「七人の落ちこぼれ」

真田直樹

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 撤退命令

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港区の倉庫街。

夜の空気は張り詰めていた。

オルフェウス日本拠点の前。

武装した男たちが銃を構え、七人の刑事を取り囲んでいる。

中央には

警察庁刑事局長 桐生正宗。

その横に黒田龍司。

そして。

十年前に消えた公安刑事

高城修一。

神崎隼人は静かに立っていた。

そのとき。

ポケットの携帯が震えた。

神崎は画面を見る。

表示された番号。

非通知。

だが。

神崎の表情がわずかに変わった。

優斗が小声で聞く。

「係長?」

神崎は答えない。

電話に出た。

「神崎だ」

電話の向こうから低い声。

落ち着いた声だった。

「久しぶりだな」

神崎の目が鋭くなる。

その声は

神崎が昔から知っている人物だった。

「……長官」

神崎はそう言った。

電話の相手は

警察庁
警察庁長官 南条隆一。

日本警察の頂点。

神崎が低く言う。

「どういうことです」

南条は静かに言った。

「撤退しろ」

神崎は黙る。

南条は続けた。

「今回の件」

「これ以上追うな」

優斗たちは神崎の様子を見ていた。

何かがおかしい。

神崎が言う。

「理由を聞かせてください」

南条は少し間を置いた。

そして言った。

「国家のためだ」

神崎の目が冷たくなる。

「犯罪組織を守るのがですか」

電話の向こうで南条は言った。

「お前はまだ理解していない」

低い声。

「オルフェウスは敵ではない」

神崎の拳が握られる。

「何だと」

南条は続けた。

「世界の裏社会は巨大だ」

「日本だけで止められるものではない」

「だから」

南条は言った。

「利用している」

つまり。

日本政府の一部は

オルフェウスを

裏で利用している。

神崎の声が低くなる。

「それが警察の仕事ですか」

南条は静かに言った。

「理想だけでは国は守れない」

そして。

決定的な言葉。

「撤退しろ」

「これは命令だ」

神崎はしばらく黙っていた。

その沈黙の間、

銃を構えた男たちも動かない。

桐生は遠くからその様子を見て笑っていた。

優斗が小声で言う。

「係長…?」

神崎は電話を見つめていた。

十秒。

二十秒。

そして。

神崎は言った。

「……断ります」

電話の向こうが静まる。

南条が言う。

「神崎」

神崎は答えた。

「俺は警察官です」

そして。

静かに言った。

「犯罪者の味方じゃない」

電話は切れた。

神崎は携帯をポケットにしまう。

優斗が聞く。

「どういうことです」

神崎は答えた。

「上から撤退命令だ」

七人の顔が変わる。

里奈が言う。

「つまり」

「私たちは」

神崎は言った。

「もう警察じゃない」

沈黙。

そして。

佳祐が笑った。

「いいじゃないですか」

勝巳も笑う。

「もともと問題児です」

さゆりが静かに言う。

「でも」

「ここで止めたら」

優斗が続けた。

「全部消される」

神崎は七人を見る。

そして言った。

「ここから先は」

低い声。

「完全に自己責任だ」

優斗が前へ出た。

「俺はやります」

里奈も言う。

「私も」

紀子。

佳祐。

勝巳。

さゆり。

雅人。

七人全員が神崎の横に立った。

神崎は小さく笑った。

「……本当に馬鹿だな」

しかし。

その目は誇らしそうだった。

神崎は前を見る。

桐生。

黒田。

そして。

高城。

神崎が言った。

「撤退命令は来た」

桐生が笑う。

「なら帰ればいい」

神崎は答えた。

「断った」

その瞬間。

桐生の表情が消える。

神崎は言った。

「ここで終わらせる」

夜の港区。

銃口が向き合う。

そして。

最終決戦が始まる。
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