召喚された少年は公爵様に愛される

さみ

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46話 出発と覚悟

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ライアン達はマーフィー公爵家の騎士団から数名引っ張り出し夜のうちに出発するため急いで準備をした。日の出を待ちたいところだが時間がない。一刻も早くノアを助けなくてはならない。

「まず、ミラー伯爵令嬢を探し出し捕らえる。いや、ノアの居場所を知っている側近達を先に捕らえる必要があるか....」

独り言をぶつぶつと言っていると

「ちゃんと場所の目星はついてるんだろうな。」

「それは勿論」

王都で会った後ミラー家については隅から隅まで調べてある。
あいつとの結婚など死んでも嫌だからな。
だから弱みの一つや二つ握っておかないと、と思っていただけだが夫人は秘密裏にやっているつもりの奴隷商もガバガバだったので情報もすぐに見つかり、他の不正も芋づる式に見つかっていった。そこから予想するに伯爵令嬢がいる場所は.....

「ミラー伯爵領であるイーリッジ地方に向かう。」

「間に合うか?」

珍しく真剣な顔つきをするヴェルナー。

「どうだろう。あそこら辺は夜になると魔獣が活性化するから出発するのは恐らく朝になるはずだ。つまり、まだノアはそこにいる。」

「よし、ライアンの大事なお姫様を早く助けねーとな。」

「ああ」

暗闇の中、数人の騎士と共に馬に乗り、 しんとした王都を走り抜ける。夜風が冷たく日の出はまだ遠い。騎士の中にはギルバートもいた。騎士団に行き数名連れて行きたいと言った時、一番初めに手を挙げたのはギルバートだった。

「ライアン様から命じられた任務を果たせなかった私が行くなどと申し上げるのもいけないことは百も承知、ですが行かせてはもらえないでしょうか。お願いします。」

ギルバートは勢いよく頭を下げた。

ノアとは仲良くしていた事はライアンも知っていた。ノアがギルと愛称で呼んでいることを知った時は今すぐ護衛から外そうと考えたが。

責任は自分にもある。決してギルバートの所為ではないが、あいつが付いていればと考えてしまうのは仕方がないことだった。
だが、熱意に負けてしまったのと1番腕が立つ者を置いていくのは惜しいのが理由だった。

「いいだろう。同行を許可する。」


イーリッジ地方は公爵領から王都を挟み西側にあった。
道中、魔獣に会うこともなく順調だった。
夜明けが近づいてきた頃にはイーリッジ地方の目印となる、いくつもの巨大な風車が遠目に見えてくる。
息を呑むほどに朝焼けと風車のコントラストが美しかった。




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