祓え 溝口華南

斉藤 延廣

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1章 妖を祓え

12話

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『 妖に過ぎない 』



「 お前は退魔師を仕留め損ねたうえに多くの同胞を犠牲にした!
 人間の手で祓われてしまっては俺の気がすまない! お前は俺達の手で処刑してやる! 」



 山奥、手下の妖達はビン(中にメタモルケル)のまわりに木の枝を組み、引火する。
 火が着いたのを確認した後で全員その場から去っていき、まわりに燃え広がっていく。

メタモルケル「熱い~、液状体でももたないよ~!」


 その付近をたまたま華南は通りかかる。
「?」
 煙がのぼっているのに気づく。


 火は近くまで来てビンが少しずつ溶けそうになる。
 華南はビンを蹴り飛ばし、ビンは転がってすき間からメタモルケルは出てきて人の形になる。
 疲労しながら熱もこもっている。

 ジュー

 四つん這いの状態で背中や頭に水がかかると段々冷めていく。

メタモルケル「なんの用かな、アタシはアンタを殺そうとしたんだよ。」
華南「お前のことは許せない。 だが、これで倒されるのも納得がいかない。」

 華南はボトルを置くと去っていく。
「今回だけだ、次に会ったら狩る。」
「・・・・・・。」


 メタモルケルはボトルを持って歩く。




 古い記憶、とある洋館。
 部屋にはベッドに腰かけて読書をする少女。
 そこに何かが入ってきて、何者かを見た少女は驚くどころか微笑む。
 少女は咳をすると何者かは驚き、それと同時に赤いものが滲む。

 それから何日か少女の前に来て少女は楽しそうにする。

 ある日、少女の前に来る。 しかし少女は動かない。
 近くに来て触れるが反応がない。
 液体の物質は少女の体の中に入る。 中から動かそうとするがそれでも動かず少女の体から出る。
 液体は異変に気づく。
 洋館には火がつけられ外には敵国と思われる者達。
 部屋には両親が来て液体は見つからないように出ていく。
 少女を抱えて外に出ようとするが燃える天井の一部が落ちてきて塞がれる。

 燃える洋館が遠くから見える場所で液体は少女の姿に変わり、怒りをこらえる。

 それから年月が経ち、液体は鎧の兵士の中に入ると出てきた後に同じ姿になって兵士達を襲う。

 液体はいろんな人の体に入ってはいろんな姿に変わるのを繰り返す。

 とある拷問部屋、ボンデージ衣装を身につけた女兵士が自白させるために敵国の男にいろんな拷問をする。
 そこに鎧を着けた兵士が来る。
 女兵士が振り返った直後に液体は体内に入りそして出てくる。
 液体は姿を変え、女兵士の胸を貫く。
 貫通した刃物のようなものが抜けると女兵士は倒れる。
 驚きながらも声が出ない男は抵抗することもできずに襲われる。

 謎の人物は手を元に戻し、アクロバットな動きをして身の軽さを確かめる。
 その後に微笑む。その姿はまるで病弱な少女が大人びた感じ。
(現在のメタモルケルに似てる)




 メタモルケルは苛立ちながらボトルを投げ捨てる。

 しばらく歩くと声。

「まったく誰だ? ボトルなんか投げつけてきたのは。」
「あ・・・・・・」
「テメエ! メタモルケル!!」



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


〔ゴロツ鬼〕

柄の悪いヤクザのような妖
頭が非常にキレやすくその状態から静めるのは究めて難しい


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



 メタモルケルは急いで逃げる。

ゴロツ鬼「なめやがって! テメエは俺様が直々に始末してやる!!」

 まわりにも複数の妖の群れ。


 華南は山から降りて別の町に行こうとする。

「かな~~ん!!」
 焦って来るメタモルケルに華南は振り向く。
「アタシ、アンタにつく!!」
 妖の群れもやって来る。

ゴロツ鬼「人間の小娘もいるとは、やってしまえ!」


 向かってくる妖達を華南は倒していき、メタモルケルも反撃しながら倒す。

ゴロツ鬼「どけ!!」
 金棒を取り出して戦う。


 パワーで押し負けてしまい華南はあお向けに倒れる。

 ゴロツ鬼は振りかぶって金棒を上げ、華南はその隙に構える。
 上から小さな雷が落ちてきて金棒に当たるとそれに伝ってゴロツ鬼に感電する。
 ゴロツ鬼の動きは止まり態勢を直すと華南は刀で切る。
 ゴロツ鬼は倒れながら消滅する。

 いつの間にかほかの妖もいなくなっていて華南は去って行く。

メタモルケル「あ、ちょっと待ってよー。」
 後を追う。





 夜、宿舎で華南は眠りについている。

「 あはははは・・・・・・ 」
 小さな笑い声がして枕元に立つ。

メタモルケル「甘いな華南は。 メタモちゃんは気まぐれなんだよ。
 あの時は追い詰められてたからつい言っちゃったけど、それじゃあ やっちゃう ね。」
 刃物に変形した手を振り下ろそうとすると寸前で華南は気づき素早く回避する。
 襲いかかるメタモルケルに華南は魔力を飛ばすと首や手足に拘束具が着く。
「?」
 華南が念じると拘束具から光る紐が出てきて引っ張られる。
「いたたたたたた!!」

 しばらくして術が解けてメタモルケルは痙攣けいれんする。



華南「はぁ、所詮妖なんて・・・」
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