そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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5 フィナーレ

234 愛の告白

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私の部屋に戻ってきたハル様は今までとは違っていた。
なぜだか、今までよりも大きく見える。
なんでだろう。
その理由は多分、自信。
もしかして、私の告白がハル様にいい影響を与えたんだろうか。
だったらうれしい。

ハル様の感情はあまり伝わってこない。
というか、私が、あまりうまく読めない。
きっと、私がハル様を好きだからだと思う。
ハル様の感情がああだったらいいなとかこうだったらいいなとか、余計な感情が入りすぎちゃうから、正しく読み取るのが難しいっていうか。
嬉しいとか悲しいとか単純でだれにでもわかる以上の情報を読み取るのが難しい。

ちなみに、家族の感情も上手く読むことができない。
とうさまとかセオとか。やっぱり、近すぎる人だからなのかな。

「ステラ」

そう言って目を輝かせながら、私の手を握ったハル様。

「よかった。本当に戻ってきてくれたんだな」

その時のハル様の微笑みを、私は生涯忘れることはできないだろう。
今まで彼が感じていた不安や恐怖が遠く去り、そこに残ったのは信頼と安堵。そして限りないほどの喜びだった。
彼の全てが私に伝えてくる。
うれしい、うれしいって。

照れ臭くなるほどの、まっすぐな感情に思わず顔が赤くなってしまう。
そして、ハル様の喜びは私だけではなく、部屋にいた人全員に伝染した。
部屋の中に歓喜があふれる。
今世界中でいちばん幸せな場所は、ここに違いない。

「ハル様」もう何も言わなくてもいい。
ハル様の気持ちは全部伝わりました。
この人は、私がいなければだめ。私がこの人じゃなければだめなように。
そうだ、これが二人が一つになるってことなんだ。
愛し合い、互いに欠けたピースがぴったりとはまって、完全になる。
その時、世界は色を変え、今までとは違う輝きに満ちた新しい世界に変わっていく。
よかった。
私、間違えなかった。
ハル様のところに戻ってきたのは、間違いじゃない。
いえ、これ以上ないほどの正しい選択だったんだ。

「ステラ」ハル様がもう一度私の名を呼ぶ。
「はい、ハル様」
「えー、ごほん。それでさっきの返事だが」と、そこまで言ってハル様は部屋中から集まる視線に気がついたみたい。みんな好奇心の塊になって、ワクワクしながらハル様の次の一言を待っている。はっとしたように周りを見回すと、右手を振って人払いした。
流石のクロードさんも諦めたようにため息をつき、部屋の中は私たち二人きりになった。

「まずは、ありがとう」ハル様は私の手をぎゅっと握りしめた。
「今まで、私は自分が愛されるに足る存在だと信じきれていなかったようだ。君が私を愛していると言ってくれた時、単純だが嬉しい、と思った。次に私の中に生まれたのは、私が私として生きていていいんだという思いだった。今までの私は、王となる定めのために役に立つ人間になること。それだけしか考えていなかったし、伴侶も同じ理由で選ぶことしか考えていなかった。

あの時、君を失うかもしれないと思った時、私を襲ったのは恐ろしいほどの恐怖だった。君がいない人生は空虚で果てしない。真っ暗な暗闇の中たったひとり生き続けないとならないと思った時。君がいてくれさえすれば、私の人生は満たされる。そう気づいたんだ。

ステラ。どうか命尽きるまで、いや命が尽きても私とともにあってほしい。君がいれば、私はそれだけで幸せになれる。君は私にとって、何よりも大切な、私の一部。どうか、あの日の約束を果たしてくれ」

あの日。男爵領の湖で誓い合った約束。あれからいろいろなことがあった。
でも、気持ちは少しも変わっていない。ううん、むしろ強くなった。
ハル様は握りしめた私の手に口付けた。

「あの時は言えなかった。でも今なら言える。愛してるよ、ステラ。私とともに生きてほしい。私には君だけだ」

ぽろり。涙がこぼれる。

「私、私もハル様とともに生きたいです。でも一つだけ不安があります。もし私に聖女の力がなくなったら、ハル様はどうするんですか。私は男爵家の私生児です。聖女でなければ、王妃などとても無理でしょう。今は聖女の力がありますけど、突然力に目覚めたんだから、突然消えるかもしれません。その時に、ハル様に迷惑をかけてしまわないか、それだけが不安です」

ハル様はそっと私を抱きしめた。

「考えてもいなかった」
「え?」
「最初に会った時に言ったろう?私の婚約者として王宮に来いと。正直聖女であるかどうかは、どうでもよかったんだ」
「・・・そんなこと・・・そういえば、確かに言いましたね」
ごほんとハル様がまた咳払いした。
その顔は真っ赤に染まっていた。

「ま、そういうことだ」
「~~~!!!」

ああ、もう!大好き大好き!好きが溢れて止まらなくなる。なんて不器用!なんて可愛いの!私の中はハル様への好きがいっぱいで爆発しそうになる。
思わず、ぎゅっとハル様にしがみつくと、ハル様もぎゅーっと抱きしめてくれた。

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