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3 ヒロインへの道
155 瘴気の出口
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ウサギは私を振り返り、ついてきているか確認するような仕草をしながら、ぴょんぴょんと前に向かい進み始めた。
でも、けものみちって人間のルートと違うのよね。
ほら、獣は四つ足だから、高さが低いのよ。なので人間が通る時には膝や腿に当たる潅木の細い枝を切り開きながら進まないといけない。
ケイレブとジョセフが剣で枝をはらいながら道を作ってくれる。
不思議なことに枝が避けてくれるので、それほどたくさんの枝を切らなくても済んだ。
前を行くウサギは、時々振り返りながら進んでいる。ついてきているのか心配みたい。
10分ぐらい歩くと、木の根元に「それ」はあった。
「うっ」
「うわ、なんだそれは」
ジョセフとケイレブが素早く腕で鼻と口を覆った。
さすが、戦士の反射神経。危機察知能力が高いね。
木の根元に隠れるように空いている、大きな穴。
立ち上るうっすらと黒い煙のような影。
《きもちわるい》
ウサギがこわごわと穴を見つめ、伝えてくる。
胸が悪くなるような気分の悪さ。
それは、穴から立ち上る瘴気から生み出されていた。
穴の大きさは30センチぐらいだろうか。
モグラの穴にしては大きすぎる。
私たちが近づくと、ポロっと穴の周りの土が欠け、また穴が大きくなった。
「みんな、鼻と口を覆ってください。魔獣化の原因は多分ここです」
私たちはそれぞれ持っていた布でしっかりと鼻と口を覆った。
多分、最初は小さな穴だったのだろう。
長い年月をかけて、少しずつ広がり、周囲に影響を及ぼすほどの大きさになってしまったに違いない。
そこから黒い煙のようにゆっくりと立ち上る瘴気は、周囲の空気を汚染し、根元に穴の空いている木はもちろん、近くの木からも生気を吸い取り枯らしかけている。
動物の魔獣化の原因は、この瘴気に違いない。
まず瘴気の影響を受けやすい小さな動物から魔獣化し、魔獣化した動物を食べた中型や大型の動物に魔獣化が広がっていったに違いない。
「これはなんだ?」
鼻と口を大きなチーフで覆ったケイレブが聞く。
そもそもこの穴の存在を知らなかったらしい。
「これは、瘴気だまりです。まあ、悪い空気というか。よくないものとでも言うべきか。瘴気の影響で小さな動物が魔獣化したんだと思います。」
私が伝えると、ケイレブは怪訝そうな顔をした。
「なんでそんなこと知ってるんだ」
確かに。ウサギに案内されたとか、前世で出てきたとか、そんなこと言えないよね?
「えっーと」困ったな。
「ステラは動物の気持ちがわかるのよ!」
リーラが私たちの間に割って入った。
「黒のハヤテだって、ステラには猫みたいに甘えるんだから!」
え、それって説明になるの?
「ハヤテが?」ケイレブが驚いたように言う。
「そうよ。それに、ハヤテたちに盛られた興奮剤だって浄化しちゃったんだから!」
「おお、すごいな。それが聖女の力ってことなのか?」
リーラの目が泳ぐ。
「・・・さあ・・・多分?」
いきなりトーンダウンしたよ。
まあ、気持ちはわかるけどね。
「ま、とりあえずはこの穴を塞ぎましょう。決していいものではないので。ここにいるだけで影響を受けてしまうかもしれないですから」
話はあとですよ!と私はみんなを見回した。
「ジョセフ、穴を塞げるぐらいの石を探してくれる?」
穴を塞ぐために石を探してきてもらったけど、穴を塞げば瘴気は消えるんだろうか。
また穴が広がればその隙間から瘴気が出てしまうだろうし。
木だけじゃなくて、動物にも影響が出てしまうに違いない。
魔獣化した動物に子供が傷つけられた、という話を思い出す。
どうか、森を害するこの瘴気がここからなくなりますように。
そう心から願う。
そのとき、周りから私に力が集まってくるのを感じた。
多分それは森の力。
木の力、地の力、風の力、そして動物たちの願い。
それらが一つになり、大きな金色の光となって私の手のひらに集まってきた。
「どうか、この森を元どおりにしてください。あるべきものはあるべきところへ。元来たところにお帰りなさい」
そう願いながら木の根元に金の光を押し込むようにして送り込む。
そのあと、ジョセフとケイレブに穴の上に石を置いてもらった。
光が石の間から漏れ、周囲を照らした。
今まで枯れかけていた木は枝先から新芽が吹き出し、根元から樹皮が剥がれその下から新しい組織が生まれてきた。
そして、しばらくすると木は緑に満ち、真っ白な花が咲き乱れた。
「うわあきれい」
私が木を見上げて思わず言ってしまうと、木は枝を揺らし私に一枝花が咲いた枝を落としてくれた。
《ありがとう》
どこかから声が聞こえる。
「ふふ、どういたしまして」
私はにっこりと笑みを返した。
でも、けものみちって人間のルートと違うのよね。
ほら、獣は四つ足だから、高さが低いのよ。なので人間が通る時には膝や腿に当たる潅木の細い枝を切り開きながら進まないといけない。
ケイレブとジョセフが剣で枝をはらいながら道を作ってくれる。
不思議なことに枝が避けてくれるので、それほどたくさんの枝を切らなくても済んだ。
前を行くウサギは、時々振り返りながら進んでいる。ついてきているのか心配みたい。
10分ぐらい歩くと、木の根元に「それ」はあった。
「うっ」
「うわ、なんだそれは」
ジョセフとケイレブが素早く腕で鼻と口を覆った。
さすが、戦士の反射神経。危機察知能力が高いね。
木の根元に隠れるように空いている、大きな穴。
立ち上るうっすらと黒い煙のような影。
《きもちわるい》
ウサギがこわごわと穴を見つめ、伝えてくる。
胸が悪くなるような気分の悪さ。
それは、穴から立ち上る瘴気から生み出されていた。
穴の大きさは30センチぐらいだろうか。
モグラの穴にしては大きすぎる。
私たちが近づくと、ポロっと穴の周りの土が欠け、また穴が大きくなった。
「みんな、鼻と口を覆ってください。魔獣化の原因は多分ここです」
私たちはそれぞれ持っていた布でしっかりと鼻と口を覆った。
多分、最初は小さな穴だったのだろう。
長い年月をかけて、少しずつ広がり、周囲に影響を及ぼすほどの大きさになってしまったに違いない。
そこから黒い煙のようにゆっくりと立ち上る瘴気は、周囲の空気を汚染し、根元に穴の空いている木はもちろん、近くの木からも生気を吸い取り枯らしかけている。
動物の魔獣化の原因は、この瘴気に違いない。
まず瘴気の影響を受けやすい小さな動物から魔獣化し、魔獣化した動物を食べた中型や大型の動物に魔獣化が広がっていったに違いない。
「これはなんだ?」
鼻と口を大きなチーフで覆ったケイレブが聞く。
そもそもこの穴の存在を知らなかったらしい。
「これは、瘴気だまりです。まあ、悪い空気というか。よくないものとでも言うべきか。瘴気の影響で小さな動物が魔獣化したんだと思います。」
私が伝えると、ケイレブは怪訝そうな顔をした。
「なんでそんなこと知ってるんだ」
確かに。ウサギに案内されたとか、前世で出てきたとか、そんなこと言えないよね?
「えっーと」困ったな。
「ステラは動物の気持ちがわかるのよ!」
リーラが私たちの間に割って入った。
「黒のハヤテだって、ステラには猫みたいに甘えるんだから!」
え、それって説明になるの?
「ハヤテが?」ケイレブが驚いたように言う。
「そうよ。それに、ハヤテたちに盛られた興奮剤だって浄化しちゃったんだから!」
「おお、すごいな。それが聖女の力ってことなのか?」
リーラの目が泳ぐ。
「・・・さあ・・・多分?」
いきなりトーンダウンしたよ。
まあ、気持ちはわかるけどね。
「ま、とりあえずはこの穴を塞ぎましょう。決していいものではないので。ここにいるだけで影響を受けてしまうかもしれないですから」
話はあとですよ!と私はみんなを見回した。
「ジョセフ、穴を塞げるぐらいの石を探してくれる?」
穴を塞ぐために石を探してきてもらったけど、穴を塞げば瘴気は消えるんだろうか。
また穴が広がればその隙間から瘴気が出てしまうだろうし。
木だけじゃなくて、動物にも影響が出てしまうに違いない。
魔獣化した動物に子供が傷つけられた、という話を思い出す。
どうか、森を害するこの瘴気がここからなくなりますように。
そう心から願う。
そのとき、周りから私に力が集まってくるのを感じた。
多分それは森の力。
木の力、地の力、風の力、そして動物たちの願い。
それらが一つになり、大きな金色の光となって私の手のひらに集まってきた。
「どうか、この森を元どおりにしてください。あるべきものはあるべきところへ。元来たところにお帰りなさい」
そう願いながら木の根元に金の光を押し込むようにして送り込む。
そのあと、ジョセフとケイレブに穴の上に石を置いてもらった。
光が石の間から漏れ、周囲を照らした。
今まで枯れかけていた木は枝先から新芽が吹き出し、根元から樹皮が剥がれその下から新しい組織が生まれてきた。
そして、しばらくすると木は緑に満ち、真っ白な花が咲き乱れた。
「うわあきれい」
私が木を見上げて思わず言ってしまうと、木は枝を揺らし私に一枝花が咲いた枝を落としてくれた。
《ありがとう》
どこかから声が聞こえる。
「ふふ、どういたしまして」
私はにっこりと笑みを返した。
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