15 / 21
15 婚約披露パーティー
しおりを挟む
婚約披露パーティーに向けてあっという間に日が過ぎていった。
招待状の発送、当日の衣装の準備、客人をもてなす酒や料理の確認などを執事のクレールに教えてもらいながら一つ一つ進めていく。リュシエンヌにとって初めてのことばかりで最初は戸惑っていたが、クレールが優しく指導してくれるので不安に思うことはない。
マルセルとアラベル夫妻にも招待状を送った。
(迷惑をかけたことを謝って、そして二人におめでとうを言おう。マルセル様にはアラベルと結婚した時の気持ちを思い出して欲しい。私の親友を、ずっと幸せにしていてもらいたいから)
「リュシエンヌ様、旦那様がお帰りになられました」
「はい、今行きます」
レオンが帰るとリュシエンヌはいつも出迎えに行く。それがわかっていてレオンもいつもとびきりの笑顔を浮かべて入ってくる。
「ただいま、リュシー! 今日は何も変わったことはなかったかい?」
「お帰りなさいレオン、お仕事お疲れ様。何も変わったことはないわ。もうパーティーの準備もほぼ終わったのよ」
「ありがとう、リュシー。君のおかげで僕は仕事に集中できるよ」
レオンはリュシエンヌを軽くハグし、エスコートして自室へと誘った。
「リュシー、今日魔法大臣からまた手紙が届いた。パーティーの翌日にはこちらに来られるそうだ」
「まあ! 本当に? いよいよお会いすることができるのね」
もしかしたら原因がわかるかもしれない。原因がわかれば、対策を立てることもできるだろう。
「彼の見立てでは、魔法の可能性が高いということだ。だからますます君を一人にしてはならないらしい。明日からはアンヌに加えてもう一人オルガを常時つけることにするけど……かまわないかな?」
魔法かもしれないと思うと緊張で身体がこわばる。
「ええ、かまいません。心強いわ」
良かった、と呟いたレオンはリュシエンヌの肩をそっと抱き寄せた。
「二度と君を眠らせたりしない。あの時は10歳で何の力もなかった僕だけど、必ず君を守るから」
(レオン……)
肩を抱くレオンの手にキュッと力が入る。リュシエンヌは安心して彼の胸に頭を預けた。
「そうだリュシエンヌ、これなんだけど……」
その後レオンがリュシエンヌに見せたのはサファイアのネックレス。とても大きくて美しい石だが、周りの飾りも無くごくシンプルなデザインである。
「君がパーティー用にネックレスを選んだことは知っているのだけれど……当日はこれを身につけてくれないか」
「すごく綺麗な石ね。あなたの瞳と同じ色だわ」
先日パーティー用に購入したネックレスもサファイアを使っているが、レオンの瞳よりも明るい青だ。しかしこの石は紺に近い落ち着いた色。飾りが少ないため華やかさはないが、リュシエンヌはその色にとても惹かれた。じっと見ていると、まるでレオンに見つめられているような気がするから。
「喜んでつけさせてもらうわ。ありがとう、レオン」
「良かった、気に入ってもらえて。ねえリュシー、そのネックレスは当日肌身離さずつけていて。絶対に外しちゃダメだよ」
「……? ええ、わかったわ」
レオンはリュシエンヌを抱き寄せると、愛おしそうにその髪に軽い口づけを落とした。
リュシエンヌはというと、レオンのその一連の仕草にドキドキして頬が熱くなるのを感じていた。
(どうしたのかしら私……胸が苦しい……)
そしてついにパーティー当日を迎えた。
「リュシエンヌ、ドレスがよく似合っている。とても美しいよ」
感激した面持ちのレオンが言う。
「レオン、あなたも素敵よ」
心からそう告げると彼は嬉しそうに笑った。
「さあ、大広間に行こうか」
レオンがリュシエンヌをエスコートし、ゆっくりと進んで行く。大広間には既に客人が揃っており、二人の入場を拍手で祝っていた。その中に、マルセルとアラベル夫妻の姿も。マルセルは目を輝かせて大きく手を叩いている。
(マルセル、来てくれたのね。以前より少しふっくらしたように見えるわ)
隣に立つアラベルは強張った表情をしているように思える。
(アラベル、どうしたのかしら。やはりマルセル様と上手くいっていないのかも……)
入場が終わるとレオンが客人に向かって挨拶をする。
「この度、私レオン・ヴォルテーヌはこちらにいるリュシエンヌ・ソワイエ嬢と婚約する運びになりました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、リュシエンヌは12年前に謎の眠りにつきそれ以来目覚めることはありませんでした。しかし二ヶ月前、彼女はついに目覚め、私たちと同じ時を再び生きることになりました。……皆さん、私たちは来年結婚します」
(え⁉︎ 結婚って、レオン⁉︎)
リュシエンヌの動揺に構わず、レオンは言葉を続ける。
「ですからどうか、リュシエンヌを未来の公爵夫人として扱っていただきたい。彼女になにか非礼なことをしたならば、我がヴォルテーヌ家が全力で対応いたしますのでそのつもりで」
レオンはこの場にいる貴族全員に牽制したのだ。リュシエンヌがなぜ眠っていたのか、どうして若いままなのか、興味本位で質問する人間は後を絶たないだろうから。しかしこう言っておけば、全貴族の中で最も身分の高いヴォルテーヌ家を敵に回そうなどと考える者はいないはずだ。
「では皆さん、今日は存分に楽しんでください」
挨拶が終わると楽団が音楽を奏でる。ダンスをしたりテーブルに用意された豪華な酒や料理を食べたり、参加者はそれぞれ楽しみ始めた。
レオンとリュシエンヌのところにはたくさんの貴族が挨拶に来た。まだ社交界に顔を出していなかったリュシエンヌにとっては初めて会う人ばかり。それでも中には学園で同級生だった者もおり、近況を教えてもらうなど楽しく歓談した。
そしてアラベル夫妻の順番が来た。マルセルは前のめりで現れ、リュシエンヌをじっと見つめて目を潤ませた。
「リュシエンヌ、君の元気な姿が見られて僕は本当に嬉しい……」
しかしそこでレオンが咳払いをする。マルセルはハッとしたように後ろへ一歩下がり、レオンに詫びた。
「申し訳ありません、レオン様。懐かしさがつい勝ってしまいました。リュシエンヌ様、この度はご婚約おめでとうございます。お二人の幸せを心から祈っております」
マルセルが頭を下げ、アラベルがカーテシーをした。リュシエンヌは笑顔を浮かべ二人に語りかける。
「マルセル様、ご結婚おめでとうございます。12年前は大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。原因はわかりませんがこうして目覚めることができ、今はレオン様と幸せに暮らしております。どうか、お二人も末長くお幸せに。私の親友アラベルをよろしくお願いします」
マルセルはその言葉をどう受け取っただろうか。リュシエンヌがマルセルと復縁するつもりはないこと、アラベルを幸せにして欲しいと思っていることが伝わってくれたらいいとリュシエンヌは願った。
「はい、リュシエンヌ様。今後とも妻と仲良くしてやってください」
二人はもう一度礼をしてその場を下がっていった。
招待状の発送、当日の衣装の準備、客人をもてなす酒や料理の確認などを執事のクレールに教えてもらいながら一つ一つ進めていく。リュシエンヌにとって初めてのことばかりで最初は戸惑っていたが、クレールが優しく指導してくれるので不安に思うことはない。
マルセルとアラベル夫妻にも招待状を送った。
(迷惑をかけたことを謝って、そして二人におめでとうを言おう。マルセル様にはアラベルと結婚した時の気持ちを思い出して欲しい。私の親友を、ずっと幸せにしていてもらいたいから)
「リュシエンヌ様、旦那様がお帰りになられました」
「はい、今行きます」
レオンが帰るとリュシエンヌはいつも出迎えに行く。それがわかっていてレオンもいつもとびきりの笑顔を浮かべて入ってくる。
「ただいま、リュシー! 今日は何も変わったことはなかったかい?」
「お帰りなさいレオン、お仕事お疲れ様。何も変わったことはないわ。もうパーティーの準備もほぼ終わったのよ」
「ありがとう、リュシー。君のおかげで僕は仕事に集中できるよ」
レオンはリュシエンヌを軽くハグし、エスコートして自室へと誘った。
「リュシー、今日魔法大臣からまた手紙が届いた。パーティーの翌日にはこちらに来られるそうだ」
「まあ! 本当に? いよいよお会いすることができるのね」
もしかしたら原因がわかるかもしれない。原因がわかれば、対策を立てることもできるだろう。
「彼の見立てでは、魔法の可能性が高いということだ。だからますます君を一人にしてはならないらしい。明日からはアンヌに加えてもう一人オルガを常時つけることにするけど……かまわないかな?」
魔法かもしれないと思うと緊張で身体がこわばる。
「ええ、かまいません。心強いわ」
良かった、と呟いたレオンはリュシエンヌの肩をそっと抱き寄せた。
「二度と君を眠らせたりしない。あの時は10歳で何の力もなかった僕だけど、必ず君を守るから」
(レオン……)
肩を抱くレオンの手にキュッと力が入る。リュシエンヌは安心して彼の胸に頭を預けた。
「そうだリュシエンヌ、これなんだけど……」
その後レオンがリュシエンヌに見せたのはサファイアのネックレス。とても大きくて美しい石だが、周りの飾りも無くごくシンプルなデザインである。
「君がパーティー用にネックレスを選んだことは知っているのだけれど……当日はこれを身につけてくれないか」
「すごく綺麗な石ね。あなたの瞳と同じ色だわ」
先日パーティー用に購入したネックレスもサファイアを使っているが、レオンの瞳よりも明るい青だ。しかしこの石は紺に近い落ち着いた色。飾りが少ないため華やかさはないが、リュシエンヌはその色にとても惹かれた。じっと見ていると、まるでレオンに見つめられているような気がするから。
「喜んでつけさせてもらうわ。ありがとう、レオン」
「良かった、気に入ってもらえて。ねえリュシー、そのネックレスは当日肌身離さずつけていて。絶対に外しちゃダメだよ」
「……? ええ、わかったわ」
レオンはリュシエンヌを抱き寄せると、愛おしそうにその髪に軽い口づけを落とした。
リュシエンヌはというと、レオンのその一連の仕草にドキドキして頬が熱くなるのを感じていた。
(どうしたのかしら私……胸が苦しい……)
そしてついにパーティー当日を迎えた。
「リュシエンヌ、ドレスがよく似合っている。とても美しいよ」
感激した面持ちのレオンが言う。
「レオン、あなたも素敵よ」
心からそう告げると彼は嬉しそうに笑った。
「さあ、大広間に行こうか」
レオンがリュシエンヌをエスコートし、ゆっくりと進んで行く。大広間には既に客人が揃っており、二人の入場を拍手で祝っていた。その中に、マルセルとアラベル夫妻の姿も。マルセルは目を輝かせて大きく手を叩いている。
(マルセル、来てくれたのね。以前より少しふっくらしたように見えるわ)
隣に立つアラベルは強張った表情をしているように思える。
(アラベル、どうしたのかしら。やはりマルセル様と上手くいっていないのかも……)
入場が終わるとレオンが客人に向かって挨拶をする。
「この度、私レオン・ヴォルテーヌはこちらにいるリュシエンヌ・ソワイエ嬢と婚約する運びになりました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、リュシエンヌは12年前に謎の眠りにつきそれ以来目覚めることはありませんでした。しかし二ヶ月前、彼女はついに目覚め、私たちと同じ時を再び生きることになりました。……皆さん、私たちは来年結婚します」
(え⁉︎ 結婚って、レオン⁉︎)
リュシエンヌの動揺に構わず、レオンは言葉を続ける。
「ですからどうか、リュシエンヌを未来の公爵夫人として扱っていただきたい。彼女になにか非礼なことをしたならば、我がヴォルテーヌ家が全力で対応いたしますのでそのつもりで」
レオンはこの場にいる貴族全員に牽制したのだ。リュシエンヌがなぜ眠っていたのか、どうして若いままなのか、興味本位で質問する人間は後を絶たないだろうから。しかしこう言っておけば、全貴族の中で最も身分の高いヴォルテーヌ家を敵に回そうなどと考える者はいないはずだ。
「では皆さん、今日は存分に楽しんでください」
挨拶が終わると楽団が音楽を奏でる。ダンスをしたりテーブルに用意された豪華な酒や料理を食べたり、参加者はそれぞれ楽しみ始めた。
レオンとリュシエンヌのところにはたくさんの貴族が挨拶に来た。まだ社交界に顔を出していなかったリュシエンヌにとっては初めて会う人ばかり。それでも中には学園で同級生だった者もおり、近況を教えてもらうなど楽しく歓談した。
そしてアラベル夫妻の順番が来た。マルセルは前のめりで現れ、リュシエンヌをじっと見つめて目を潤ませた。
「リュシエンヌ、君の元気な姿が見られて僕は本当に嬉しい……」
しかしそこでレオンが咳払いをする。マルセルはハッとしたように後ろへ一歩下がり、レオンに詫びた。
「申し訳ありません、レオン様。懐かしさがつい勝ってしまいました。リュシエンヌ様、この度はご婚約おめでとうございます。お二人の幸せを心から祈っております」
マルセルが頭を下げ、アラベルがカーテシーをした。リュシエンヌは笑顔を浮かべ二人に語りかける。
「マルセル様、ご結婚おめでとうございます。12年前は大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。原因はわかりませんがこうして目覚めることができ、今はレオン様と幸せに暮らしております。どうか、お二人も末長くお幸せに。私の親友アラベルをよろしくお願いします」
マルセルはその言葉をどう受け取っただろうか。リュシエンヌがマルセルと復縁するつもりはないこと、アラベルを幸せにして欲しいと思っていることが伝わってくれたらいいとリュシエンヌは願った。
「はい、リュシエンヌ様。今後とも妻と仲良くしてやってください」
二人はもう一度礼をしてその場を下がっていった。
109
あなたにおすすめの小説
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~
浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。
(え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!)
その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。
お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。
恋愛要素は後半あたりから出てきます。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
「股ゆる令嬢」の幸せな白い結婚
ウサギテイマーTK
恋愛
公爵令嬢のフェミニム・インテラは、保持する特異能力のために、第一王子のアージノスと婚約していた。だが王子はフェミニムの行動を誤解し、別の少女と付き合うようになり、最終的にフェミニムとの婚約を破棄する。そしてフェミニムを、子どもを作ることが出来ない男性の元へと嫁がせるのである。それが王子とその周囲の者たちの、破滅への序章となることも知らずに。
※タイトルは下品ですが、R15範囲だと思います。完結保証。
【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。
盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない
当麻月菜
恋愛
生まれた時から雪花の紋章を持つノアは、王族と結婚しなければいけない運命だった。
だがしかし、攫われるようにお城の一室で向き合った王太子は、ノアに向けてこう言った。
「はっ、誰がこんな醜女を妻にするか」
こっちだって、初対面でいきなり自分を醜女呼ばわりする男なんて願い下げだ!!
───ということで、この茶番は終わりにな……らなかった。
「ならば、私がこのお嬢さんと結婚したいです」
そう言ってノアを求めたのは、盲目の為に王位継承権を剥奪されたもう一人の王子様だった。
ただ、この王子の見た目の美しさと薄幸さと善人キャラに騙されてはいけない。
彼は相当な策士で、ノアに無自覚ながらぞっこん惚れていた。
一目惚れした少女を絶対に逃さないと決めた盲目王子と、キノコをこよなく愛する魔力ゼロ少女の恋の攻防戦。
※但し、他人から見たら無自覚にイチャイチャしているだけ。
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる