姫は王子を溺愛したい

縁 遊

文字の大きさ
19 / 43

19. 姫サイド その4

しおりを挟む

 なんだアイツ~!!!

 アイツはいつ帰ってきたんだ!?

 一生、海外にいったままで良かったのに!

 昔からアイツ…相羽 悠人の事は嫌いだった。

 妹の柚菜が王子の親友だからかなんだか知らないが、しょっちゅう王子の近くにいたんだ。しかも俺が王子に近寄ろうとすると、邪魔をして間に入って王子を俺から離していた。

 あの頃の俺はただの邪魔者としか認識していなかったが、今思えばあの頃からアイツも王子の事が好きだったのか?

 やっぱり食事に行かせるんじゃなかった。

 嫌な予感がしたから俺も食事会に行くと言ったがタイミングが合わず行けなかった事を悔やむな。

 しかし…まさか北海道に行くなんて。予想外すぎるだろ!!!

 それに泊まりだ~!?

 アイツ…一体なにするつもりだ。

 今すぐ北海道に飛んで行きたい所だが明日の朝から海外のチームのスカウトの人とまた会うことになっているので行けないんだよな。

 本当にタイミングが悪すぎる。

 俺の失態を見せた後に何でアイツが現れるんだよ…。

 俺の計画では婚約指輪を格好良く渡して、王子をドキドキさせて俺の事を好きになってもらう…はずだったんだ。

 それなのに…アイツの名前を聞いて予定が狂った。俺は悪酔いして最悪なことに王子に迷惑をかけた。

 全然格好良くない…。

 土下座だもんな。

 北海道に行きたい。アイツと王子の二人きりになんか絶対にしたくない!

 アイツの妹も一緒のはずだから安心だとは思うが…嫌な予感がするんだよな。

 当たってほしくはないな。

 電話を何度かけても電源が入っていないとアナウンスがあるだけだし…。こうなると悪いことしか考えられない。

 どうしよう…王子がアイツの事を好きになったら…。

 俺は本当の婚約のつもりでいるが、王子にとっては俺はいまだに偽の婚約者。気持ちに温度差があるのはわかっているし、それがいまだに開いたままだということも…。

 自分で考え出したけど、俺…自分で自分の傷をえぐってるな。

 ハハッ…。

 王子の恋愛に俺が口を挟める立場ではないよな。

 あんなに興奮していた気持ちが落ち着いていくのがわかる。

 俺が北海道に行ったからといって何かが変わる訳ではないし、王子が俺の事を好きになってくれるわけでもない。ただ、アイツと王子が仲良く話しているのを見ているだけになるだろう。

 そんなのは見たくない。

 俺はここで待つしかないのかな…。

 王子は偽とはいえ婚約者の俺を裏切る様なことはしないだろう。

 覚悟を決めろよ、俺。

 もし、王子がアイツを選んだとしても俺は俺の気持ちを王子に伝えたうえで判断をしてもらえば良い…よな。

 王子…今、何をしているんだ。



 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

溺愛のフリから2年後は。

橘しづき
恋愛
 岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。    そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。    でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
 一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────  私、この子と生きていきますっ!!  シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。  幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。  時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。  やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。  それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。  けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────  生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。 ※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

処理中です...