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5. 私のご主人様
しおりを挟む猫って大変なんだなぁと実感する日々が続いています。
ご主人様は私のことを可愛がってくれようとするのですが、やっぱり前世の記憶持ちの乙女としては抵抗があります。
前世の記憶では、私は20歳の女性でした。もちろん、乙女と言うからには独身、彼氏なし、誰かと付き合うこともなく…たしか、事故で亡くなったんです。
この辺は、はっきりと覚えてませんが…。
そんな私が猫になったからといって、あんなイケメンさんにずっと触られるのは心臓に悪すぎます。
お風呂もおトイレも苦行です。
毎回、修行僧の様に無になります。
そうじゃないと堪えれません。
おトイレの時ですら、プルプル震える足が可愛いとか言って見られているんです。
ここには猫権はないのです。(人権か?)
ちなみに私のイケメンご主人様のお名前がわかりました。
アデル=カルダナルと言うらしいです。
お仕事は、ずっと家にいる気がするんですけど、貴族様なのかな?そこはまだよくわかりません。
年齢も20歳代かなというくらいしかわかりません。
そして、この家には長老さんの他にも、モフモフさんがいることがわかりました。
犬のザジさんです。
ザジさんは私と同じ女性で、歳は長老と近いみたい。大型犬なので、出会った最初はビックリしましたが、ザジさんもすごい優しいんです。
モフモフ不足の私はザジさんの懐で昼寝をさせて頂き充電させてもらっています。
ザジさんも私と似ていて少し毛が長いので触ると気持ち良いんですよ。
侍女さんが毎日ブラッシングをしてくれているから毛艶も最高で、私が人間なら顔をお腹あたりにつけてグリグリして匂いを嗅ぎたいくらい…まぁ、猫の姿でもしてますけど。
だから毎日、侍女さんに笑われています。
私は変わった猫だと思われているみたいです。
そりゃそうですよね、犬のお腹に顔をあてて喜んでる猫って…変態にしか見えない…。
でも、この家の人達は私に優しくしてくれます。
侍女のイルラさんは私のブラッシング係で、とても丁寧に優しくブラッシングしてくれて、おまけにこっそり、おやつもくれたりするんです。
クッキーとか、果物とか…別に食べ物で釣られているわけではないですよ。
あと、執事のバルダさんは、顔は強面なんだけど実はモフモフ好きみたいで、人がいない所でこっそりおやつをくれたりするの。ギャップが可愛いんだよね…念をおしますが食べ物で釣られていませんよ。
そして私は、このお屋敷を色々と探険した結果、やっぱりモフモフ好きには悪い人はいないと言う結論になりました。本当、この家に連れてきてくれた長老さんに感謝です。
でも、悩んでいることもあるんです。
それは、ご主人様が寝る時に必ず私を抱いて寝ようとする事です。
どんなに逃げても朝が来て目が覚めたらご主人様の腕の中にいるのです。
毎朝、私の鳴き声(叫び声)がご主人様の目覚まし時計の代わりになっているみたいです。
こっちは毎日寿命が縮む思いです。
嫁入り前の乙女が毎日男性とベッドで一緒に寝いてるなんて…。
でも、綺麗なご主人様の顔を引っ掻く勇気もなく…このまま慣れていきそうで怖いです。
ご主人様の気持ちは理解できますよ。私だって人間だったら触り心地の良いモフモフさんを抱きながら寝たいです。
だけど、いざされる側の猫になるとね…。
何だか、複雑な気持ちです。
『 お~い!神様~!調査はどうなっていますか~。早くどうにかしてくださいよ~!』
………。
ハァ~。今日も応答なし。
猫生活はまだ続きそうです。
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