神様!モフモフに囲まれることを希望しましたが自分がモフモフになるなんて聞いてません

縁 遊

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49. 僕の弟 ①〈アデル視点〉

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「東の魔女の所で匿われていますので安全かと思われます」

母にお願いをして力を貸してもらっている、隠密のモリーが僕にそう報告してきた。

東の魔女って確か…リルの師匠だったんじゃないかな?

「それにしても、サファイア様は変わった方ですね…」

「え…何かあったの?」

確かに…少し変わっている所はあるけど…。

「私と一緒に行った隠密犬のルルに顔を押し当てて気持ち良さそうにされていましたよ…お礼まで言われました」

うわ~…。
アレを人前でしたのか…。

そうだな…ザジとも会えていないし、ストレスも溜まっているんだろうな。

「そうか…もう、下がって良いよ」

「はい」

モリーは部屋を出ていった。

サファイアが無事だったのは良かったが…ハイリ…アイツは許さない。
サファイアのピアスがあったから無事だったけど、今度は使えないからな…。
新しい魔道具でも着けさせようかな…。
防御と攻撃できるやつ…。

よし、今日は昼から仕事はなかったはずだから魔道具屋に行って、良いのはないか探してみよう。

その時、扉をノックする音が聞こえた。

誰だ…?

「どうぞ…入ってかまわないよ」

扉から顔を出したのは…。

「オルハ…久しぶりだな。」

「お兄様が、我が家に全然顔を見せないからですよ」

すぐ下の弟が突然やってきた。

「この前、帰った時はオルハは学校に行ってたからな…」

「それを狙って来ているのですか?」

「そんな事はないよ。急いでいたのでな…たまたまだよ」

この弟の他にももう1人弟がいるのだが、僕とは半分しか血の繋がりはない。

父親が違うのだ。

弟達の父親は公爵家の次男だった人だ。
母とは政略結婚だったみたいだが、僕から見れば仲は良い様に見える。
穏やかな人だから、母のあの性格を受け止められるのだろうけど…。

僕の父親は不明…。

母しか知らないのだ。
噂では、戦で亡くなった騎士ではないかとか、相手が結婚していたのではないか…とか色々と噂されている。
本当の事は…僕も知りたいくらいだよ。

でも、そのせいで次の王位について貴族達が揉めているのだ。

父親がわからない第一王子ではなく、公爵家の血筋も継いでいるオルハを次の王にと望む声が多い。

僕は別に王様になりたいわけではない…。

だから、成人してすぐに王宮を離れて領地をもらい1人で住んでいるのだ。

弟達と距離を置いているのは争い事を避けるため、巻き込まない為だ。

それにしても、弟から僕の屋敷にやってくるなんて珍しいな。

何かあったのかな?

「今日はどうしたの?オルハが1人で来るなんて珍しいよね。まあ、そこに座って。お茶でも持ってこさせるから」

笑顔がないな…。

「はい。実は、お兄様に聞きたい事がありまして…やって参りました」

聞きたい事?

「何が聞きたい?勉強のこと?それとも、恋愛の相談?」

「いえ…そうではありません」

じゃあ、何が聞きたいの?

「実は、この前…ある人からお兄様の話しを聞かされたのですが…」

「ある人?」

「…金髪に緑の瞳をした、背も高い人で、名前は…はっきりと名乗らなかったのです」

その容貌には見覚えがある。


アイツだ…ハイリ…。
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