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え?できてる?できてませんよ?

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「…つまんない」
正直、仕事も終わったのに部屋にこもってんの飽きた。
現在10月16日午前7時。
今日は学校行ってもいいよね?
「ママ~晩ご飯兼夜食ありがとう。朝ごはんちょうだい?」
「はいはい。今準備するわね」
あれ?
ママが作るんだ。
まぁトーストとか目玉焼きとかよくあるもんばっかりだからね~。
「…ちっ」
階段を降りてきた秋斗くんはいきなり舌打ちをした。
「なんかそんなにイラつくことでも?」
「ちな!?」
「…何その反応。傷つくんですけど」
「…なんでもない。今日も学校休め」
「嫌。だってやることもないし暇だもん。ひなだってちゃんと学校行ってるから話し相手もいないし」
「いいから来んな!!」
…それはなんかあるって反応だよね?
私は口角を上げた。
「…行くよ。なんか面白そう」
「面白くなんてねぇよ!!」
私は朝ごはんを食べ終わると秋斗くん達と車に乗り込んだ。
「お姉ちゃんお仕事は?」
「今日やることはないの。打ち合わせもしばらくないし」
「…なんで今に限って…」
ほうほう。
絶対なんかあるやつだよな!!

「…ふぅん」
私は黒板に貼られた写真を眺めた。
「これを見せたくなかったんだね」
「…だってこんな…」
そこに貼られていた写真は私が昴お兄ちゃんの家に行った帰りの時。
タクシーに乗り込む前の時か。
黒板には文字も書かれていた。

尻軽女

と。
「…私尻軽じゃないし昴お兄ちゃんとはそういう関係じゃないし。…まぁお母様は乗り気か」
「お母様!?」
「ちな!!どういうことだ!!」
あ。
言ってなかったか。
「おーい席つけ…またか。で?千夏はどうする?」
「まぁイタズラ程度ならいいけど…悪評は困るなぁ」
「手を貸すか?」
「私もやるよ?」
キラキラした目で言わないでください、華さん。
「昔っからこうだよね。昴お兄ちゃんがイケメン過ぎるのが悪い!!」
「両親に言えよ」
「無理!!お父様はお仕事の相手だしお母様はいつも何かくれるし」
「…餌付けならぬプレゼントでつられてんじゃねぇよ」
え?
だってブランド物もらって嬉しくない人なんていないよ?
まぁ量は…やばいんだけど。
「さて、私にこんなことした人には後悔させてあげないとね」
「…うちを敵にまわしたも同然だよな」
「私も!!友達傷つけられた!!だから四葉も手を貸すよ!!」
華!!昴お兄ちゃん!!
「…ったく。なんでお前らだけで話を進めるんだよ」
「僕達も昨日は頑張ってたんだよ?」
「あ~ありがと。でもこっからは私達でやるから」
「何年ぶりだ?こういうこと」
「ん~1番最後は…5歳の時かな。そんときはお父様がそいつの親の会社つぶしたんだっけ」
「あー…そんなこともあったな」
「…へぇ。○○会社が潰れたのってそのせいだったんだ。うちの取引先じゃなかったからよかったよ」
「あ。華ごめん。そんなことまで考えてなかった」
「大丈夫だよ~」
私はそこでポカーンとしているみんなに気づいた。
「これが私の日常茶飯事だから。昴お兄ちゃんと結婚なんて無理!!どんだけ私勉強させられると思うの!?」
「とりあえずマナーと数カ国語覚えてもらうな」
「無理だから!!自分の仕事できなくなるじゃん!!」
「諦めろ。母様が乗り気のうちは無理だ。お前が1歳の時に母親の言質は取れてる」
…え。
じゃあママのあの反応は…。
「…私…15歳ですけど?」
「関係ない。俺はもう成人したし千夏が了解すればすぐにでも結婚する用意が出来るだろうな」
「…辞退します。ごめんなさい。生理的に受け付けません」
「…あ?お前もう1回お仕置きされたいのか?」
「やめてください!!今仕事は立て込んでないけど!!」
「…立て込んでないのか。じゃあ母様の呼び出しも受けられるよな?そろそろ本気になってきたようだぞ。説得するならあと1ヶ月も猶予はないだろう。来月にはお前の誕生日で16だしな」
…誕生日に結婚式でもあげるつもり?
「…今すぐ行ってきていい?」
「あほか。授業受けろ」
「いつもはサボれって言うくせに…」
「…成績下げんぞ?」
「やめてっ!!」
これ以上下がったらやばいから!!
副教科がまじでやばいから!!
「…あ。白川だ」
「…ちっ」
お仕置き狙ってたでしょ?
私をお母様に売るつもりだったんでしょ、昴お兄ちゃん。

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