外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!

東導 号

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第730話「ああ! そうさ! 前々から、楽しみにしていたのだ!」

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……それから、約1か月の間、
深謀遠慮の化身リオネルの組んだ段取りは順調に進んで行った。

何故、順調に進んだのか? といえば、
計画が様々なアイディアを織り交ぜた緻密な物だから、というのは勿論、
担当者へ丸投げにせず、臨機応変に修正しながら、
丁寧な根回し、小まめなケアをしたから。

と、いう事で!
教育改革はまず各地の基礎学校経営者へ、魔法鳩便で周知。
同時に50町村の首長達へも、担当の事務官武官が赴く、
説明会のセッティング依頼が為され、スケジュールを調整中。
それと同時に進められた『基礎教科書』『大学教科書』のたたき台は、完成。

ミネルヴァに隅々まで添削して貰い、
リオネル、ヒルデガルド、イェレミアスが最終確認を終え、
購入済みの魔導印刷機と大量の紙を使い、
各50万部ずつトータル100万部単位で印刷、装本中。
後、約2週間で、全てが装本される予定。

リオネルとヒルデガルドが旅先から戻るまでに、
全ての教科書が検品されるだろう。

一方、医療改革はといえば、リオネル、ヒルデガルド、イェレミアスが行う、
精霊ティエラの加護を受けた特製魔法杖試作品の動作確認テストが翌日完了。

全く問題無く作動するので、まずはフェフ、特別地区の診療所の治癒士へ配布。
この1か月間、無料でレンタルした。
実際の使用に関しては、ティエラが診療所へ直接赴き、
治癒士達へ丁寧に指導とアドバイスを行った。
時間が合えば、リオネルとヒルデガルドも現場に立ち会う。

結果、「有償でもぜひ使いたい」との声が、
使用した治癒士達からは上がって来ている。

そしてリオネル達のテストが完了した時点で、
ティエラは追加の魔法杖製作を開始。

たった1日で、アースカラー10色各1,000本ずつ都合1万本の製作が完了した。

製作された魔法杖は即、リオネルに渡され、収納の腕輪へイン。

これですぐに配布が可能となった。

それゆえ、こちらもリオネルとヒルデガルドが、
50町村へ赴くスケジュールを調整中。

そこまで段取りが組まれたのを確認し、ティエラは、

『1か月間、特別地区で暮らし、皆とも仲良くなって楽しかった! 修行を再開する!』

と言い残し、異界へ戻って行った。

……そんな中、リオネルは夢魔法を発動し、
キャナール村に居るミリアンと連絡を取った。
近々、迎えに行くからと。

現実世界をリアルに再現出来るレベルのティエラほど完璧に使いこなせないし、
もっと上達したいと日々、修行しているリオネルだが、
通常の夢を見せ、遠きキャナール村に居るミリアンと話すくらいは可能なのである。

対して、ミリアンは「自身が経営する村のカフェを副店長を務めるスタッフへ譲り、
引っ越しの準備も済ませた」と笑顔で答えた。

「いつ迎えに来てくれても構わない」と。

であればと、リオネルは近日中にイエーラの特別地区を出発する旨を、
ミリアンに伝えた。

そうこうしながら、リオネルはソヴァール王国への旅行の準備もしっかり行い、
既に完了、いつでも出発OKの状態。

ヒルデガルドも準備を完了し、スタンバイ状態。

一方、ブレンダはといえば、ホテルの指導役に就任したばかりなので、
わがままを言わず自重、特別地区に残り、課せられた仕事に専念する事に。
意気投合し、リスペクトする女神ミネルヴァが公私ともどもケアしてくれるから、
安全面も含め、何も心配は無い。

旅立ちの準備が出来つつあるリオネルは魔法鳩便で、
ワレバッドの冒険者ギルド総本部サブマスターの、
ブレーズ・シャリエ宛へ、手紙を送った。
ヒルデガルドとともに近々ワレバッドへ伺い、
総マスターのローランド・コルドウェル侯爵へお会いし、
自分の報奨金の件でお話したいと。

……という事で、全ての準備が整ったリオネルは、
同じくスタンバイしていた革鎧姿のヒルデガルドを連れ、
転移魔法でソヴァール王国ワレバッド付近まで、跳んだのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

修行を欠かさないリオネルの転移魔法の移動有効距離は更にどんどん延び、
現時点で1回の転移において3,000㎞超。

イエーラの特別地区からワレバッドへは約1万㎞の距離だから、
4回の行使で到着した。

時間を有効に使いたいと、朝食を済ませてから、特別地区を出発したので、
なんやかんやで現在の時刻は午前9時前。

転移先はワレバッド郊外の深い森の中。

周囲に人の気配は無く、魔物、獣もリオネルの『威圧』を怖れ、近寄っては来ない。
ちなみに、リオネルの威圧スキルも超絶進化しており、
該当する対象以外に効果を及ぼさない。
つまり、魔物、熊、狼などはピンポイントで効果を及ぼし、逃げ去るが、
リス、小鳥などは、『そのまま』なのである。

『リオネル様、ここは以前ワレバッドへ来た時と同じ転移地点ですね』

微笑むヒルデガルド。

ヒルデガルドが頭部に装着する革兜は、特徴のある耳を完璧に覆い隠すよう、
更に改良されていたから、近寄って良く確かめないと、アールヴ族とは分からない。

『ええ、そうです。この場所が街道へ出やすいし、人目につかず安全です。次の転移の際には変えようと思いますが、良くおぼえていましたね』

『はい、私、記憶力は凄く良い方ですから』 

ワレバッドへは1度来たことがあるだけあり、ヒルデガルドは落ち着き払っていた。

『ケルピー達にかせる魔獣車の走行テストを特別地区とフェフ周辺で行い、問題無く完了しましたが、丁度良い機会です。人間族の国における走行テストという事で、街道付近で搬出し、ケルピー達を召喚して行いましょう』

『はい!』

という事で、リオネルとヒルデガルドは更に転移魔法で、
ワレバッドへの街道付近へ移動。

収納の腕輪から魔獣車を搬出し、2頭のたくましい馬に擬態したケルピーを召喚すると、ハーネスで、しっかりとつないだ。
索敵と視認で人影の無いのを確認した上で、街道へ出て、
ワレバッドへ向かいのんびり走る。

今回の旅も、『ふたりきり』という事もあり、
リオネルとヒルデガルドはふたり並んで御者台に座っていた。

手綱を取るのはヒルデガルド。
リオネルの影響からか、万事に前向きとなったヒルデガルドは、
手ほどきされた御者の技もマスターし、中級レベルの腕前となっていたのである。

そんなこんなで、約10分ほど走り、ナビ役のリオネルと御者のヒルデガルドは、
無事ワレバッドへ到着。

当然だが、会話は通常の肉声会話へと切り替わる。

門番へ、名乗り、ふたりが冒険者ギルドの所属登録証を提示すると、
連絡しておいたサブマスターのブレーズ・シャリエから話が通っていたのだろう。

丁寧に応対され、すぐに案内されて、騎馬の冒険者10名が魔獣車を先導した。

冒険者ギルド総本部へ到着し、ハーネスからケルピー達を外し、
帰還させ、魔獣車も収納の腕輪へ搬入。

ぱっ!と馬を消し、ぱっ!と馬車も消す。

そんな事をいとも簡単に行うリオネルを、
周囲は畏敬&畏怖の眼差しで見つめていた。

このワレバッドへも、アクィラ王国におけるドラゴン退治の話は、
隅々まで知れ渡っていたからだ。

そこへ、たたた! と駆け寄って来たのが、
ブレーズとその秘書クローディーヌ・ボードレールである。

「ヒルデガルド様! ようこそ! ワレバッドへ! リオネル君もお疲れ様!」

「まずは長旅のお疲れをお取りください!」

と言うふたりに案内され、リオネルとヒルデガルドは、総マスター専用応接室へ。

この応接室へ案内されたという事は、
総マスターのローランド・コルドウェル侯爵が、
多忙の中、スケジュールを調整し、いきなりかつ直接会ってくれるという事か。

リオネルが、そう思いながらヒルデガルドとともに待機していると、

こんこんこん! とノックがされ、リオネルが「はい!」と返事をすれば、

扉が開き、ローランドが、ブレイズを従え、入って来た。

「お久しぶりです、コルドウェル侯爵!」

「ご無沙汰しております! 総マスター!」

この場の序列は国賓たるソウェルが上、
まずヒルデガルドがあいさつし、リオネルも続いた。

対して、ローランドも笑顔。

「おお、良くぞ、遠路はるばるいらして頂いた、ヒルデガルド様! リオネル君も元気そうだな!」

というフレンドリーな感じであいさつを交わし、雑談の上、本題へ。
全員が朝食を済ませており、お茶と焼き菓子が出されて、歓談。

ローランドへ事前に趣旨を伝えているので、話はスムーズである。

「ふむ、事前にリオネル君から聞いていたし、フォルミーカ支部のギルドマスター、アウグスト・ブラードからも報告が入っている。何でも討伐報奨金に上限を設けたいそうだね?」

「はい、総マスター。自分がフォルミーカ迷宮等々で、ドラゴンや巨人族もろもろを倒しまくると、討伐報奨金に際限が無くなりますから」

「ははははは! 報奨金を抑えてくれとか、そんな事を言う冒険者は前代未聞だよ。気持ちは分かるし、冒険者ギルドの財政を心配してくれるのはありがたいが、大丈夫だ」

「ですが……」

「うむ、リオネル君がそう言い、納得しない事も考えていたよ。ならば、こちらから折衷案を出そうか?」

「折衷案……ですか?」

リオネル同様、深謀遠慮なローランドは、いろいろ考えていたようである。

「ああ、こういうのはどうかな? リオネル君には非常勤の冒険者ギルド顧問になって貰う。それで討伐数ゼロでも無条件、無期限で、毎月、金貨1万枚1億円を支払う。その代わり、討伐報奨金は80%の支払いにする」

「ええっと……非常勤だとしても、ですね。自分は基本イエーラにかかりきりですから、ギルドの出勤、出動要請等には応じられませんが」

「ふむ、顧問はあくまでも単なる便宜上の肩書きだ。他の顧問の勤務形態とは違う。
出勤、出動も、リオネル君の任意で自由。このままの立ち位置でかまわない。ランクSの技術料という名目で、毎月、君へ顧問料を支払う」

「成る程、それはありがたいです」

「ああ、ドラゴンスレイヤーかつランクSの『レジェンド顧問』としてギルドに在籍してくれさえしてくれればOKだよ」

ローランドの提案を聞き、しばし考えたリオネルだが、笑顔になると言葉を戻す。

「分かりました。自分は冒険者ギルド所属の冒険者をやめるつもりはありませんし、そこまでご配慮して頂いたのであれば、総マスターのご提案をお受けします。何卒宜しくお願い致します」 

「おお、ありがたい。では念の為、書面の契約書として、双方が1枚づつ持っておこう。私と君のサインを入れて、日付もな」

「ありがとうございます。助かります」

「いやいや、こちらこそ、だよ。深く感謝する」

ローランドが用意していた書面にサインし、次いでリオネルもサイン。

これで、リオネルは冒険者ギルドと特別な契約を結んだ事となった。

ローランドは、冒険者ギルドという組織を介し、
リオネルとは、つながりを持っていたいのだろう。

そしていつの日にか、機会があれば、ソヴァール王国の為にも、
働いて欲しいと願っているに違いない。

しかし、それは叶うかどうか、微妙だ。

まだ秘してはいるが、リオネルはヒルデガルドと結ばれ、
イエーラの為に働く未来が決まっているのだから。

「さあ、リオネル君の望んだ件の話はついた。私の方の本題へ入ろうか?」

「え? ローランド様の本題、ですか?」

本当はソヴァール王国と自身の為、
いろいろとリオネルへ頼みたいであろう気持ちを隠しつつ、ローランドは言う。

「ああ! そうさ! 前々から、楽しみにしていたのだ! ヒルデガルド様とリオネル君が組み、成し遂げたアクィラ王国ドラゴン討伐の話を存分に聞かせて頂きたい!」

ローランドはそう言うと、子供のように無邪気に笑ったのである。
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