34 / 181
第34話「変身②」
しおりを挟む
翌朝……
変身の魔法の説明をする前に、『いちゃモード』へ入ってしまったふたり。
改めて、説明を受けたエリンは吃驚してしまう。
ダンの使う魔法は身長、体格、顔などの容姿は勿論、年齢や声までも自由に変えられるようだ。
どうやら、身体強化という補正魔法の応用形らしい。
半永久的に効果が継続し、術者以外は解く事が出来ない。
完璧な魔法に思えたが……元の寿命だけは変えられないと、ダンは言う。
エリンは、とてもがっかりした。
ダンに言われた、人間とエルフの寿命の差がいつも頭にあるからだ。
数十年経てば、ダンの寿命が尽き、永遠にお別れとなってしまう。
エリンは『覚悟』を決めているが、何か方法があってダンの寿命が伸ばせれば良いのにと考えていた。
自分と同じくらい生きる事が出来ればと、エリンは願っている。
いつか、何らかの方法を見つけるつもりだ。
ダンの言う通り、彼は神様とは違う。
そして万能ではないから、やはりダークエルフ達が言い伝えた『救世の勇者』でもない。
でも、ダンはダンだ。
エリンには、それで良い。
優しいダンが居れば良い。
ただ、それだけで満足なのだ。
説明も充分になされたので、いよいよエリンはダンの魔法で変身する。
未知の魔法で変身なんて……エリンはさすがに緊張する。
身体が強張る。
ガチガチだ。
「ははは、エリン、リラックスしろ。……深呼吸だ」
「う、うん……リラックスって落ち着けって事?」
「ああ、そうさ。それにすぐ終わる、痛くなんかないから安心しろ」
エリンは、気を紛らわせるために色々と考える。
ダンはまるで、ダークエルフの治癒士のようだと。
小さい頃に転んで怪我をした時、彼等も優しく言いながら直してくれた。
そういえば、ダンは治癒魔法も使えるんだ。
頼もしい!
しかし……とりあえず言われた通りにしなければ。
ダンと約束したから。
妻は夫に従うものだと、亡き父も教えてくれたから。
エリンは、ダンに言われた通り大きく深呼吸をした。
漸く落ち着いた。
やっぱりダンは凄い!
色々な事を知っている。
まるで先生だ。
エリンに微笑みが戻ったのを見て、ダンは椅子に座った彼女の前に立ち、言霊の詠唱を始めた。
高く低く、部屋にダンの声が響いている。
「ダークエルフの気高き王女エリンよ! 今ここに人として、仮初《かりそめ》の姿を出現させるものなり!」
ダンの双腕から、独特な魔力波が放出された。
魔力波に包まれたエリンは、一瞬気が遠くなり、思わず倒れそうになる。
「変化!」
ダンの口から『決め』の言霊が発せられると、エリンの身体が眩い白光に包まれる。
白光はエリンの全身を包み込み、並みの人間では正視出来ないくらいに眩しかった。
暫し経ち、やっと発光が収まると、エリンは自然と手を耳へやった。
驚くべき事に……
魔法はエリンを、見事に『変身』させていた!
手触りで分かる。
いつもの、耳の形と……違う。
尖っていない。
そして、少しだけ大きくなっている。
吃驚したエリンが慌ててダンを見ると、目の前に居る彼の手にはいつの間にか手鏡が握られていた。
「フィービーからたくさん服も貰ったし……今度、エリンの為に大きな姿見を買おう。まあ今日はこれで我慢してくれ」
「う、うん……」
エリンはダンから手鏡を受け取ると、恐る恐るという感じで中を覗き込んだ。
ダンの言った通りであった。
鏡の中のエリンは、いつもと全く違っていたのだ。
確かに顔立ちは変わっておらず、健康的なやや褐色がかった肌もいつものエリンと同じだ。
しかし髪の色は、薄い栗色。
驚いて大きく見開いた目に、輝く瞳はダークブラウン。
そっと髪をかき分けた中から現れたのは……やはり人間の耳であった。
「髪の色が違う! エリンの瞳も違う! 耳が!? ……ダンと一緒だよぉ!」
エリンが、大きな声で叫ぶ。
完璧な人間の超美少女が、そこには居た。
「ははは、似合うぞ、エリン。でもその組み合わせの人間はそこそこ居るんだ。綺麗だけど在り来たりなのさ」
「これでエリン……ダンと同じ人間になったの?」
エリンは、戸惑っている。
外見は、確かに変わった。
でもエリン自身は、変わったとは到底思えない。
そんなエリンの気持ちを、見抜いたようにダンは言う。
「ああ、外見だけはな。魂は全く変わっていないが……どうだい、感想は? まあエリンはどうやっても可愛いから全然問題なしだ……人間になってもすっごく可愛いぞ」
「エリンがすっごく可愛い!? やったぁ! ダン、嬉しいよぉっ!」
変身前、正直不安はあった。
人間になるって、どんな事だろうと。
しかし、やはりダンを信じてよかった。
これで変な目で見られず、悪口も言われず堂々と王都を歩ける。
そしてダンから、「凄く可愛い」と褒めて貰えた。
エリンは喜びの余り、ダンに思い切り抱きついていたのであった。
変身の魔法の説明をする前に、『いちゃモード』へ入ってしまったふたり。
改めて、説明を受けたエリンは吃驚してしまう。
ダンの使う魔法は身長、体格、顔などの容姿は勿論、年齢や声までも自由に変えられるようだ。
どうやら、身体強化という補正魔法の応用形らしい。
半永久的に効果が継続し、術者以外は解く事が出来ない。
完璧な魔法に思えたが……元の寿命だけは変えられないと、ダンは言う。
エリンは、とてもがっかりした。
ダンに言われた、人間とエルフの寿命の差がいつも頭にあるからだ。
数十年経てば、ダンの寿命が尽き、永遠にお別れとなってしまう。
エリンは『覚悟』を決めているが、何か方法があってダンの寿命が伸ばせれば良いのにと考えていた。
自分と同じくらい生きる事が出来ればと、エリンは願っている。
いつか、何らかの方法を見つけるつもりだ。
ダンの言う通り、彼は神様とは違う。
そして万能ではないから、やはりダークエルフ達が言い伝えた『救世の勇者』でもない。
でも、ダンはダンだ。
エリンには、それで良い。
優しいダンが居れば良い。
ただ、それだけで満足なのだ。
説明も充分になされたので、いよいよエリンはダンの魔法で変身する。
未知の魔法で変身なんて……エリンはさすがに緊張する。
身体が強張る。
ガチガチだ。
「ははは、エリン、リラックスしろ。……深呼吸だ」
「う、うん……リラックスって落ち着けって事?」
「ああ、そうさ。それにすぐ終わる、痛くなんかないから安心しろ」
エリンは、気を紛らわせるために色々と考える。
ダンはまるで、ダークエルフの治癒士のようだと。
小さい頃に転んで怪我をした時、彼等も優しく言いながら直してくれた。
そういえば、ダンは治癒魔法も使えるんだ。
頼もしい!
しかし……とりあえず言われた通りにしなければ。
ダンと約束したから。
妻は夫に従うものだと、亡き父も教えてくれたから。
エリンは、ダンに言われた通り大きく深呼吸をした。
漸く落ち着いた。
やっぱりダンは凄い!
色々な事を知っている。
まるで先生だ。
エリンに微笑みが戻ったのを見て、ダンは椅子に座った彼女の前に立ち、言霊の詠唱を始めた。
高く低く、部屋にダンの声が響いている。
「ダークエルフの気高き王女エリンよ! 今ここに人として、仮初《かりそめ》の姿を出現させるものなり!」
ダンの双腕から、独特な魔力波が放出された。
魔力波に包まれたエリンは、一瞬気が遠くなり、思わず倒れそうになる。
「変化!」
ダンの口から『決め』の言霊が発せられると、エリンの身体が眩い白光に包まれる。
白光はエリンの全身を包み込み、並みの人間では正視出来ないくらいに眩しかった。
暫し経ち、やっと発光が収まると、エリンは自然と手を耳へやった。
驚くべき事に……
魔法はエリンを、見事に『変身』させていた!
手触りで分かる。
いつもの、耳の形と……違う。
尖っていない。
そして、少しだけ大きくなっている。
吃驚したエリンが慌ててダンを見ると、目の前に居る彼の手にはいつの間にか手鏡が握られていた。
「フィービーからたくさん服も貰ったし……今度、エリンの為に大きな姿見を買おう。まあ今日はこれで我慢してくれ」
「う、うん……」
エリンはダンから手鏡を受け取ると、恐る恐るという感じで中を覗き込んだ。
ダンの言った通りであった。
鏡の中のエリンは、いつもと全く違っていたのだ。
確かに顔立ちは変わっておらず、健康的なやや褐色がかった肌もいつものエリンと同じだ。
しかし髪の色は、薄い栗色。
驚いて大きく見開いた目に、輝く瞳はダークブラウン。
そっと髪をかき分けた中から現れたのは……やはり人間の耳であった。
「髪の色が違う! エリンの瞳も違う! 耳が!? ……ダンと一緒だよぉ!」
エリンが、大きな声で叫ぶ。
完璧な人間の超美少女が、そこには居た。
「ははは、似合うぞ、エリン。でもその組み合わせの人間はそこそこ居るんだ。綺麗だけど在り来たりなのさ」
「これでエリン……ダンと同じ人間になったの?」
エリンは、戸惑っている。
外見は、確かに変わった。
でもエリン自身は、変わったとは到底思えない。
そんなエリンの気持ちを、見抜いたようにダンは言う。
「ああ、外見だけはな。魂は全く変わっていないが……どうだい、感想は? まあエリンはどうやっても可愛いから全然問題なしだ……人間になってもすっごく可愛いぞ」
「エリンがすっごく可愛い!? やったぁ! ダン、嬉しいよぉっ!」
変身前、正直不安はあった。
人間になるって、どんな事だろうと。
しかし、やはりダンを信じてよかった。
これで変な目で見られず、悪口も言われず堂々と王都を歩ける。
そしてダンから、「凄く可愛い」と褒めて貰えた。
エリンは喜びの余り、ダンに思い切り抱きついていたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる