした顔をして「バカ」と小さく呟いてから話を変える。
「で、具体的に精霊を体に取り込むというのは、どういう事なんだい?
つまりだね。ボク達は魔法も精霊もない世界にいたわけだよ。どうやって精霊という者を感じ取って体に取り込めばいいのか見当もつかないのさ。」
そう言われてアビゲイル先生は、慌てて授業を再開する。
「ご安心ください。美野里様、剣一様。
この世界の者でも初めからは魔法が使えたりしませんし、不得手な者は大勢います。
そういう者たちのための指導方法は確立しております。それでは授業の本題に入りましょう。」
アビゲイル先生はそう言うと黒板に7つのキャラクターが書かれた紙を貼り付けた。
それぞれのキャラクターは羽が生えていたり、杖を持っていたり、ろうそくを持っていたりしている上に、とても可愛らしい絵柄で描かれていて、一目でそれが精霊なのだとわかる。
「精霊を体に取り込むためには、まず、精霊の姿を心の中で正しくイメージしていただく必要があります。
黒板をご覧ください。
お花の冠をかぶっているのが地の精霊です。
水色の羽衣をまとっているのが水の精霊です。
ろうそくを持っているのが火の精霊です。
背中と足に羽が生えているのが風の精霊です。
白と黒のストライプの衣装を着た巻き毛の子が雷の精霊です。
背中に羽を持ち、杖を持っているのが光の精霊です。
真っ黒なとんがり帽子をかぶって枯れ木の枝を持っているのが闇の精霊です。」
黒板の絵を見て美野里が「わぁ、可愛いっ! 精霊ってこんなに可愛い姿なんですね。」と歓声を上げる。
するとアビゲイル先生は顔を真っ赤にしながら、
「いえ。この絵は私が描いたもので、あくまで私のイメージです。」と言った。
「え? これ、アビゲイル先生が描いたの?」
「凄いっ!! 絵の才能半端ないなっ!?」
俺達は先ず、先生の絵に驚いたが、すぐに一つの疑問に行き当たった。
「これはあくまで先生のイメージって言いましたけど、それはどういう意味なんですか?」
アビゲイル先生は自分の絵が思いの外、反響が良かったことに照れたのか、真っ赤な顔のまま説明をしてくれた。
「実は精霊を見たことがある者は一人もいません。それは精霊が目に見えないくらい小さいからと言われています。
ですから、先ほど精霊を体内に取り込むときに精霊の姿を正しくイメージする必要があると申しましたが、それは術者本人がイメージしやすい姿形を予め作っておく必要があるからです。
精霊の姿形をイメージしてから取り込むのと、イメージせずに取り込むのとでは、その効果に雲泥の差が出てしまうのです。
その理由はわかりませんが、とにかく個人個人が考える精霊の姿をイメージできないと精霊を取り込むことが難しいと、数々の実験で明らかになっています。」
「なるほど。」
美野里は納得すると、黒板を指差しながら「このイメージはボクも想像しやすいです。これを参考にさせていただきます。」と言った。
先生は満足そうに「ありがとうございます。」と言うと、今度は精霊を体内に取り込む為の呼吸法を教えてくれた。
「人間の体には魔力の通り道があります。頭の頂から足の踵までを貫く一本の輪があって、そこを魔力が循環するイメージをしてください。
それが出来たら次に世界に散らばる精霊が自身の体の外から自分の頭に入って来て足の踵に抜ける超巨大な一本の円環があることを想像してください。
その円環が想像出来たら、次にまた自分が欲しい精霊がその輪を通って循環するイメージをしてください。
精霊を体内に取り込むとき、その精霊が自分の体を通る速度はイメージの問題なので個人個人それぞれにございますよね?
その精霊が通うリズムに呼吸を合わせることがとても重要です。ですが呼吸速度は問題ではありません。
大切なのは精霊とリズムを合わせることなのです。」
アビゲイル先生の説明はまるで東洋の「経絡」や「気」の思想に似ており、俺を感心させるのだった。
紀元前6世紀に端を発するとされるインドヨーガの呼吸法。
中国発祥の道教に於いて仙人になる方法として鍛錬される呼吸法。
日本でも神道や修験道に於いて祈祷の際には細かな呼吸法が指定されている。
これらはどれが起源という事はない。古代人にとって呼吸とは生きている証であり、呼吸とは生きる力を得る方法であり、魂を進化させる技術として発展していったものだった。
それらの根本は空気中にある神気および自然界の気を我が身に取り入れる方法だ。この世界ではそれが精霊を体内に取り込む方法なんだ。
肌から直接吸収するわけでもなければ呪具を使って二次摂取する方法でもない。呼吸をもって吸収するのだ。
神仏習合の教義を密かに守り伝え、密教的な加持祈祷方法も習っていた俺にはこの円環のイメージは近しい存在で身に付けるのは難しくないように思えた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
日本国破産?そんなことはない、財政拡大・ICTを駆使して再生プロジェクトだ!
黄昏人
SF
日本国政府の借金は1010兆円あり、GDP550兆円の約2倍でやばいと言いますね。でも所有している金融性の資産(固定資産控除)を除くとその借金は560兆円です。また、日本国の子会社である日銀が460兆円の国債、すなわち日本政府の借金を背負っています。まあ、言ってみれば奥さんに借りているようなもので、その国債の利子は結局日本政府に返ってきます。え、それなら別にやばくないじゃん、と思うでしょう。
でもやっぱりやばいのよね。政府の予算(2018年度)では98兆円の予算のうち収入は64兆円たらずで、34兆円がまた借金なのです。だから、今はあまりやばくないけど、このままいけばドボンになると思うな。
この物語は、このドツボに嵌まったような日本の財政をどうするか、中身のない頭で考えてみたものです。だから、異世界も超能力も出てきませんし、超天才も出現しません。でも、大変にボジティブなものにするつもりですので、楽しんで頂ければ幸いです。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
【完結】異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m