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第102話「ダンの想い、ニーナの想い」
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その夜……
ヴィリヤの屋敷に泊ったダン達夫婦3人は、あてがわれた部屋で添い寝をしている。
エリンは最初、思う存分『ラブエッチ』をしてヴィリヤに見せつけようと主張した。
宿敵ヴィリヤが、ダンからエッチして貰えない欲求不満の妄想に、悶え苦しんでいると言い放ったのだ。
さすがに、ダンとニーナは少々引いていた。
ダークエルフとは、ここまで地上のエルフに対して憎悪の感情を持っているのだと……
苦笑したダンは言う。
「エリン、ニーナ、さすがにこの屋敷でのエッチはやめとこう」
「え~、どうして? エリンは、い~っぱい愛して欲しい! ニーナだってたっぷりエッチして欲しいよね」
同意を求められたニーナではあるが、返しがぎこちない。
「ええっと……」
微妙な空気が流れる中、ダンは音声遮断の魔法を発動する。
今3人が居るのはヴィリヤ達、エルフの屋敷である。
ここからは大事な話をするので、内容が彼等の耳に入ってはいけない。
「エリン、少しはヴィリヤに歩み寄ってやれ」
敵のヴィリヤへ、歩み寄れ?
案の定、エリンは不機嫌そうな表情になる。
「え~、何で? ダンはエリンじゃなくて、ヴィリヤの味方なの?」
愛するダンが、ヴィリヤの味方?
このままで行くと、エリンの大いなる誤解となりそうだ
ダンはいきなり、エリンの大きなおっぱいを「ふわっ」と握る。
「違う! こらっ」
「きゃうっ」
愛するダンに、優しく胸を触られたエリンは夢心地だ。
というか、ダンならどのような愛撫でも凄く嬉しいのである。
「ぽうっ」としたエリンが見ると、ダンは優しく笑っていた。
「俺はな、いずれエリンが素顔で、そして笑顔で王都を堂々と歩けるようになれば良いなと願っている」
「え?」
「それは俺の夢だ。多分、そう簡単には行かないだろうけど」
ダンの、言う事は分かる。
エリン達ダークエルフは、地上で忌み嫌われているから。
ダンの夢の実現は、とてつもない困難を極めるだろう。
「う、うん……」
力ないエリンの返事を聞いたダンだが、言葉に籠めるトーンは落ちない。
「だけど俺は諦めない。実現への第一歩には理解者=キーマンがたくさん必要だ。前にも言ったけれど、王都の住民全員へ、個別にあたって説得するのは到底無理だからな」
「だよね……」
「でも多くの人々から信頼されるキーマンが、ダークエルフの呪いなど誤解だと言ってくれれば、実現への早道となる。そのキーマン候補が冒険者ギルドのマスター、ローランド様であり、ヴィリヤなんだ」
熱の入った言葉を聞いて、エリンもダンの以前の話を思い出す。
そう、ダンはエリンの為に一生懸命考えている。
「ローランド様は……エリンも大好きだよ。多分、ダークエルフと言ってもローランド様ならエリンを好きになってくれる。……でもヴィリヤは……」
エリンが口籠ったので、ダンが言葉を継いでやる。
「でも、ヴィリヤは?」
「大嫌いっ! だってエルフなんだもん、お父様がエルフは敵だって言っていたもん!」
首を「ぶんぶん」打ち振るエリン。
やはり、エルフに対しては生理的に嫌悪感があるらしい。
種族間の諍いは、そう簡単には解決出来ないだろう。
だが……
行動を起こさなければ何も変わらない。
ダンは、エリンに理解を示した上で、「そっ」と聞いてみる。
「そうだろうな、でも俺が責任を持つから、今回だけ試してみようか?」
「今回だけ?」
「うん、そうさ。まず言っておく。俺はお前とニーナの旦那であり、味方だ」
「だよねっ」
「ああ、お前達が大好きだし、一番大事さ。だからもしうまく行かなかったら、ヴィリヤとはもう二度と会わない」
「え?」
エリンも同様に驚いたが、別の疑問が湧いたようである。
「ね、ねぇ……何故、ダンはそんなにヴィリヤへ拘るの?」
「さっきの言葉を思い出して、誤解のないように聞けよ」
「う、うん」
「俺は暫くあいつと暮らしただろう? その時感じた……いろいろ問題もあるけど、ゲルダ共々あいつは……ヴィリヤは決して悪い子じゃない」
ダンの、言う事は分かる。
エリンには、はっきり分かるのだ。
今、エリンの中で占めているヴィリヤへの嫌悪感の正体が……
実は父から言われた『エルフ族への嫌悪』はあまりなく、ダンへ思いを寄せる『ヴィリヤへの嫉妬』が殆どなのである。
「…………」
「俺とも理解し合えたんだ。お前に出来ないわけがない」
「…………」
「あいつの俺への想いを抜きに、そしてエルフだというのを抜きに、正面から向き合ってみてくれ」
「え~っ、どっちも無理だよ~っ、無理、無理、無理~」
エリンは手を「ぶんぶん」振った。
これは、本音である。
簡単に切り替えなどは、不可能だから。
ダンは苦笑すると、妥協案を出す。
「じゃあ、無理でも良い。迷宮で暫く一緒に居れば良い。感情抜きで割り切ったクランメンバーとしてやりとりしてくれ」
「…………」
ここで手を挙げて発言を求めたのが、ニーナである。
「エリン姉、ダンさんの気持ち……私には分かります」
「え? ニーナ……」
「私、軽々しくは言えません。エリン姉達ダークエルフとエルフとの間には、私なんかには分からない、大変な事があるのでしょうから……だけど」
「だけど?」
「はい! ダンさんがエリン姉の為に一生懸命なのが分かるんです。だってエリン姉の事が大好きだから……すっごく羨ましい」
ニーナは、場を収めようとする気持ちがあるのだろう。
しかし、ここまで愛して貰って羨ましいというのが、ニーナの素直な本音なのである。
そんなニーナの気持ちは、エリンにも伝わったようだ。
「ニーナ……」
「うふふ、ニーナ、ちょっとだけジェラシーです」
「…………」
「あ~あ、エリン姉ったら良いなぁ……そんなに想って貰えて」
『夫』と『妹』からの、深い愛を感じ、エリンは思わず顔がほころぶ。
自分は、とっても大事にされていると。
家族の絆の素晴らしさを、「びんびん」体感している幸せに満ちるのだ。
「ダ~ンっ! ニーナっ! ありがとうっ、エリン、すっごく嬉しいよっ!」
大きな声で叫ぶエリンを見て、ダンもニーナも目を細める。
「エリン」
「エリン姉」
「うんっ! エリン、やってみるっ! ヴィリヤへ、がつんとやってみるよっ」
どうやら、エリンも吹っ切れたようだ。
それに失敗して元々。
ヴィリヤへのアプローチが駄目でも、エリンには愛する家族が居るのだから。
しかし「がつん」って……
一体エリンは、どのようにヴィリヤへ話すのだろうか?
「おいおい、がつんって……いきなり大喧嘩するなよっ」
「うふふ、エリン姉ったら」
「大丈夫! エリンのやり方でヴィリヤと真っ向勝負するっ!」
「……そうか、分かった。俺もいろいろフォローするからな」
明日、ダンとエリンは人喰いの迷宮へ旅立つ。
ニーナの兄が、行方不明になった迷宮だ。
少し不安を覚えながら、ニーナはふたりが絶対帰って来ると信じたい。
「ふたりとも気を付けて……絶対無理をしないでくださいね」
「「了解!」」
ダンとエリンの応える声が響き、王都の夜は更けて行ったのであった。
ヴィリヤの屋敷に泊ったダン達夫婦3人は、あてがわれた部屋で添い寝をしている。
エリンは最初、思う存分『ラブエッチ』をしてヴィリヤに見せつけようと主張した。
宿敵ヴィリヤが、ダンからエッチして貰えない欲求不満の妄想に、悶え苦しんでいると言い放ったのだ。
さすがに、ダンとニーナは少々引いていた。
ダークエルフとは、ここまで地上のエルフに対して憎悪の感情を持っているのだと……
苦笑したダンは言う。
「エリン、ニーナ、さすがにこの屋敷でのエッチはやめとこう」
「え~、どうして? エリンは、い~っぱい愛して欲しい! ニーナだってたっぷりエッチして欲しいよね」
同意を求められたニーナではあるが、返しがぎこちない。
「ええっと……」
微妙な空気が流れる中、ダンは音声遮断の魔法を発動する。
今3人が居るのはヴィリヤ達、エルフの屋敷である。
ここからは大事な話をするので、内容が彼等の耳に入ってはいけない。
「エリン、少しはヴィリヤに歩み寄ってやれ」
敵のヴィリヤへ、歩み寄れ?
案の定、エリンは不機嫌そうな表情になる。
「え~、何で? ダンはエリンじゃなくて、ヴィリヤの味方なの?」
愛するダンが、ヴィリヤの味方?
このままで行くと、エリンの大いなる誤解となりそうだ
ダンはいきなり、エリンの大きなおっぱいを「ふわっ」と握る。
「違う! こらっ」
「きゃうっ」
愛するダンに、優しく胸を触られたエリンは夢心地だ。
というか、ダンならどのような愛撫でも凄く嬉しいのである。
「ぽうっ」としたエリンが見ると、ダンは優しく笑っていた。
「俺はな、いずれエリンが素顔で、そして笑顔で王都を堂々と歩けるようになれば良いなと願っている」
「え?」
「それは俺の夢だ。多分、そう簡単には行かないだろうけど」
ダンの、言う事は分かる。
エリン達ダークエルフは、地上で忌み嫌われているから。
ダンの夢の実現は、とてつもない困難を極めるだろう。
「う、うん……」
力ないエリンの返事を聞いたダンだが、言葉に籠めるトーンは落ちない。
「だけど俺は諦めない。実現への第一歩には理解者=キーマンがたくさん必要だ。前にも言ったけれど、王都の住民全員へ、個別にあたって説得するのは到底無理だからな」
「だよね……」
「でも多くの人々から信頼されるキーマンが、ダークエルフの呪いなど誤解だと言ってくれれば、実現への早道となる。そのキーマン候補が冒険者ギルドのマスター、ローランド様であり、ヴィリヤなんだ」
熱の入った言葉を聞いて、エリンもダンの以前の話を思い出す。
そう、ダンはエリンの為に一生懸命考えている。
「ローランド様は……エリンも大好きだよ。多分、ダークエルフと言ってもローランド様ならエリンを好きになってくれる。……でもヴィリヤは……」
エリンが口籠ったので、ダンが言葉を継いでやる。
「でも、ヴィリヤは?」
「大嫌いっ! だってエルフなんだもん、お父様がエルフは敵だって言っていたもん!」
首を「ぶんぶん」打ち振るエリン。
やはり、エルフに対しては生理的に嫌悪感があるらしい。
種族間の諍いは、そう簡単には解決出来ないだろう。
だが……
行動を起こさなければ何も変わらない。
ダンは、エリンに理解を示した上で、「そっ」と聞いてみる。
「そうだろうな、でも俺が責任を持つから、今回だけ試してみようか?」
「今回だけ?」
「うん、そうさ。まず言っておく。俺はお前とニーナの旦那であり、味方だ」
「だよねっ」
「ああ、お前達が大好きだし、一番大事さ。だからもしうまく行かなかったら、ヴィリヤとはもう二度と会わない」
「え?」
エリンも同様に驚いたが、別の疑問が湧いたようである。
「ね、ねぇ……何故、ダンはそんなにヴィリヤへ拘るの?」
「さっきの言葉を思い出して、誤解のないように聞けよ」
「う、うん」
「俺は暫くあいつと暮らしただろう? その時感じた……いろいろ問題もあるけど、ゲルダ共々あいつは……ヴィリヤは決して悪い子じゃない」
ダンの、言う事は分かる。
エリンには、はっきり分かるのだ。
今、エリンの中で占めているヴィリヤへの嫌悪感の正体が……
実は父から言われた『エルフ族への嫌悪』はあまりなく、ダンへ思いを寄せる『ヴィリヤへの嫉妬』が殆どなのである。
「…………」
「俺とも理解し合えたんだ。お前に出来ないわけがない」
「…………」
「あいつの俺への想いを抜きに、そしてエルフだというのを抜きに、正面から向き合ってみてくれ」
「え~っ、どっちも無理だよ~っ、無理、無理、無理~」
エリンは手を「ぶんぶん」振った。
これは、本音である。
簡単に切り替えなどは、不可能だから。
ダンは苦笑すると、妥協案を出す。
「じゃあ、無理でも良い。迷宮で暫く一緒に居れば良い。感情抜きで割り切ったクランメンバーとしてやりとりしてくれ」
「…………」
ここで手を挙げて発言を求めたのが、ニーナである。
「エリン姉、ダンさんの気持ち……私には分かります」
「え? ニーナ……」
「私、軽々しくは言えません。エリン姉達ダークエルフとエルフとの間には、私なんかには分からない、大変な事があるのでしょうから……だけど」
「だけど?」
「はい! ダンさんがエリン姉の為に一生懸命なのが分かるんです。だってエリン姉の事が大好きだから……すっごく羨ましい」
ニーナは、場を収めようとする気持ちがあるのだろう。
しかし、ここまで愛して貰って羨ましいというのが、ニーナの素直な本音なのである。
そんなニーナの気持ちは、エリンにも伝わったようだ。
「ニーナ……」
「うふふ、ニーナ、ちょっとだけジェラシーです」
「…………」
「あ~あ、エリン姉ったら良いなぁ……そんなに想って貰えて」
『夫』と『妹』からの、深い愛を感じ、エリンは思わず顔がほころぶ。
自分は、とっても大事にされていると。
家族の絆の素晴らしさを、「びんびん」体感している幸せに満ちるのだ。
「ダ~ンっ! ニーナっ! ありがとうっ、エリン、すっごく嬉しいよっ!」
大きな声で叫ぶエリンを見て、ダンもニーナも目を細める。
「エリン」
「エリン姉」
「うんっ! エリン、やってみるっ! ヴィリヤへ、がつんとやってみるよっ」
どうやら、エリンも吹っ切れたようだ。
それに失敗して元々。
ヴィリヤへのアプローチが駄目でも、エリンには愛する家族が居るのだから。
しかし「がつん」って……
一体エリンは、どのようにヴィリヤへ話すのだろうか?
「おいおい、がつんって……いきなり大喧嘩するなよっ」
「うふふ、エリン姉ったら」
「大丈夫! エリンのやり方でヴィリヤと真っ向勝負するっ!」
「……そうか、分かった。俺もいろいろフォローするからな」
明日、ダンとエリンは人喰いの迷宮へ旅立つ。
ニーナの兄が、行方不明になった迷宮だ。
少し不安を覚えながら、ニーナはふたりが絶対帰って来ると信じたい。
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