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「だからグーツは食べないって!!」
「…お食べになってください。タール様からの命令です。」
「嫌!!」
「これを食べないと食事は終わらせないだそうです。」
「嫌!!絶対に食べない!!」
私は朝からメイドと言い争いをしていた。
朝食の前にグーツを食べろと言われて私はそれに反抗しているのだ。
何?
子供の味覚で物凄く苦いグーツを食べろと?
地獄だよ
食べて吐いてもいいの?
「…食べない。絶対吐く。」
「吐いたらまた食べてもらうだけです。」
うぅ…
嫌だァ…
「嫌なものは嫌!!」
私は部屋から逃げ出した。
向かう場所はただ一つ
執務室だ
「父様~!!」
私は急いで執務室に入り父様に抱きついた。
「シュルク?どうした?」
「グーツ食べたくないの…」
「苦いからな。」
「でしょ?でもタール様が命令って…」
「タールか…気にしなくていいぞ。シュルクが食べたくないなら食べなくていい。」
やった
「ありがと…父様。」
私は父様の頬にキスをした。
「あぁくそっ…義娘に欲情しそうだ…」
「よくじょー?」
「シュルク様はお知りにならなくて結構ですよ。国王陛下が悶えるだけですから。」
悶えるね…
「父様父様。肩車して?」
私は父様に向かって手を伸ばした。
「よしいいぞ。」
父様はすぐに肩車をしてくれた。
「きゃはは!!高~い!!」
「そうかそうか。」
「国王陛下。仕事なさってください。」
「何。仕事はいつでもできる。だがシュルクが甘えてくれるのは今しかないからな。」
父様~?
ニヤニヤしてますよ~?
「父様。ごー!!」
「よし分かった!!」
父様は私の指示に従って執務室を出た。
「シュルクね街行ってみたい!!」
「…俺が一緒じゃ囲まれるぞ?」
「父様が肩車してくれてるからだいじょーぶ。」
「なら行くか。」
父様は私を肩車したまま街に出た。
案の定囲まれた。
くんくん…
「父様!!なんかいい匂いする!!」
「ん?お腹空いたか?」
「あれ!!」
私は父様と一緒に匂いのした屋台に行った。
「チュロス~」
「知ってるのか?」
「甘くて美味しいの~」
ポワポワ~
やった
この世界にチュロスあった
「父様父様!!食べたい!!」
「いいが…毒味する奴がいないぞ?」
「毒味なんていいもん!!早く食べたい!!」
父様はお金を払ってチュロスを1本だけ買ってくれた。
「はむはむ…」
「美味いか?」
「美味しい!!」
はわ~
やっぱチュロスは美味しい~
「父様父様!!あれも!!」
私はそれからたくさん父様に買ってもらった。
ほくほく…
「シュルク。その大量の物は何?どこに行ってたの?」
「父様に街に連れて行ってもらった!!」
「グーツは食べたの?」
「食べてない…父様が食べなくていいって。」
「全く…父上はシュルクに甘いんだから…」
タール様には呆れられたけど親バカ父様好きよ?
たっくさん甘えるもんね~
タール様からの避難場所にもなるし
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