全寮制男子校

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あれから数ヶ月が経って学校は冬休みに入った。秋に翔の家族と話をしてから俺は来年に向けて勉強しまくった。元々覚えが良かったのかこの間の期末では信じられない位成績が上がって自分でもビックリしたのを覚えている。


さて…ちゃんと勉強して学生らしい生活をしていた俺達は今何処に居て何をしているか?



「寒すぎる…こんな時期にやる事なのか?」


「まぁ…そう言うなって」


「母さんの暴走だからな…たまには付き合ってやってくれ」





俺が今立ってる場所は豪華客船のこれまた豪華なホールだった。三百人は居るだろう煌びやかな招待客の中に俺と和也と翔が混じっている。
キッカケは紗英さんからの一本の電話が俺に掛かって来た事から始まった。




「あ!剛くん?お久しぶり!いきなり連絡してごめんなさいね…あのね…今年の年越し私達が主催してるパーティーに来ない?翔に聞いたら和也くんの家で三人でするって言ってたじゃない?
そんなの!私が何にも見れないし寂しいじゃない?
だから!私達と年越ししましょ?結構な人数が集まるから楽しいわよ!ね?良いでしょう?和也くんの家の人も剛くんのお母様も呼んで良いから!」」




「え?」



今年は俺の母親が仕事で年を一緒に越せない。だがら和也と翔と年越しをしようと計画を立てていた。
あれ?確か翔は父親に三が日終わってから仕事を手伝うとの約束してパーティーを断っているハズ…。
しかし…私が何も見れない?それはあなたの趣味が暴発してるのではないでしょうか?


ハンズフリーにして二人にも聞かせる。




「母さん…もしかして俺達のナニが見たくてとかじゃねぇよな?」



「えっ!ちっ違うわよっ!酷いわっ!私はただ三人が居ないのは嫌なのよ!寂しいし…だって冬休みに私が計画立てて雄介さんに認めてもらうの失敗しちゃったじゃない!そうすると私ずっと会えないのよっ!分かってるの翔っ!」



なぁ?キャラ変わってないっすか?バレてからの己の道を隠さず堂々と言うようになって来たとは思うが…。



「親父に連絡したら大丈夫だって。紗英さん俺の親父と兄貴参加でよろしくお願いします」



「え?和也決めるの早くね?」



「いいじゃん。年越し豪華に過ごせるんだぜ?俺は二人が居れば良いし…親父達も新しい顧客はを作る良い機会だしな」



「和也が良いなら俺も大丈夫だ。毎年出てるが別にそんなに窮屈じゃないぞ?」



「だからって…」



「剛?パーティーだぞ?どんなディナー何が出ると思う?」




「はっ!俺も行きます」



「あら?すぐ決まって嬉しいわ!それなら直ぐちゃんとした招待状送りますね。剛くんのお母様はどうしようかしら?」



「俺の母親は仕事なので気にしないでください。ご飯楽しみにしてます」



















そんなやり取りをしてからの年末は直ぐだった。クリスマスから三人で和也の家で楽しんで翔の家のパーティーに和也家のブラックスーツに送ってもらって今に到る。

多分皆んな知ってると思うが真冬の海は風が強く寒ぃ…シックなグレーのスーツを着て黒のコートを着てるけどそんなレベルじゃない。今俺はだいぶ長くなった髪をハーフアップで結んでるがそれすらぶっ飛びそうな暴風…。しかし流石豪華客船。ちゃんと出向して海遊している。





「本当に出航してるのが凄ぇ…」



「それよりもこの人数が泊まれる客室があるのも凄ぇ…」



「二人ともこうゆうパーティーは初めてか?」



「翔…堅苦しく無いって言ってなかったか?」




俺と和也は所詮庶民だ。人よりマナーとか知ってるだけのな…。このパーティーは次元が違う。所謂社交ダンスって事だ。昔風に言ったら舞踏会みたいな感じで生の音楽に合わせて紳士と淑女が踊っている。まぁ…タイトなドレスで綺麗な人が多い。
ってか翔知ってたら先に教えてくれよ。俺あんまり女性と身体を密着させるダンスは好きじゃない(出来ない訳じゃねぇぞ)



「俺ダンス得じゃねぇんだよな…」



「嗜みってヤツだぞ?剛と和也ちゃんと気合い入れろよ?親父も居るんだ…目立ってやろうぜ?」



人の悪い笑みだ…まぁ毎年出てる翔の両隣に俺とイケメンの和也が居るだけでその場の視線はこちらに向かっているのが分かる。もちろん雄介さんの視線も感じる。眼は合わないがな…。

しかしここに来てビックリする事が多い。雄介さんと和也の親父さんが顔見知りだって事だ。前に一緒に仕事をしたのを覚えていたって感じだろう(多分ちゃんと堅気の仕事だと思いたい…)
見た事もない外面で和也の親父さんに挨拶してる翔父を見て久し振りに人をぶっ飛ばしたくなった。

一緒に来たのは良いがやはり大人組は殆ど仕事の関係の挨拶回りだろう。親父さんと智也さんは名刺交換に余念が無い。こんな社交的なヤクザ見た事ねぇぞ。




「さ…俺達は取り敢えず腹ごしらえと行きますか」


「賛成っ!」



「スイッチ入ったな」



俺は何も聞こえない。さぁ…そのテーブルに並んでるキラキラした料理達よ…俺の胃袋に美味しく入って来いよ?
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