召喚された少年は公爵様に愛される

さみ

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29話 新たなる生活①

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「では、しばらく使用人の部屋で寝泊まりしてもらえますか。」

「はい!ありがとうございます。」

運良く寝床を確保できたことに一安心した。

「では、行きましょう。」

二人は使用人の部屋に向かい歩いていた。メルウィンは自分の後ろをテクテクと歩き付いてくる乃亜を見て不覚にも可愛いと思ってしまった。前にお茶を教えた時はそんな事は思わなかったのにと少しだけライアンに罪悪感を抱いた。

「使用人の部屋は二人部屋です。。私はライアン様の所に行かなければならないので侍女長に引き継ぎますね。」

「引き止めちゃってすみません...ライアン様忙しいのに邪魔しちゃったな。」

ライアンの名前を聞き悲しそうな顔をしている乃亜を放っては置けないがライアン様が待っている為、侍女長には事情を察してもらい任せることにした。ライアン様ならノアを優先しろなんて言葉を言うだろうけど。


二人部屋を一人で使っている庭師見習いが居るので当分はそこで暮らすことになりそうだ。屋敷まで出て行けと言われたらどうしようと本気で焦った。
侍女長と部屋まで歩き、コンコンとドアをノックした。外に出るにはもう遅いが、まだ寝るような時間でもなかったのでこれからルームメイトになる庭師見習いの青年はまだ起きていた。

「急に来てしまってごめんなさい。はじめまして乃亜です。」

お辞儀をして顔を上げるとその青年は笑顔で返してくれた。

「庭師の見習いをやってるアヴィだ。よろしくなノア」

アヴィは引き締まった身体に高身長の細マッチョで優しそうな顔立ちをしていた。侍女長はアヴィに規則などを教えるよう言い、すぐに部屋を出て行った。
アヴィは庭師だからかとても細かく丁寧に規則などを教えてくれ、またわからなかったら聞けよと優しく言ってくれた。

優しい人でよかった。マーフィー公爵家の人たちは基本的に優しいがそれは自分がライアン様から気に入られているからだと思っている。だがアヴィはそれがなくても同じ対応をしただろう。根拠は無いが心から優しい人なんだと感じた。

「ノア?大丈夫か」

乃亜の顔色が悪く、ひどく落ち込んでいるように見えたのでアヴィは心配にそう声を掛けた。

「ううん、心配かけてごめんね。色々教えてくれてありがとうちょっと疲れたから僕はもう寝るね。」

ライアン様が悪い!と言っていた乃亜も時間が経つにつれ寂しいと感じるようになった。涙が込み上げてくるがアヴィの前で泣くわけにもいかないので寝ることにした。寝れば大丈夫だと思い頭の中を真っ白にしようとしたがそれでも先程ライアンから出て行けと言われたことが浮かんできて眠れなかった。



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