祓え 溝口華南

斉藤 延廣

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4章 人と妖の共存

26話 (最終)

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『 時空の果てまで 』




「   人間を滅ぼせ!!   」




「   怪物は根絶やしにしろ!!   」



 空を埋め尽くすほど大量の妖、地上にはそれに対抗する複数人の退魔師。
 二つの勢力がぶつかりそうになり、間に華南とメタモは割って入る。


華南「 もうやめるんだ!!    」


 衝突する寸前にまばゆい光。


 華南は宿舎の机に伏せた状態から起き上がる。

華南「あれ? これは?」
メタモ「気がついた?」
華南「メタモ?」
 状況が理解できずに混乱する。
メタモ「居眠りなんて珍しいね、まあ面倒な件ばかりだからしょうがないよね。」
華南「いやなにか、もっと違うことをしていたような気がするんだが・・・、 メタモはどうだ?」
メタモ「え? なんのこと・・・?
 分かんない。」

 二人は任務でとある町に来る。
メタモ「飼っていたペットの犬が行方不明になって探してほしいんだって。」
 二人の手には犬の写真。
華南「こんなの私達がすることじゃ 」
 言ってる途中で考える。
華南「(いや、これもなにか妖と関係あることなのか。)」


 華南とメタモは町のいろんなところを探す。

 そして特に変わったこともなく仕掛けてある網に捕まった犬を見つける。
 メタモは写真を取り出して見返す。

メタモ「間違ってないね。」
華南「ああ、ケガもしてないみたいだしよかった。 妖に邪魔されることもなかったし。」
メタモ「あやかし って、なに?」
華南「え?」

 華南は犬を撫でていると目が合う。
「?」
 その途端に吸い込まれるような感覚に。


 華南はハッとすると部屋の中にいる。 ただし宿舎とは違い女の子風。
 ハンガーにかかってる服を見ると学校の制服。
「あれ?」
 部屋の中をいろいろ探しても軍服は見当たらない。

 仕方なく制服を着て歩く。
「あ、おはよう!」
 その途中 道で待っていたメタモと会う。
「お、おはよう・・・」
 華南も返事をして合流。 メタモもまた制服姿。
(制服シャツのボタンは閉じず裾を胸の辺りで結び胸と腹部が露出、下着が見えそうなほど丈の短いミニスカートと不良風)

メタモ「そういえば昨日さあ・・・ 」
 簡単に会話に相づちを打っていると考える。
華南「(もしかして退魔師をやっていなかったらこんな運命も・・・?)」

 教室の授業風景。
 華南はノートに取っているが前の席に座っていたメタモは教科書を立ててイヤホンで音楽を聴きながら居眠りしている。

 昼休憩。
 校庭や裏庭では日陰でお弁当を食べたりボール遊びをする光景。

 華南は屋上のベンチでお弁当を食べている。
メタモ「となり空いてる?」
華南「うん。」

 メタモはコンビニの惣菜パンとペットボトルのジュースを出す。
 二人はそれぞれ食べている。

華南「なあ、メタモ。」
メタモ「?」
華南「唐突な話で悪いんだが、もしもだ。
 私がなにかと戦わなければならないとき、一緒に戦ってくれるか?」
メタモ「え? ・・・そうだな。
 ま、面白いことならいいかな。」
 華南はメタモを見ながら少しよろこぶ。

メタモ「それじゃあまたね。」
 下校中、その途中で華南はコンビニによる。
 買い物を終えてこの生活に慣れそうになった時。

「!!」
 突然うしろから何者かが華南を捕まえる。
 抵抗しようとする前に布に湿らせていた睡眠薬を顔につけられて意識を失う。


 意識が戻ると華南は暗い部屋にいる。
「ここは・・・」
 理解できないまま まわりを見ているとゴングのような音。

 敵レスラーは華南をつかまえると突き飛ばし華南はロープに当たる。
 その場で振り返るとたくさんの観客と実況席、そして対戦表。
 華南は女子プロのタッグ戦だと気づく。

「オラア、よそ見すんな!!」
 敵レスラーは華南をつかまえるとリングにうつ伏せに叩きつける。
 作り物のサーベルを取り出すと華南の首を持ち上げてかっ切ろうとする。
 華南は必死に抵抗する。

 場外でもう一人の敵レスラーと戦うメタモ、軽快な身のこなしで圧倒する。
「あ、あぶない!」
 メタモは場外の敵レスラーを凪ぎ払うとサーベルを持った敵レスラーの背中にドロップキック。
 華南は自由になりメタモは敵レスラーを抱きかかえる。 そこに華南も来て二人でパイルドライバー。
 リングにもう一人の敵レスラーがやって来て華南が向くと同時にラリアットをくらい、一瞬目を閉じる。


 華南は目を覚ますと町中に来る。
「どうなってるんださっきから。」
 手や体を見ると兵士の姿。
「これって・・・、 昔に来たのか!?」
 華南のそばを妖が横切る。
「妖!? あいつ、人を襲ったら! 」

 華南は広い道に来る。
「 メタモ! そっちは?」
メタモ「ダメね、思ったより素早いよ。」

華南「!?」

 そこにはメタモとリサの姿。
(リサは女子っぽい服装)

華南「リサ!」
リサ「あれ? もしかして、華南?」
華南「なんでメタモと一緒に。」
メタモ「え? 誰? リサの知り合い?」
リサ「昔、軍に属していたときの戦友だよ。
 でもなんで? 華南はもう・・・」


 記憶には華南をリサが銃で撃つ姿。


華南「なに言ってるんだ!? 私は 」
 リサは服の中から首にかけていた緑の石を取り出す。
 それを見て頭を抱える。
華南「・・・そんな、違う・・・」

 華南は目の前が真っ暗になる。

 それからハッとすると目の前にはメタモ。

華南「わああ~~~~~~!!」
メタモ「まったくすきだらけなんだから。」
 もう少しで口が触れそうになる。
華南「近い! 離れろ!」

メタモ「今日も始末書がたまってるよ。」
 華南は黙々と机に置かれた書類を整理する。

 次の日、机で書類整理を行う。

 また次の日、それからしばらく同じような日々が続く。

 華南は書類を払うとまわりに飛ぶ。

華南「ああー、一体どうなってるんだ! 妖が関係してる事件とかないのか!」
メタモ「あれ、そういうことが起きてほしいような言い方だね~。」
華南「そうじゃない。 こうしてる間にも、どこかで暗躍とかしてるんじゃないか。」

 華南は立ち上がって気分を変えるために窓を開けて空気の入れ換えを行う。
 その時に強い風が吹く。


 華南は次に和室の部屋に来る。
「?」

「おきづきですか? あるじさま。」
 やって来たのは赤い烏帽子を着けた天狗風の少年。

華南「今度はなんだ?」
少年「あなたはときのながれをかんりするためにせいふからはけんされたのですよ、___として。」
華南「(聞こえない・・・)」

 華南の目の前に映像が出る。

メタモ「 華南、気づいた? 」
華南「メタモ!?」
メタモ「 この場所おかしいんだよ、まわりにいろんなやつが来て、アタシのことを プロデューサー とか 提督 とか マスター とか。
 ついでに外も見て。 」

 華南は外に出て自分自身が日本風のお城にいることに気づく。
 まわりを眺めるといろんな世界が枠で囲まれながら交差する。

 突然城が暗くなり華南は見ると巨大な影。
 巨大な影が迫ってくると華南は身を丸める。


 華南はハッとすると別の場所にいる。
「またどこか違うところか?」

「華南、あれ!」
 メタモに言われると空を覆いつくすほどの妖の群れ。

「 妖が大量発生、討伐するんだ! 」
 地上ではそれに対抗する退魔師一同。





「   人間を滅ぼせ!!   」





「   怪物は根絶やしにしろ!!   」





 二つの勢力の間に華南とメタモは割って入る。

華南「 もうやめるんだ!!」

 しかし勢いは止まらない。
 メタモは腕を変形させ華南は体を光らせながら構える。




‐  完  ‐
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