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19. 姫サイド その4
しおりを挟むなんだアイツ~!!!
アイツはいつ帰ってきたんだ!?
一生、海外にいったままで良かったのに!
昔からアイツ…相羽 悠人の事は嫌いだった。
妹の柚菜が王子の親友だからかなんだか知らないが、しょっちゅう王子の近くにいたんだ。しかも俺が王子に近寄ろうとすると、邪魔をして間に入って王子を俺から離していた。
あの頃の俺はただの邪魔者としか認識していなかったが、今思えばあの頃からアイツも王子の事が好きだったのか?
やっぱり食事に行かせるんじゃなかった。
嫌な予感がしたから俺も食事会に行くと言ったがタイミングが合わず行けなかった事を悔やむな。
しかし…まさか北海道に行くなんて。予想外すぎるだろ!!!
それに泊まりだ~!?
アイツ…一体なにするつもりだ。
今すぐ北海道に飛んで行きたい所だが明日の朝から海外のチームのスカウトの人とまた会うことになっているので行けないんだよな。
本当にタイミングが悪すぎる。
俺の失態を見せた後に何でアイツが現れるんだよ…。
俺の計画では婚約指輪を格好良く渡して、王子をドキドキさせて俺の事を好きになってもらう…はずだったんだ。
それなのに…アイツの名前を聞いて予定が狂った。俺は悪酔いして最悪なことに王子に迷惑をかけた。
全然格好良くない…。
土下座だもんな。
北海道に行きたい。アイツと王子の二人きりになんか絶対にしたくない!
アイツの妹も一緒のはずだから安心だとは思うが…嫌な予感がするんだよな。
当たってほしくはないな。
電話を何度かけても電源が入っていないとアナウンスがあるだけだし…。こうなると悪いことしか考えられない。
どうしよう…王子がアイツの事を好きになったら…。
俺は本当の婚約のつもりでいるが、王子にとっては俺はいまだに偽の婚約者。気持ちに温度差があるのはわかっているし、それがいまだに開いたままだということも…。
自分で考え出したけど、俺…自分で自分の傷をえぐってるな。
ハハッ…。
王子の恋愛に俺が口を挟める立場ではないよな。
あんなに興奮していた気持ちが落ち着いていくのがわかる。
俺が北海道に行ったからといって何かが変わる訳ではないし、王子が俺の事を好きになってくれるわけでもない。ただ、アイツと王子が仲良く話しているのを見ているだけになるだろう。
そんなのは見たくない。
俺はここで待つしかないのかな…。
王子は偽とはいえ婚約者の俺を裏切る様なことはしないだろう。
覚悟を決めろよ、俺。
もし、王子がアイツを選んだとしても俺は俺の気持ちを王子に伝えたうえで判断をしてもらえば良い…よな。
王子…今、何をしているんだ。
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