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97. 賢人さんの様態
しおりを挟む賢人さんが病院に運ばれた…。
私は頭が真っ白になっていた。会社で顔を合わせた時は変化はなかったわよね。いったい何があったの?
「おい!大丈夫か?」
そうだ、まだ電話中だったわ。
「は、はい。あの…けん…島岡さんは大丈夫なのですか?」
気が動転して賢人さんと言いそうになってしまいました。
「今、病院に到着したばかりで分からないんだ。何か分かったらまた連絡する」
私も今すぐに病院に行きたいけど…昼からの仕事があります。
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
電話を切っても心臓がバクバクしています。
賢人さん大丈夫でしょうか…。
もうすぐ昼休みが終わるので急いで会社に帰りましたが、昼からの仕事になかなか身が入りません。
まだ検査をしているのでしょうか。
何か見つかって時間がかかっているのでしょうか。
…駄目ですね。
悪い方にしか考えられなくなっています。
これではいけない。
きっと大丈夫よ。賢人さんから笑って電話がかかってくるわ。「心配させてごめんね」って。
賢人さん…。
「藤堂さん、橘さんから外線よ」
「はい!」
待っていた連絡がきました。
「もしもし…」
緊張しながら電話にでました。
「藤堂か?今日までの仕事の資料があったのを思い出したんだ。すまないが、それを持ってきてほしい」
「え?病院にですか…」
「ああ、来たら俺と交代しよう。島岡さんも目が覚めたら藤堂がいる方が嬉しいだろうからね」
橘さんは気を使ってくれているのね。
「分かりました。その資料はどこにしまってあるのですか?」
「俺の机の…」
場所を聞いた後、電話を保留にして探したら、すぐに見つかりました。
「ありました。これを持って行けば良いのですね。場所は?」
病院の名前と住所をメモして電話を切った。
上司に橘さんの書類を届ける事を話して急いで病院に向かった。
島岡さんの様子は聞けなかったけど、もうすぐ会えるのだから…。
私は何とか自分を落ち着けようとしていた。
大丈夫…大丈夫よ。
病院の前まで来ると橘さんが外で待っていました。
「橘さん!」
私は思わず走り出してしまった。
「来たな。資料は?」
「これです。あの…それで島岡さんは…」
橘さんは私の肩をトントンと軽く叩いた。
何だろう?どういうことなの?
「お前さ…最近島岡さんとケンカでもしたのか?」
「え?」
今それ関係ありますか?
「まあ、詳しくは本人から聞いてくれ」
「え?」
謎かけみたいなんですけど?
それだけ言うと持ってきた資料を受け取り取引先に行ってしまいました。
え?ちょっと…どういう事?
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