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2. 褒めてくれ~!
しおりを挟むクゥ~ン。
『どこだよ、ここは?!』
ピカピカな奴に光の渦に放り込まれて気がついたら辺りは一面の緑。木が沢山あるし、薄暗い。
アイツは俺をどうするつもりなんだ?
『神様に選ばれたのだからラッキーって思わないとダメよ。』
は?どこから声が聞こえてるんだ。
キョロキョロと辺りをもう一度見回すと、木の枝に真っ白で尾の長い鳥がとまっていた。
『なんだお前?』
『私は神様の遣いのルルよ。貴方を助ける為についてきたの。』
『ピカピカの仲間か…。』
『ピカピカじゃなくて神様よ。』
何でも良い。
『ご主人様はどこにいるんだ?』
『ここにはいないわよ。神様も言っていたでしょう。あなたが人間に喜ばれる事をしてポイントを貯めないと会えないわよ。私はそれを見届ける役目も担っているの。しっかり頑張りなさい。』
こいつ何か腹が立つな。
『そんな事を言っても人間なんていないじゃないか。』
こんな木ばっかりの所に人間なんているのか?
『それは大丈夫よ。もうすぐ人間がやってくるから上手くやりなさい。』
ルルは何処かに飛んでいってしまった。
アイツ…俺1人を置き去りにしたな。
いや、怖くなんかないけど…。
少し暗いな~と思うだけだ。
尻尾が下がっているのは疲れたからであってびびっている訳ではないからな。
「姉ちゃん、あんな所に見たことがない動物がいるよ。」
ん?人間の声だ!
「え?魔獣じゃないの。気を付けなさいよ。」
「大丈夫だよ。小さいし、可愛いよ。」
俺の所にやって来たのは俺が苦手とする小さい子供の雄とその子供より少し大きな雌だった。2人とも森の緑と同じ色の髪の毛色だな。
「やだ、何…この生き物。本当に見たことがないわね。茶色くて小さくて…可愛い。この首に巻いているのは何かしら?」
『あっ、こら触るな!これはご主人様が俺にくれた唐草模様のバンダナという物だ。』
ウゥゥ~。
「怒ってるみたいだね。」
小さい雄よ正解だ。俺は怒ってる。俺の宝物を触ろうとしたからな。
「ごめんね。触らないから許してくれる?」
この小さい雄は賢いみたいだな。分かったなら許してやるぞ。
「何で私が悪者みたいになってるのよ。」
この雌は扱いにくそうだな。
"スキル、服従を発動させます"
どこからか声が聞こえてきたぞ。スキル服従?なんだそれ。そう思っていたら俺の意思とは関係なく身体が勝手に動き出した。
いや、まさかあの格好をご主人様以外の人間にさせるつもりなのか!?
嫌だ!止めてくれ!!誰か俺を止めてくれ~!!!
「きゃ~!可愛い!!どうしたの急にお腹を見せて寝転んだりなんかして。触って欲しいの?」
違う!俺は触って欲しくなんかないぞ!身体が勝手に服従のポーズをとったんだ。こら!雌よ俺のお腹を触るんじゃない!
く、屈辱だ。ご主人様以外にこんな格好を見せたうえに触られるなんて…。
クゥ~ン、クゥ~ン。
「あれ?甘えてるのかな。僕も触って良い?」
小さき雄よ…お前まで触るのか。俺は甘えてなんかいないぞ。泣いているんだ。分かってくれないのか?
"ピンポーン!可愛がられポイント加算されました"
"ピンポーン!癒しポイントも加算されました"
ポイント…?ピカピカの言っていたやつか。これが沢山あるとご主人様に会わせてもらえるんだったよな。
ヤッター!!!
ご主人様、俺はやりました。
恥ずかしかったし、屈辱的だったけど耐えましたよ。あのルルっていう鳥はしっかり見ていただろうな。
『バカね。まだまだポイントは足りないわよ。一回で終わるわけないでしょ。』
いつの間にか近くに戻ってきていたルルにダメ出しをされた。
『何!?ダメなのか。』
『ダメに決まってるわよ。』
ピーピー。
「姉ちゃん、鳥がやたらと鳴いているからもしかしたら魔獣が近くまできているのかもしれないよ。」
「そうね。ここは危ないから早く家に帰りましょう。」
俺のお腹を触っていた2人は俺から手を離して立ち上がった。
『おい、俺をこんな暗い場所に置いていくつもりなのか!俺のお腹を触ったんだから家に連れていけよ!』
「この動物、凄い吠えてるね。連れて行って欲しいのかな?」
小さき雄よ、やっぱりお前は話が分かるな。同じ雄だけの事はあるぞ。
「でも…連れて帰ったら母さんに怒られるかもよ。」
雌よ、お前とはやはり話が合わないようだな。
「僕がお願いするから連れて帰っちゃダメ?」
小さき雄よ、頑張れ!俺を連れて帰るのだ!!
「もう、仕方ないわね。私も一緒に母さんに頼んであげるわよ。」
雌よ、お前もなかなか話が分かるじゃないか。
「良かったね。一緒にお家に帰ろうね。」
俺を抱き上げて雄は頬擦りをしている。待て待て、俺はこれはあまり好きではないぞ。抱っこは許すが頬擦りはダメだ。
「スッゴい足で拒否されてない。」
「抱っこは良くても触られるのは嫌なのかな?」
正解だ。良く覚えておけよ。
「大人しくなったね。急いで帰ろう!」
こうして俺は人間と生活する事に成功した。
ご主人様~!俺を褒めてくれ~!!
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