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マルシア、興奮する
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頭の中で作り上げた人物像との違いにマルシアは少なからず動揺していた。
(……全然、想像と違うのが出てきたわ。どちらかというと地味なタイプじゃないの)
アイナは立ち上がり、尋ねた。
「失礼ですが、どなたですか……?」
「……私は、エルシアン王国の第三王女、マルシア。お前がレイ陛下の婚約者?」
「これは失礼いたしました、マルシア王女様。私はアイナと申します。レイ陛下と婚約……しております」
アイナは顔を赤らめた。婚約のことを他人に言うのは初めてだった。
(なんなの、頬をポッと赤くしちゃって。毒婦と言うよりむしろ少女みたい)
マルシアは予定していた台詞を口にするかどうか一瞬悩んだ。が、他に思い浮かばないのでとりあえず言うことにした。
「色香で陛下を惑わせている下品な平民よ、ここはお前のような女のいる場所ではない。すぐにここから立ち去りなさい!」
すると、アイナはスッと真剣な顔になりこう言った。
「私は、陛下をたぶらかしてなどいませんわ。陛下も私も、真剣にお互いを想い合っています」
マルシアは、相手の雰囲気がかわったことにちょっと気圧されて黙った。
(地味だったのに急にオーラが出てきたわ。それに、この顔なんだか見た事ある気がする)
「マルシア様も陛下のことが好きでいらっしゃるのですね。ですが、私も陛下を愛しております。ここを出て行くつもりはまったくありませんわ」
よく通る声でアイナは答えた。
(この声も聞いたことがある。どこで聞いたのかしら……)
マルシアは頭をフル回転させて記憶を探っていた。
「あっ……! お前、アイナと言ったわね? 」
「……はい? アイナと申します」
「トーヤ一座のアイナ?」
「はい、その通りです。トーヤは私の父です」
マルシアの顔が見る見るうちに真っ赤になった。
「やっぱり!! 見たことある顔だと思ったわ! まさかこんな所で会えるなんて……!」
「トーヤ一座というと、マルシア様がこっそり通っておられた旅芸人ですね?確か公演初日から最終日まで全部観られていました」
バームスが口を挟んできた。
「そうよ! まさかあの、舞姫アイナに会えるなんて! サ、サイン……サイン、頂けないかしら?」
急に展開が変わってきたことをアイナは敏感に察知した。すぐに新しい真っ白なハンカチーフを取り出し、スラスラとサインをした。そして、舞姫のオーラを顔と声で出しながら
「マルシア様、どうぞ」
と、ニッコリ微笑んで差し出した。
「エルシアン王国では確か一年前に公演を行ったと思います。一週間、全て観て下さったのですね。ありがとうございます」
マルシアは手を震わせながらハンカチーフを受け取ると、
「え、ええ、評判の舞姫がいると聞いて、初日にこっそり観に行ったのよ。そしたらあまりにも素晴らしくて、毎日通ってしまったわ。特に、あの悲恋物のお芝居、『千夜物語』ではどれだけ泣いたことか」
「王女様にそう言って頂けて光栄ですわ。お芝居を気に入って下さってありがとうございます」
「わ、私こそ……サインまで貰っちゃって……どうしよう、嬉し過ぎるわ」
バームスは成り行きを見ながら、さてどうしたものかと考えていた。最初の『性悪女!』の下りをこの方は水に流して下さるだろうか?普通、他国の王の婚約者にそんなことを言ったら国交断絶ものである。そうなると私など、職だけでなく命も失うことになるだろう。
(このまま、マルシア様が当初の目的を忘れて下さるといいのだが)
心の中で必死に手を合わせて祈るバームスであった。
(……全然、想像と違うのが出てきたわ。どちらかというと地味なタイプじゃないの)
アイナは立ち上がり、尋ねた。
「失礼ですが、どなたですか……?」
「……私は、エルシアン王国の第三王女、マルシア。お前がレイ陛下の婚約者?」
「これは失礼いたしました、マルシア王女様。私はアイナと申します。レイ陛下と婚約……しております」
アイナは顔を赤らめた。婚約のことを他人に言うのは初めてだった。
(なんなの、頬をポッと赤くしちゃって。毒婦と言うよりむしろ少女みたい)
マルシアは予定していた台詞を口にするかどうか一瞬悩んだ。が、他に思い浮かばないのでとりあえず言うことにした。
「色香で陛下を惑わせている下品な平民よ、ここはお前のような女のいる場所ではない。すぐにここから立ち去りなさい!」
すると、アイナはスッと真剣な顔になりこう言った。
「私は、陛下をたぶらかしてなどいませんわ。陛下も私も、真剣にお互いを想い合っています」
マルシアは、相手の雰囲気がかわったことにちょっと気圧されて黙った。
(地味だったのに急にオーラが出てきたわ。それに、この顔なんだか見た事ある気がする)
「マルシア様も陛下のことが好きでいらっしゃるのですね。ですが、私も陛下を愛しております。ここを出て行くつもりはまったくありませんわ」
よく通る声でアイナは答えた。
(この声も聞いたことがある。どこで聞いたのかしら……)
マルシアは頭をフル回転させて記憶を探っていた。
「あっ……! お前、アイナと言ったわね? 」
「……はい? アイナと申します」
「トーヤ一座のアイナ?」
「はい、その通りです。トーヤは私の父です」
マルシアの顔が見る見るうちに真っ赤になった。
「やっぱり!! 見たことある顔だと思ったわ! まさかこんな所で会えるなんて……!」
「トーヤ一座というと、マルシア様がこっそり通っておられた旅芸人ですね?確か公演初日から最終日まで全部観られていました」
バームスが口を挟んできた。
「そうよ! まさかあの、舞姫アイナに会えるなんて! サ、サイン……サイン、頂けないかしら?」
急に展開が変わってきたことをアイナは敏感に察知した。すぐに新しい真っ白なハンカチーフを取り出し、スラスラとサインをした。そして、舞姫のオーラを顔と声で出しながら
「マルシア様、どうぞ」
と、ニッコリ微笑んで差し出した。
「エルシアン王国では確か一年前に公演を行ったと思います。一週間、全て観て下さったのですね。ありがとうございます」
マルシアは手を震わせながらハンカチーフを受け取ると、
「え、ええ、評判の舞姫がいると聞いて、初日にこっそり観に行ったのよ。そしたらあまりにも素晴らしくて、毎日通ってしまったわ。特に、あの悲恋物のお芝居、『千夜物語』ではどれだけ泣いたことか」
「王女様にそう言って頂けて光栄ですわ。お芝居を気に入って下さってありがとうございます」
「わ、私こそ……サインまで貰っちゃって……どうしよう、嬉し過ぎるわ」
バームスは成り行きを見ながら、さてどうしたものかと考えていた。最初の『性悪女!』の下りをこの方は水に流して下さるだろうか?普通、他国の王の婚約者にそんなことを言ったら国交断絶ものである。そうなると私など、職だけでなく命も失うことになるだろう。
(このまま、マルシア様が当初の目的を忘れて下さるといいのだが)
心の中で必死に手を合わせて祈るバームスであった。
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