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最終章
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「侍女が大変、失礼な事をしまして
申し訳御座いません」
侍女長は深々と頭を下げアレクに謝罪した。
「長殿が悪い訳では無いのですから頭を上げて下さい」
「ですが、教育が行き渡っていれば、
このうような事は起きませんでした」
「私は気にしておりません。
平民だった年数が長いので、
こちらの内装ならば馴染みが有ります」
「しかし、それでは我が国の威信に関りますわ」
「では妥協案としまして、
数日掛けて私の部屋を相応の部屋に変えて下さいますか?」
「え・・・?」
「この部屋を元通りに戻すにしても数日は掛かりますよね?」
「えぇ、そうですわね」
「ならば滞在しながら元通りにして頂ければ、
それで構いません」
それならば…と提案を受け入れた侍女長は、部屋を元に戻す為の手配に向かった。
「アレクシス殿下、王城をご案内させて頂きますわ」
「わざわざグレース様が案内して下さるのですか?」
「えぇ、それならば先ほどの様な者に出会う事は少なくなるでしょう」
なるほど…と思ったのはバルト。
「姫様が案内する事で抑止力になる、と言う事ですね」
「はい。アレクシス様がわたくしの婚約者で有る、
と言う事も周知できるでしょう?」
いたずらっぽく微笑むグレース。
アレクは好感度がますます上がって行く。
「それは良いですね。
案内して頂けますか?」
「勿論ですわ」
アレクが差し出した腕に手を乗せ、エスコートされる形での見学がスタートした。
護衛としてバルトが付いて行くのは勿論、グレースの専属騎士も付き従って居る。
「到着したばかりなのに案内して下さり、
有難うございます。
お疲れでは有りませんか?」
「大丈夫ですわ。
アレクシス殿下こそ盗賊と対峙なさって
疲れておりませぬか?」
「騎士になる為に鍛えておりましたので大丈夫ですよ」
アレクの周囲に、彼を平民だと蔑む輩は1人も居なくなった。
それは見た目だけでなく、所作すら平民だったと判らない程、洗練されて居るからでは有った。
「こちらは将来、わたくしたちが婚姻式を挙げる教会ですわ」
最初に案内された場所は、王城に隣接した教会。
それはそれは荘厳さが顕著に表れた美しい建物だった。
「これは素晴らしい場所ですね」
「えぇ。花々も美しく咲いてくれてますので
わたくしのお気に入りですのよ?」
「・・・グレース様らしいですね」
2人の姿を見かけた使用人たちは、仲睦まじい姿を見てヴィクトリアの将来が安泰だと頬を緩め通り過ぎて行く。
「ア、アレクシス様っ…」
「どうぞアレクと呼んで下さい」
政略的な婚約…の筈が恋愛結婚と言えそうなくらいに甘い空気が漂い、バルトが居心地悪そうに
「・・・アレクシス殿下、本日の案内は此処までとなさいませ」
と苦言を呈した。
「そうだな。グレース様も襲撃の恐怖が拭えて居ないだろうから、
戻るとしよう」
アレクはグレースを部屋まで送り届けると平民の部屋とされてしまった自室に戻り、これからの勉強に備える事にしたのだ
申し訳御座いません」
侍女長は深々と頭を下げアレクに謝罪した。
「長殿が悪い訳では無いのですから頭を上げて下さい」
「ですが、教育が行き渡っていれば、
このうような事は起きませんでした」
「私は気にしておりません。
平民だった年数が長いので、
こちらの内装ならば馴染みが有ります」
「しかし、それでは我が国の威信に関りますわ」
「では妥協案としまして、
数日掛けて私の部屋を相応の部屋に変えて下さいますか?」
「え・・・?」
「この部屋を元通りに戻すにしても数日は掛かりますよね?」
「えぇ、そうですわね」
「ならば滞在しながら元通りにして頂ければ、
それで構いません」
それならば…と提案を受け入れた侍女長は、部屋を元に戻す為の手配に向かった。
「アレクシス殿下、王城をご案内させて頂きますわ」
「わざわざグレース様が案内して下さるのですか?」
「えぇ、それならば先ほどの様な者に出会う事は少なくなるでしょう」
なるほど…と思ったのはバルト。
「姫様が案内する事で抑止力になる、と言う事ですね」
「はい。アレクシス様がわたくしの婚約者で有る、
と言う事も周知できるでしょう?」
いたずらっぽく微笑むグレース。
アレクは好感度がますます上がって行く。
「それは良いですね。
案内して頂けますか?」
「勿論ですわ」
アレクが差し出した腕に手を乗せ、エスコートされる形での見学がスタートした。
護衛としてバルトが付いて行くのは勿論、グレースの専属騎士も付き従って居る。
「到着したばかりなのに案内して下さり、
有難うございます。
お疲れでは有りませんか?」
「大丈夫ですわ。
アレクシス殿下こそ盗賊と対峙なさって
疲れておりませぬか?」
「騎士になる為に鍛えておりましたので大丈夫ですよ」
アレクの周囲に、彼を平民だと蔑む輩は1人も居なくなった。
それは見た目だけでなく、所作すら平民だったと判らない程、洗練されて居るからでは有った。
「こちらは将来、わたくしたちが婚姻式を挙げる教会ですわ」
最初に案内された場所は、王城に隣接した教会。
それはそれは荘厳さが顕著に表れた美しい建物だった。
「これは素晴らしい場所ですね」
「えぇ。花々も美しく咲いてくれてますので
わたくしのお気に入りですのよ?」
「・・・グレース様らしいですね」
2人の姿を見かけた使用人たちは、仲睦まじい姿を見てヴィクトリアの将来が安泰だと頬を緩め通り過ぎて行く。
「ア、アレクシス様っ…」
「どうぞアレクと呼んで下さい」
政略的な婚約…の筈が恋愛結婚と言えそうなくらいに甘い空気が漂い、バルトが居心地悪そうに
「・・・アレクシス殿下、本日の案内は此処までとなさいませ」
と苦言を呈した。
「そうだな。グレース様も襲撃の恐怖が拭えて居ないだろうから、
戻るとしよう」
アレクはグレースを部屋まで送り届けると平民の部屋とされてしまった自室に戻り、これからの勉強に備える事にしたのだ
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