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58. 罠の準備 〈アデル視点〉
しおりを挟むそろそろ決着をつける事が出来そうだ…。
アイツの兄にも連絡がついた。
領民には放火の犯人を捕まえる為に"私が犯人だと噂を流す"と話してある。
だから、アイツが噂を流しても僕の言っていた作戦が始まったとしか領民は思っていないだろう。
本当に浅はかな奴だな…。
僕を罠にはめようなんて…。
それに、僕の可愛いサファイアを誘拐した事を忘れていないからね…。
女王様にも話しをつけてあるし、向こうの王様にも話しをつけてもらった。
王様も次男には困っていたみたいだしね。
外面は良いのに内面は王族としては致命的…とまで言われていたぞ…。
弟の話しによるとまた、放火をして、そこにわざと僕の物だと分かる品を置いて行くらしい。
そして、僕を捕まえさせるという筋書きだそうだ。
今回は自分が火をつけると言っているみたいだから、そこを取り押さえようと思っているんだけど…。
何故、自分で放火するのかと弟が聞いたら、自分の罪を僕が償うというのが楽しいんだってさ…。
考え方が終わってるよね…。
本当にクズだよ。
決行日は明日の夜らしいから、それに備えていろいろと今は準備中。
逃げられないようにしないといけないからね。
勿論…言い逃れもできないように証拠を用意するよ。
魔道具も準備万端。
本当はサファイアを撮るために買ったのが役にたつなんてね…。
あー、早く面倒事を終わらせて、サファイアを僕の花嫁にしたい。
そしたら、毎日サファイアを可愛がる事が出来るのに…。
あっ、でもサファイアを人間の姿に戻すのが先か…。
猫のサファイアも可愛いけど、やっぱり人間の姿に戻ってもらわないとね。
そう言えば、今回の作戦には関わらないように言っておかないと危ないな。
サファイアはすぐに面倒事に巻き込まれるから…。
ザジに見張らせていて前回は大変な事になったしな…。
ザジもやっと回復してきたばかりだから、もう、あんな目に合わせたくない…。
今回は長老に頼んでみようかな。
サファイアの見張りを。
長老なら何とかしてくれるかもな…。
どうやら、この辺のボス的な存在みたいだし、何かあっても助けてくれるだろう。
アイツを捕らえる事さえ出来れば、サファイアの身は安全になる。
そうすれば、外にだって自由に出ることが出来る。
デートだってできるし…。
人間の姿に戻れば、手を繋いで歩けるな…。
フフフフフッ…。
「坊っちゃま…だらしない顔になっていますよ…」
いつの間にか侍女のイルラが前にいた。
「なっ…イルラ…いつから部屋に入って来ていたんだ…」
侍女のイルラが大きな溜め息をついた。
「何度もお声をかけて扉もノックしましたけど…全く反応がありませんでしたので先程入らせて頂きました…」
「なっ…何の用なんだ…」
「お客様がいらっしゃっています」
客…こんな時に誰だろう?
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