真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

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第2話「適当、性悪、壊れてる」

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 ……次に目が覚めた時、性格が最悪な、怖ろしい神による改造は終わっていた……
 哀れな……俺。
 片や改造を終えた神=スパイラルは、にこにこしていた。

「よっし、改造完了 う~ん、ちょっとパワーがありすぎて……反面、魔力がやや弱いかな?」

「…………」

「バランスが今いちかなぁ? ……まあ、いっか。爺、見てよ、初めてにしてはうまくね?」

 あるじの言葉を聞いたセバスチャンも、にこにこして揉み手する

「はい、さすが坊ちゃま。初めてにしては凄い出来ですよ」

 何が「凄い出来ですよ、坊ちゃま」だ!
 このアホ馬鹿主従!
 改造のバランスが今いち?
 初めてにしては、じゃねぇぞ!
 完全に適当な『やっつけ』でやった感じじゃないか!
 改造された俺にとっては、一生の事なんだぞ!

 俺は、ジト目でスパイラルを睨む。

「…………」

 しかしスパイラルはどこ吹く風。
 口笛まで吹いている。
 俺の激しいジト目攻撃など全然平気、相変わらずの厚顔無恥で無効化だ。

「ほらぁ、僕が言った通り、そ~んなに痛くなかっただろう?」

「痛かったっす」

「本当? 嘘ついたらお尻ぺんぺんするよ~」

「本当ですよ、ぺんぺんなんかぜんぜんっ平気なくらい、すっごく痛かったです!」

 俺は大声で抗議した。
 夢なのに醒めないなんて、今迄で最悪。

 それに人体改造……まじ、痛かったから。
 針を、麻酔無しでぶすぶす刺されているみたいに。
 改造後……俺は今、何故か全身に魔法の包帯とやらを巻かれていた。
 目の場所だけ開けられて。
 まるで……ミイラ男だ。

 そんな俺を、金髪碧眼の美少年神スパイラル様は完全に面白がっている。

「あ~、人間が痛がってひいひい言うの最高、今の姿も傑作! アイアム間抜けなミイラ男って感じ? 馬鹿丸出し! きゃははは!」

「…………」

「あれ? 黙っちゃって……機嫌悪そうだねぇ、でも痛い思いをしたお陰で君は素晴らしいイケメン男子に大変身したよ」

「…………」

「顔良し、身体良し、能力良し! 初めての改造でこれだけ出来るなんて僕は天才! 何て偉大な神様なんだ、凄いだろう? 爺や」

 勝ち誇るスパイラル様。

「はい! 仰る通りです、坊ちゃま」

 そして爺や=セバスチャンもうっとりして目を細めている。
 さっきから何なんだ、この主従は。

 スパイラル……いやこれからは邪神様と呼ぼう。
 いや、もう邪神様の使徒とかどうでも良い。
 心と身体の辛さに我慢出来ない、もう帰りたい。
 使徒なんて、勘弁して。
 だから、言おう。

「あの……俺、貴方の使徒になる約束、取り消したいっす」

「あ~、ダメダメ。もうしっかり契約しちゃったから無理だも~ん。絶対にむ~り! 改造の時に僕の名前を、トール君の魂に刻んじゃったもんね」

「…………」

 魂に名前を刻む?
 何か、神様って言うよりも、怖ろしい悪魔の契約みたい。
 最後に魂取られるみたいな。
 ホント、こいつ大丈夫なんだろうな?

「どうせさ、君はもう家には帰れない。元の世界において最初から居なかった事になってる……登録抹消しておいたよぉ」

「え? 帰れない? 元から居ない? と、登録抹消?」

「そう、絶対に帰れないよ~ん、うふふふ」

 ……俺、思い知らされた。
 この邪神様の最悪な性格が。
 プライドが山より高しの、超が付く自信家。
 「ど」が付くS。
 加えて口にも猛毒。
 容赦なく吐き散らして、辺りを取返しがつかないほど汚染する。

 そしてこれも分かる……
 この様子じゃあ、俺より前に使徒の『なりて』って居なかったんじゃあ。
 誰に頼んでも、即座に断られていた。
 だからだよ。
 どこにでも居る平凡少年の俺なんかの夢へ、無理矢理入って来て拉致したんだ。

 ああ、こんな性悪な邪神様の管理する世界へ行って信仰心を上げる?
 絶対に絶対に無理じゃないの?

「頑張ってよ、そこをどうにかするのが君の仕事だもん」

「坊ちゃまの仰る通りです」

 俺の心の声を、しっかりと聞いてて念を押す主従。
 ああ、やはり俺は使徒。
 契約解除不可なら、今日からこの人達が俺の主なの?

 絶望!
 怖ろしい二文字が俺の心に満ちて来た。
 でも……やるしかない。
 俺は力ない声で尋ねる。

「……まあ使徒契約取り消せないのなら、頑張るしかないんですけど……信仰心をあげるって……俺がお坊さんみたいに各地を回って人々へ説教する事ですか」

「ノンノンノン! そんなべたな事しなくて良いよ、逆に僕はそういうの嫌い!」

「成る程……じゃあ、どうしろと?」

「簡単さ! 君の行動が自然と世界の人達から称えられるようにすれば良い。あれ誰? あの冴えない男って? え~、偉大なるスパイラル様の下僕……じゃない使徒よ。あ~あの、お美しい偉大な英雄神様の? みたいなね」

「…………」

 何か、最後は異様に自分を飾っていたけれど。
 あの……それって説教して回るより全然難しい。
 不言実行の究極型じゃないかよ。

「まあまあ、そろそろこれから行く世界のレクチャー開始! 君の希望も少しくらい聞いてあげるからさ」

「は、はぁ……」

「さてと……まずはトオル君の知識を覗かせて貰おう。ふむふむ……典型的なオタクというか……高校3年生にもなってチート能力願望全開の典型的な中二病かい? ふふふ」

 俺の知識と願望を読み取ったスパイラルは意地悪そうに笑った。
 だが人間は『図星』を指されるとむきになるものだ。

「いいじゃないですか! どうせ、俺は高校生でも中二病ですよ、ほっといて下さい!」

「まあまあ! そんなに卑下するものでもないさ。トオル君のオタク知識は、これから行く世界の糧《かて》になるものだからね……」

「え? これから行く世界のかて?」

「うん! だってさ、もう受験勉強真っ只中の時期なのに、君って親に内緒でラノベ書こうとしているだろう?」

「う! 良く知っていますね!」

「あったりまえさぁ! 僕は完璧な神様だもん。君がこれから行くのも、そのラノベの舞台になっている地球の中世西洋風と同じ、剣と魔法の世界だからさ」 

「おおお、ちょ、ちょっとだけ興味が出てきましたよ!」

「だろう? でね、トオル君の受けた改造だけど、僕の加護を加えた頑健な身体、そしていくつか魔法くらいは使えるようにしておいた。ただ、どんな魔法かはひ・み・つ」

「そ、そんなぁ! 教えて下さいよぉ、異世界で使えるその魔法が肝心なんですよ! 異世界の最強魔法使いとか、すんごく憧れているのに!」

 無理矢理、使徒として送られる俺は、好きな中二病的世界で最強を望むのも駄目なのだろうか?
 しかしスパイラルは何と身体をぶるぶると震わせている。
 すっごく異常な震え方だ。
 こいつ、何か悪いものでも食ったのか?

「ふふふ、その殺される前の情けない豚のような泣き声が僕の魂を揺さぶるう」

 は!?
 何だ、こいつ……やっぱりいかれてるか、壊れてるじゃないか!?
 やっぱり邪神だ!
  
「おお! 邪神、結構! 昔から偉大な神こそ狂気をはらんでいると言われるからね。僕の将来への褒め言葉として受け取っておくよぉ」

 俺の心をすかさず読んで嬉しそうに笑うこいつは……やっぱり壊れていやがる。
 
 呆れた俺は、ぐるぐる巻きにされた包帯の下で「はぁ」とため息をついたのであった。
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