57 / 86
57. 本で見つけた謎
しおりを挟む本の事を知ってから何とか手に入れられないかと掃除をしながらチャンスを伺っていましたが、遂にその時がやってきました。
「大丈夫ですから、早く行って下さい。呼ばれていらっしゃるんですよね?」
「行きたくない…」
「行かなくても良いなら行かなくて良いのではないですか」
「いや、行かないと叱られるのだ」
「じゃあ、早く行った方が叱られないし良いのでは?」
さっきから同じ様な問答を繰り返している。
今日は皇帝から呼び出されているみたいなのだが、引きこもりの炎華様はどうにも行きたがらないのよね。
早く出ていってくれたら本が読めるのに…。
「私を追い出して何をするつもりだ…」
ギクッ…。
「何って、掃除ですよ。炎華様がいない間に隅々まで綺麗に掃除をしたいのです。それだけですよ…」
タイミングが良すぎてギクッとしたわ。だけど気がつかれていないわよね。
「邪魔なのか…私は…。お前までそう言うのか…」
炎華様の様子がおかしい。だけど…。
「邪魔とは言っていません。早く行かないと怒られるのは炎華様ですよ。早く行って用事を済ませれば早くお部屋に帰って来れますよ」
まるで母親の様に炎華様をなだめ行かそうとする。
「…分かっている。行けば良いのだろう!行けば!」
バァン!
逆ギレです。炎華様は大きな声を出しながら乱暴にドアを閉じて部屋から出て行った。
「ふう~。さあ、仕事を終わらせないと!」
時間勝負だ。炎華様は長い時間留守にすることはないだろう。早く掃除を済ませて怪しまれない程度に本などを読みたいところだ。
私は手早く掃除を済ませて、以前に炎華様が持っていた本を探した。
「あった、これだわ」
本棚の隅の奥に隠すように置いてありました。
「どれどれ…」
私は本の表紙を見て勘違いに気がついた。
「これって…」
私はてっきり皇室にだけ伝わる秘伝の本とかなのかと思っていたのだが、どうやらこれは違うみたい。
「皇族の系譜と事件について(あなたの知らない現実)って、何だが俗物的な題名ね」
中身も信用できるのか不安になりながらも本を開いた。
「まずは家系図…。あれ?この人だけ謎?って書いてある。やっぱり信用できないのかな」
それは1人の皇女の所に死んだとされているが謎だ、と記されていた。
皇族の死なのに謎…。
普通なら大々的な葬儀が行われるから謎なんてことにならないわよね。
そういえば事件についても書いてあるならその辺りも書いてあるのかしら?
私は本をめくり読み込んでいった。
あれ?これはもしかして…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
35
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる