全寮制男子校

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「はい!皆さん。おはようございます。今日の連絡は新入生歓迎会の連絡です。明後日土曜日の午前中に開催されるそうなので皆楽しんで」



何気ない平日の朝。
ベテラン先生の連絡から始まった。
新入生って言う単語を聞くとあのクソが思い出される。

あのワカメの所為で俺は二人に揉みくちゃにされて穴がおかしくなったんだぞ…。
和也と翔は体力バカなのだとその時理解した。しかも俺の腰が復活するまで2日は掛かった。



「新入生歓迎会かぁ…何すんの?」



「和也は知らないか…俺らの時は立食パーティーだったぞ」



「あぁ…食べた事無い食い物めっちゃ出るぞ!俺は幸せだった」




食べた事無い料理を沢山食ったのを思い出して顔がニヤける。そんな俺を二人は呆れた顔で見ていた。



「だからその顔だめだろ…」



「剛に言っても無駄だ。剛…そんな可愛い顔してるとキスするぞ?」




「は?ふざけんなっ…」




翔が俺の耳元で話してくる。擽ってぇ…。
正直一線を超えてから翔のスキンシップは常識を超えている。
こんなヤツだったか?と切れ長の眼を睨んでやる。
そんな俺の攻撃なんて聞いて無いのか、ふっと笑って俺から離れる。




『見た?笹野木様笑った!今…!わらった!』
『二人のやり取りいいーーぼくヨダレ出そうだよ…』




笑った途端クラスが騒がしくなったが内容までは分からないので考え無い事にした。



「静かにね。それで今日放課後に生徒会から説明あるから、講堂集合してくださいね」



先生からの面倒連絡。プリントとかで良いじゃないか…。
溜息が出る。
最近絡むことが合ったからか生徒会と聞くだけでやる気が起きない。
生徒達が生徒会の連中に会えると色めき立っているのを横目に二人に視線を送ると二人も同じ考えらしい。



「生徒会とか…絶対あの一年問題起こしそうな気がする」



「起こしそうじゃねぇ…絶対だな」



和也も翔も溜息だ。放課後なんて来て欲しくない。
そんな風に思うと、時間が過ぎるのは逆に早い。
楽しい体育や購買で買った焼きそばパン…午後の授業も普段だったら答えの出ない問題もスラッと出てきて機嫌は良い。
しかし講堂に向かう脚が重い。三人で移動して怠いオーラを撒き散らしながら二階席に座る。



「相変わらず…すげぇ人な」



「だな…ほら見てみろ、一階席でバカが暴れてるぞ?」



「ん?何やってんだあれ?」




極力見ない様にしても無理だった。
ワカメが一階の一年席で叫びまくっている。
全校生徒が注目してるんじゃ無いか?ワカメの煩さに文句を言ってる生徒がチラホラいる。

外見主義ではないがあの汚い格好して話してる声量が半端じゃないから他の生徒に嫌味を言われるのも納得してしまう。
聞きたくもないのに話の内容は聞こえてくる。



「なんだお前ら!?なんでそんな事言うんだよ!!」



『なっ!だからお前!自分の立場わかってる!?生徒会の皆様に近づいて!ご迷惑かけてるの!分からないの?ふざけないでよ!』



「そんなの俺のせいじゃないだろ!友達と一緒にいて何が悪いんだ!俺は悪くない!」



『幸哉様と勝利様が友達!そんなの認めないから!!それにっ!轟木様と湊様はあんたが煩いから迷惑だって仰ってる!』




「うるせーよ!!」





一年同士だろうか?ギャーギャー騒いでるな。
小さい生徒二人がワカメを囲んでた。
ってか小さい方も大概声がデカい。

生徒会の親衛隊だろうか?ワカメの行動に痺れて何が言ったらしい。
親衛隊がキレるのも分かる。
何故か?会長と副会長はこいつに眼を付けて何処でも一緒に居る様になって他の親衛隊との時間を作ってないんだろう…(生徒会の仕事はしてるみたいだが)



『僕たちは認めないからね!アンタみたいなヤツ生徒会長様には似合わない!その外見鏡で見てきたら?汚らしい!』


『甲斐くんも誠司くんも取り巻きにして!親衛隊舐めないでよね!』


「はぁ!!外見で人を判断するなよ!お前ら最低だな!!そんなくだらねぇ考え方変えてやるよ!」



ドゴッ!



『きゃーー!!!』
『大丈夫!?アイツ…!殴った!』




地獄絵図。ワカメが一番前にいた生徒を殴った。躊躇なく。いい腰の回転だった…。

良かった。二階席で…。
二人を見たら遠い目をしてる。俺も、そうしよう。一年生のやり取りを俺たち含め生徒会に興味がない上級生は冷めた眼をしていた。
まぁ他の生徒会親衛隊やイケメン好きの奴らはガン見してたけどな。

暫くして進展があったのか殴られた生徒には仲間の親衛隊が近づいて介抱していた。
そしてまだ暴れているワカメをいつもの取り巻き一年二人が羽交い締めにして拘束していた。
殴られた生徒は言葉は悪かったが災難だ…。
痛いだろう…泣いているかもしれない。

その間ステージ上から副会長が猛ダッシュ。



「祐!どうしたのですか?大丈夫ですか?…ケガは?」



「幸哉!聞いてくれよ!コイツ俺に文句言ってきたんだ!なぁっ!俺悪くないよな!?」



「当たり前です!そこのお前…祐になんて事をしたんですか?ちゃんと処分しますからね!」




俺の頭がおかしいのか?何だこの茶番は?誰がどう見てもワカメが悪い。
副会長は考える頭も腐ってんのか?目の前に居る殴られた親衛隊は顔を青ざめて体が震えていた。
そして副会長の後ろには遅れてきた会長も到着した。



「あい…お前達…俺の祐に何しやがった?」


『勝利様…僕たちは勝利様の為を思って!』


「俺の?あぁ…俺の親衛隊か?クソだな。そんな物いらねぇんだよ」


『そんな…勝利様!!嫌です!』


「うるせぇ!祐に迷惑かける奴ヤツらなんて俺は必要してない」




かなり理不尽な事を話してる。お前を守るための親衛隊だろう…。
愛しのワカメかもしれないが目の前の親衛隊はそいつに殴られ頬が腫れ鼻血も出してる。
俺が通ってた学校はこんなクソな学校だったか?
他の生徒もこのやり取りが不快なのか苦い顔つきで見ている。
なんか…一気に体温が上がった。
色々と限界だったんだ。



「おい!剛!」


「ちょ!」



身体が勝手に動いてた。
後ろで二人の声が聞こえていたが俺は二階から一階に飛び降りワカメに近づいた。



「歯ぁ食いしばれよ?」



「な!?ぐぁっ!!」


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