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1. まさかの龍神様登場
しおりを挟む「はあぁ~~今日もこんな時間かよ。本当にうちの会社ブラックだよな。」
会社の定時は17時なんだが今の時刻は夜の11時を過ぎている。今日はまだいつもよりはまだ早い方だ。
坂口 竜太(さかぐち りゅうた)28歳は毎日こんな感じでボヤキながら帰宅していた。ただ、今日はいつもと少し違う日だった。それは…。
「今日で28歳か…。誕生日なのに誰にも祝われないとかって寂しすぎるよな。」
そう、今日は竜太の28回目の誕生日なのだ。
いつもの様にボヤキながら歩いていると周りの景色がいつもと雰囲気が違う事に気がついた。
「あれ?いつもの道を帰っていたつもりだったけど、こんな所に神社なんてあったかな?」
竜太は何となく気になって神社の中を見た。何かやっているのか、灯籠に火が灯り不思議な雰囲気を醸し出しているが怖さは感じなかった。
「よし!今日は俺の誕生日だし神様にお願いを聞いてもらおう。」
竜太は神社の境内に入って行った。境内は少し靄がかかったような感じで本殿以外はハッキリと確認できない。
「お賽銭…語呂合わせでも良いかな?115円でいいご縁にしようかな」
鈴を鳴らしお賽銭を滑り入れ2礼2拍手1礼した。
確か住所と名前を告げてお願いした方が神様に願いを聞いてもらいやすいと聞いた事があったな。と思い出し声に出して言ってみた。
それから願い事だな。
願い事…何にしよう。今の生活を変えたい?彼女がほしい?お金持ちになりたい?あげればきりがないよな。
う~ん。
「神様、俺を幸せにしてください!」
まるでプロポーズの様な願い事になってしまった…と口にした後で気がついたがもう遅い。誰も周りに居なくて良かったと思っていたら、どこからか声が聞こえてきた。
『…分かった。ワシの頼みを聞いてくれるなら幸せになれるように手伝ってやるぞ。』
頭の中に直接響いてくるような不思議な声だった。
「だ、誰かいるのか?」
今更ながら深夜の神社に1人で居ることが怖くなってきた。もしかしてお化けなのか?
『失礼な!ワシをお化けと一緒にするな!お前の頭上を見てみろ!』
「へ?頭上…。」
言われた通りに上を見上げるとそこには大きな長い金色の身体をした龍の姿があった。
「うわぁ!!」
竜太は驚いて尻餅をついてしまった。これは夢?あれ?俺はいつ寝たんだったかな?
『夢にするでない!現実じゃ!』
「あれ?俺…今の声に出してたかな?」
さっきから思っただけの事に返事があるから不思議で仕方がない。
『ワシくらいになるとお前の考えている事くらい読めるのじゃ。お前はそんな事も知らないのか?』
いや、逆にそんな事を知っている奴がいるのか?
『お前は…。やっぱり願い事を聞くのは無かったことにしようかのう。』
金色の龍は顔を上に向けて空高く登って行こうとしている。
「あ!すいません。謝りますから願い事は聞いてほしいです。」
俺は急いで龍を引き留めた。こんなチャンスは2度とないと思うからだ。
『やっとまともに話ができそうじゃな。』
龍は俺の目の前でトグロを巻くような姿になっている。
「あの…聞き間違いでなければ、頼み事を聞いてくれるならって聞こえたんですけど。」
『その通りじゃ。ワシの頼み事を聞いてくれたら願いを叶えてやると言ったのじゃ。』
物々交換なの?神様なのに?そこは無償の愛とかじゃないの?
『お前は…まだ分かっていないようじゃな。神様だって好き嫌いがあるぞ!頑張っている人間は助けてやりたいし、勝手な時だけにお参りに来る人間よりも毎日気持ちを込めて感謝を述べてくれる人間が好きじゃ!無償の愛なんて…鼻で笑ってやるぞ。』
そうなんだ。神様達も人間とあまり変わりはないんだな。何かちょっと…残念。
『お前!残念とはなんじゃ!やっぱり止めじゃな。』
再び龍は天高く登って行こうとする。
「すいません!本当にすいません!!反省しますから戻ってきて下さい。」
俺は両手を合わせてお願いした。
『今度はないからな。』
「はい!それで頼み事って何ですか?」
『実はな…異世界で龍の仲間が大変な目に遭っているのを助けたいのじゃ。』
「異世界ですか?」
小説とかで異世界転生とかが流行っているのは知っているが、現実にそんな事があるのか?
『お前達が今いる世界は何個もある世界の1つにしか過ぎないのじゃよ。平行していくつもの世界があるのじゃ。』
「へぇ~、そうなんですね。助けるって俺にそんな事ができるんですか?」
何、俺ってもしかして本当は凄い能力のある奴だったのか。俺って最強みたいな。
『それは無いから安心しろ。お前の先祖が龍使いだったから頼んでいるだけじゃ』
あっけなく俺の夢砕かれる。…辛いな。ん?だけど先祖が龍使いなんて聞いた事がないけど。
龍使いっていったい何?
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