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21. 報告します
しおりを挟む「は?すまぬがもう一度言ってもらえるか…」
僕の母でありこの国の女王が僕の話を信じられないとばかりに額をおさえて聞いている。
「信じられない気持ちは僕にも理解できます。僕も最初はサファイアが夢でみたことを言っているのだと思いましたから…。しかし、事実なのです…僕とサファイアの子供がお腹の中にいるにも関わらず話しかけてくるのは…」
「は~…」
母は大きな溜め息を1つした。
「アデルの時も話を始めるのが異様に早かったが…まさか胎児の時点で話すなんて…規格外すぎるだろ」
知らなかったんですけど、僕も話し始めるのが早かったのか?
「あの人はそこまで言ってなかったのだろう…」
母が言うあの人はお父様の事だ。
母は僕を生んだ後にこの国の貴族の男性と結婚した。
周りが父親の分からない子供を生んだ母を許さなかったからだ。
王家の血筋は母しかいなかったので母を今の地位から降ろすことはできなかった為、この国の身分が高い男性と結婚して子供を作る事で母が王座に就くことを許したのだ。
その為か、母は私の父の話をすることはなかった。
僕の父があの神様だと知ったのも2年くらい前に始めて知ったのだ。
そして、母は今だにあの人と言っている。
「そうですね…。この国の偉大な王になる子供だと言ってくれましたが…胎児の時から話ができるとまでは教えていただいていません」
「ちょっと待て…偉大な王?胎児は…子供は男の子なのか?」
あれ、言いませんでした?
「はい。名前はサファルと言います」
「は!?名前も決まっているのか?」
「決まっているというか…僕とサファイアが男のならこんな名前はどうかな~と話していたのを本人が聞いていたらしく、その名前で反応するのでそのままにしています」
「…お前は、何故早くその事を言わないのだ」
母は先程よりも大きな溜め息をついた。
「話す順番が違うだろ!王子が生まれるなら国としても色々な準備をしないと…しかも普通の赤子として生まれてくるのかどうかも怪しい…情報も漏れないようにしないといけないし、警備も整えないといけないしやることが山積みではないか!」
ハアハア…。
母の息が上がっている。
「お母様…落ち着いて下さい」
母は俺をきつく睨んだ。
「これが落ち着いていられるかー!」
「女王様!大丈夫ですか?何かありましたか!?」
扉の外で待機している護衛が普段は冷静な母の怒鳴り声を聞いて心配しているのがわかる。
「大丈夫だ!」
母が外の護衛に声をかける。
「全く…お前と話すと血圧が上がってしまう。話しは分かったから、もうお前は帰れ」
「分かりました」
「あっ、待て!明日サファイアに会いに行くからな。サファイアに伝えておいてくれ」
え?何で…。
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