本当は怖い赤ずきん

nico

文字の大きさ
上 下
1 / 4

赤ずきん

しおりを挟む
ママは私に言った。

このパンをおばあちゃんに届けて来てと。

私は正直おばあちゃんには会いたくない。

前までは凄く大好きだったのに今はパパとママを困らせているからだ。

おばあちゃんは病気らしい。

この間は夜うちでご飯を食べた後帰ったけど迷子になってたし、私の事を時々忘れたりするの。

ママもパパも頭を抱えてるの。

だから私はおばあちゃんが嫌いになったの。

ママが私に渡したパンはとてもいい匂いがした。

私が一つ手にとって食べようとしたらママは今まで一度も見た事ない顔で私の事を怒ったの。

怖かったわ。

私はもっと怒られる前にパンを持っておばあちゃんに会いに行く事にしたの。

家を出る時ママは私に絶対にパンを食べてはダメよって言った。

私は返事をしておばあちゃんのお家へ向かう。

森の中を歩きながら私はおばあちゃんの事を考えていた。

おばあちゃんが病気になったのはもう随分と前のこと。

最初はおばあちゃんのお家へ遊びに行くとおばあちゃんは喜んでた。

でも途中から私が誰だかわからなくなって遊びに行くたびにあなたはどこの子?って聞いてくるようになったの。

だから私はおばあちゃんが買ってくれた赤ずきんを着て逢いに行くようになったの。

赤ずきんを着ると思い出してくれる時があるから。

今日もちゃんと着て来たから分かってくれるかな?
しおりを挟む

処理中です...