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2 学園編
100 ハル様にお礼を言おう!!‥‥‥でもヘタレちゃん。
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「あーもう!!!」
この一週間、毎日30分以上、ハル様の部屋に続くドアの前でウロウロし続けている。
夕方の今ぐらいの時間ならいるかな?という時間を見計らってはドアの前を行ったり来たり。
自分でもイライラするぐらい、心臓はドキドキし続けてるし、目はぐるぐる回るし、呼吸は浅くなるし、そのせいか息が苦しい。もう、このまま心臓が止まっちゃうかもしれない。
ぐるぐる、ぐるぐる。
心はあっちへいったりこっちへいったり、留まることはできないのにどこにも行けない。
(ノックを‥‥‥)
緩く握った拳でドアをコンコンと叩く。
ただそれだけなのに。どうしてこんなに難しいんだろう。
でも、あれから一度もハル様と顔を合わせてないからどんな顔をしたらいいのかわからない。
もともとハル様は忙しくて日中も捕まらない人だけど、ここ最近は学園の中でも忙しくしているみたいで滅多に会うこともなくなっていた。
べ、別に会いたいわけじゃないよ?
一度学園内で見かけた時には心臓が止まりそうになって、思わず教室の中に隠れちゃった。
本当はハル様の姿を見たいのに。
ツヤツヤな黒髪を見るだけで腰が砕けて死にそうになるのに、スカイブルーの切れ長の瞳にこちらを見られたら、ショック死しちゃうかもしれない。でも、見たい。
真っ赤になってこっそりとハル様を覗き見する私のことをセオドアは呆れたように見ていた。
「おやまあ」だって。セオのばか。
次の日、セオドアが街にこっそり出かけていって、黒のガラス玉の中にマーブル模様のスカイブルーが散らされているガラス細工を買ってきてくれた。
「スーにも女の子らしいところがあるんだね」なんて言いながら、別にからかうわけでもなく、優しい目で笑って渡された。時々、こういうお兄ちゃんみたいな行動をするんだよね、セオは。
私は嬉しいやら恥ずかしいやらで、小声でお礼を言ってこっそり机の中にガラス細工をしまってある。
だって、持ち歩いて誰かに見られたら死んじゃうかもしれないもん。
恥ずかしいじゃない。
で、その時にセオに「殿下に一度ちゃんとお礼を言っとくんだよ」って念をおされたんだけど、言われる前からちゃんと、お礼ぐらい言おうと思ってたよ?
ただ、ちょっと勇気が出なくて‥‥‥
で、イマココ。
どうしても、ノックする勇気が出ない。
でも、ハル様の部屋の前にも私の部屋の前にも護衛騎士さんがいるから、その方達に見られると思うと、もっと恥ずかしい。絶対無理。
なんで、こんな簡単なことができないんだろう。
腕を頭の上まで勢いよく大きく振り上げる。
この腕を振り下ろすだけ、下ろすだけ‥‥‥はあ~~~~っ
で、できない。
「ステラ様」
突然、後ろから声がかかった。
「ひっ!!」
予想もしない声かけに飛び上がってしまう。
危なく心臓が転がり落ちるところだったよ!!!
そこには、いつものように穏やかな笑みをたたえた完璧メイドのアナさんが佇んでいた。
「アナさん‥‥‥」
「すみません、先ほどから何度かお声がけしていたのですが、驚かせてしまったでしょうか」
「えっ‥‥‥」
先ほどからって‥‥‥先ほどからって‥‥‥まさか見られてた?
私は思わずへなへなと座り込んでしまった。
アナさんは私とドアをちらりと見ると、まるでふと思いついたように、
「そういえば、ハルヴァート様をお茶にお誘いになってはいかがでしょうか?」
と言い出した。
「お、お茶?」
「ハルヴァート様はお忙しい身ですが、今日は少しお時間がおありだと聞いておりますよ?急ですが、伺って参りましょうか?」
「え、え、えええ?」
「ふふふ、ステラ様の応接室にお招きしてはいかがですか?婚約者ですし、問題ないかと。」
どきん!!!
アナさんの言葉に私の心は跳ね上がった。
激しく反応しすぎて痛いくらい。
「お、お茶‥‥‥」
「はい」アナさんがにっこりと満面の笑みになる。
「‥‥‥お茶します‥‥‥したいです‥‥‥アナさん、助けて~~~」
私はもう自分ではどうにもならなくなってしまい、アナさんに助けを求めてすがりついた。
****************************************************
お読みいただきましてありがとうございました。
あと2話ぐらいで2章が終わります。
今日のヒロインちゃんはヘタレててすみません。
明日はもう少し話が進みます。
この一週間、毎日30分以上、ハル様の部屋に続くドアの前でウロウロし続けている。
夕方の今ぐらいの時間ならいるかな?という時間を見計らってはドアの前を行ったり来たり。
自分でもイライラするぐらい、心臓はドキドキし続けてるし、目はぐるぐる回るし、呼吸は浅くなるし、そのせいか息が苦しい。もう、このまま心臓が止まっちゃうかもしれない。
ぐるぐる、ぐるぐる。
心はあっちへいったりこっちへいったり、留まることはできないのにどこにも行けない。
(ノックを‥‥‥)
緩く握った拳でドアをコンコンと叩く。
ただそれだけなのに。どうしてこんなに難しいんだろう。
でも、あれから一度もハル様と顔を合わせてないからどんな顔をしたらいいのかわからない。
もともとハル様は忙しくて日中も捕まらない人だけど、ここ最近は学園の中でも忙しくしているみたいで滅多に会うこともなくなっていた。
べ、別に会いたいわけじゃないよ?
一度学園内で見かけた時には心臓が止まりそうになって、思わず教室の中に隠れちゃった。
本当はハル様の姿を見たいのに。
ツヤツヤな黒髪を見るだけで腰が砕けて死にそうになるのに、スカイブルーの切れ長の瞳にこちらを見られたら、ショック死しちゃうかもしれない。でも、見たい。
真っ赤になってこっそりとハル様を覗き見する私のことをセオドアは呆れたように見ていた。
「おやまあ」だって。セオのばか。
次の日、セオドアが街にこっそり出かけていって、黒のガラス玉の中にマーブル模様のスカイブルーが散らされているガラス細工を買ってきてくれた。
「スーにも女の子らしいところがあるんだね」なんて言いながら、別にからかうわけでもなく、優しい目で笑って渡された。時々、こういうお兄ちゃんみたいな行動をするんだよね、セオは。
私は嬉しいやら恥ずかしいやらで、小声でお礼を言ってこっそり机の中にガラス細工をしまってある。
だって、持ち歩いて誰かに見られたら死んじゃうかもしれないもん。
恥ずかしいじゃない。
で、その時にセオに「殿下に一度ちゃんとお礼を言っとくんだよ」って念をおされたんだけど、言われる前からちゃんと、お礼ぐらい言おうと思ってたよ?
ただ、ちょっと勇気が出なくて‥‥‥
で、イマココ。
どうしても、ノックする勇気が出ない。
でも、ハル様の部屋の前にも私の部屋の前にも護衛騎士さんがいるから、その方達に見られると思うと、もっと恥ずかしい。絶対無理。
なんで、こんな簡単なことができないんだろう。
腕を頭の上まで勢いよく大きく振り上げる。
この腕を振り下ろすだけ、下ろすだけ‥‥‥はあ~~~~っ
で、できない。
「ステラ様」
突然、後ろから声がかかった。
「ひっ!!」
予想もしない声かけに飛び上がってしまう。
危なく心臓が転がり落ちるところだったよ!!!
そこには、いつものように穏やかな笑みをたたえた完璧メイドのアナさんが佇んでいた。
「アナさん‥‥‥」
「すみません、先ほどから何度かお声がけしていたのですが、驚かせてしまったでしょうか」
「えっ‥‥‥」
先ほどからって‥‥‥先ほどからって‥‥‥まさか見られてた?
私は思わずへなへなと座り込んでしまった。
アナさんは私とドアをちらりと見ると、まるでふと思いついたように、
「そういえば、ハルヴァート様をお茶にお誘いになってはいかがでしょうか?」
と言い出した。
「お、お茶?」
「ハルヴァート様はお忙しい身ですが、今日は少しお時間がおありだと聞いておりますよ?急ですが、伺って参りましょうか?」
「え、え、えええ?」
「ふふふ、ステラ様の応接室にお招きしてはいかがですか?婚約者ですし、問題ないかと。」
どきん!!!
アナさんの言葉に私の心は跳ね上がった。
激しく反応しすぎて痛いくらい。
「お、お茶‥‥‥」
「はい」アナさんがにっこりと満面の笑みになる。
「‥‥‥お茶します‥‥‥したいです‥‥‥アナさん、助けて~~~」
私はもう自分ではどうにもならなくなってしまい、アナさんに助けを求めてすがりついた。
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お読みいただきましてありがとうございました。
あと2話ぐらいで2章が終わります。
今日のヒロインちゃんはヘタレててすみません。
明日はもう少し話が進みます。
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