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第116話「この最後通告を聞き、侯爵親子がどこまで本気か、 そしてどんな反応をするのか、探らなくてはいけない」
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「はい、クランメンバーの幸せを追求するのが、クランリーダーの務め。ひと肌脱ごうと思ったのですよ」
ローラン様はそう言うと、にっこり笑った。
そして、間を置かずに言い放つ。
「……という事で、私がブラントーム伯爵の下へ訪問し、推薦状を渡し、フェルナン・バシュレとオレリア・ブラントーム殿の婚約を内諾して貰った上、国王陛下と宰相閣下へ、保証人として婚約のご許可を頂いたという次第です」
言葉をはさむ余地を許さず、一気に告げたローラン様。
対して、アングラ―ド侯爵は力なく唸るしかない。
「うううう……」
「経緯は以上。アングラ―ド侯爵、私の話をご理解、ご納得して頂けたかな?」
「むうう……」
「貴方がブラントーム伯爵へ申し入れていたご子息とオレリア殿の見合い話は、当然、なかった事にして頂きましょう。宜しいですな?」
「うぐぐぐ……」
念押ししていた、ローラン様の口調がいきなり変わった。
表情も厳しくなっている。
「はっきり言いましょう、アングラ―ド侯爵」
「はっきり? な、な、何をでしょう? ローラン様」
「はい、私の手の者達が調べたところ、きっぱりと断られているのに、ご子息殿は何度も何度もオレリア殿につきまとっているとか……」
おお、ローラン様は、俺が勘働きで得た情報を既に探らせていたのか!
さすがだ!
ここからずっと、ローラン様のターンになりそうだ。
俺には分かる。
一方、アングラ―ド侯爵は言葉が出ないのか、無言になる。
「……………………」
「いけませんなあ、アングラ―ド侯爵。ご子息殿は上級貴族家の子弟、気品ある言動と誠意が求められる立場……」
「……………………」
「嫌がる女子に対し、未練がましく一方的に、つきまとうなど、20歳にもなる大人の男のふるまいではないですぞ」
ウジューヌを容赦なくたしなめるローラン様。
そのウジューヌは、ず~っとぐぬぬ状態。
父のアングラ―ド侯爵も唇を噛みしめている。
「……………………」
「今後、ご子息がオレリア殿に変な懸想をしないよう、暴挙に走らぬよう、お父上であるアングラ―ド侯爵には、しっかりと管理して頂きたい」
「……………………」
ここでローラン様が一枚の紙を出す。
「ここに取り交わしを記載した念書があります。間違い、行き違いが生じないよう、アングラ―ド侯爵には、念の為サインをして頂きましょう。
おお、言った言わないのトラブルを避ける為に、書面にするんだ。
さすがローラン様、スキがない。
話の仕方も見習わないと。
「……………………」
「念書には記載もありますが……念の為、申しておきますと、もしもご子息殿が暴走したり、侯爵家の威光で強権発動などしたら」
「……………………」
「社会的、そして金銭的に厳しい制裁を課します」
「……………………」
「私は容赦致しません。上級貴族家だろうが何だろうが、人の道に外れた者を容赦するなと、国王陛下と宰相閣下にもご了解を得ております」
にこやかな表情から一変!
厳しい顔つきと眼差しを向け、ローラン様はきっぱりと言い切っていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
威風堂々とした物言いで、アングラ―ド侯爵親子を追い込むローラン様。
冷静沈着に事を進め、正確な情報収集と合わせたロジックも万全。
一分の隙もない。
言葉は悪いが、「型にはめる」という言葉がぴったりだ。
しかし、こういうことわざもある。
窮鼠猫を嚙むだ。
追いつめられた鼠のように、追いつめられピンチに陥ると、
自分よりも強いものに反撃することを意味する言葉だ。
そういえば、どこかで聞いた事がある。
戦いにおいて、敵を囲んだ時……
攻め一方で完全に退路を断つのではなく、1か所、逃げ道を開けておくと。
そうすれば、敵は命を懸けて反撃する事をしない。
自分を捨てて、なりふり構わず向かって来ないのだと。
ローラン様は、そういう事もしっかりと認識していた。
「アングラ―ド侯爵」
「は、はいっ!」
「いきなりの話ですが、貴方の領地で、最近、魔物の害に困っている村がありましたね?」
「は?」
それまでは、ぐいぐいと追い込んでいたのに、
ローラン様から突然、話を変えられ、尋ねられた事に、アングラ―ド侯爵は戸惑う。
何故、知っているのかという感じで。
やはりローラン様、アングラ―ド侯爵家の綿密な調査を行っている。
「はっ、はい。ローラン様……あります。1週間ほど前、ゴブリンが大量発生していると連絡が入った村がありますよ」
「成る程。では、私の方でお受けしましょう。我がグランシャリオが、そのゴブリンどもを討伐します。勿論、お金は頂きますが」
「え? ローラン様が……本当にグランシャリオが引き受けてくださるので?」
「本当です。1週間以内に冒険者ギルドへ、指名依頼を入れてください。こちらの都合がつき次第、依頼申し込み後、1か月以内に対応させて頂きます」
補足しよう。
ゴブリンは下級の魔物。
大群になると脅威ではあるが、本来は、グランシャリオが引き受ける案件ではない。
そして指名依頼とは、受諾するクランを決め、案件を依頼する事。
ちなみに、内容が妥当か、冒険者ギルドの審査が入り、特殊なケース以外には、
クラン側が断る事も出来る。
成る程。
と俺は納得した。
攻めるだけでなく、敢えて退路を開ける事も必要。
または、飴と鞭に例えられるだろう。
ローラン様は、アングラ―ド侯爵家領の村を救う事で、
落としどころを提案したのだ。
凄く勉強になるなあと、俺は思い、気が付いた。
訓練場における研修は終わった。
けれどこれって……研修の一環ではないかと。
つらつら考える俺であったが、ハッと我へ返った。
いかん!
今、ローラン様はカードを切った。
いわば、アングラ―ド侯爵親子へ、最後通告をしたのだ。
この最後通告を聞き、侯爵親子がどこまで本気か、
そしてどんな反応をするのか、探らなくてはいけない。
それが俺が連れて来られた本来の役目。
俺は慌てて、何の気なしに張り巡らせていた勘働きスキルをMAX状態にして、
改めて探りを入れた。
まずはアングラ―ド侯爵……
ローラン様の言葉を受け入れたようである。
当然、喜んで!というわけでなく、仕方なくだが。
しかし、しかし!
息子のウジューヌは、やはり無敵の人だった。
ローラン様の話を聞き、憎悪を込めた目をぎらぎらさせ、
俺たち全員をにらみつけていたのである。
ローラン様はそう言うと、にっこり笑った。
そして、間を置かずに言い放つ。
「……という事で、私がブラントーム伯爵の下へ訪問し、推薦状を渡し、フェルナン・バシュレとオレリア・ブラントーム殿の婚約を内諾して貰った上、国王陛下と宰相閣下へ、保証人として婚約のご許可を頂いたという次第です」
言葉をはさむ余地を許さず、一気に告げたローラン様。
対して、アングラ―ド侯爵は力なく唸るしかない。
「うううう……」
「経緯は以上。アングラ―ド侯爵、私の話をご理解、ご納得して頂けたかな?」
「むうう……」
「貴方がブラントーム伯爵へ申し入れていたご子息とオレリア殿の見合い話は、当然、なかった事にして頂きましょう。宜しいですな?」
「うぐぐぐ……」
念押ししていた、ローラン様の口調がいきなり変わった。
表情も厳しくなっている。
「はっきり言いましょう、アングラ―ド侯爵」
「はっきり? な、な、何をでしょう? ローラン様」
「はい、私の手の者達が調べたところ、きっぱりと断られているのに、ご子息殿は何度も何度もオレリア殿につきまとっているとか……」
おお、ローラン様は、俺が勘働きで得た情報を既に探らせていたのか!
さすがだ!
ここからずっと、ローラン様のターンになりそうだ。
俺には分かる。
一方、アングラ―ド侯爵は言葉が出ないのか、無言になる。
「……………………」
「いけませんなあ、アングラ―ド侯爵。ご子息殿は上級貴族家の子弟、気品ある言動と誠意が求められる立場……」
「……………………」
「嫌がる女子に対し、未練がましく一方的に、つきまとうなど、20歳にもなる大人の男のふるまいではないですぞ」
ウジューヌを容赦なくたしなめるローラン様。
そのウジューヌは、ず~っとぐぬぬ状態。
父のアングラ―ド侯爵も唇を噛みしめている。
「……………………」
「今後、ご子息がオレリア殿に変な懸想をしないよう、暴挙に走らぬよう、お父上であるアングラ―ド侯爵には、しっかりと管理して頂きたい」
「……………………」
ここでローラン様が一枚の紙を出す。
「ここに取り交わしを記載した念書があります。間違い、行き違いが生じないよう、アングラ―ド侯爵には、念の為サインをして頂きましょう。
おお、言った言わないのトラブルを避ける為に、書面にするんだ。
さすがローラン様、スキがない。
話の仕方も見習わないと。
「……………………」
「念書には記載もありますが……念の為、申しておきますと、もしもご子息殿が暴走したり、侯爵家の威光で強権発動などしたら」
「……………………」
「社会的、そして金銭的に厳しい制裁を課します」
「……………………」
「私は容赦致しません。上級貴族家だろうが何だろうが、人の道に外れた者を容赦するなと、国王陛下と宰相閣下にもご了解を得ております」
にこやかな表情から一変!
厳しい顔つきと眼差しを向け、ローラン様はきっぱりと言い切っていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
威風堂々とした物言いで、アングラ―ド侯爵親子を追い込むローラン様。
冷静沈着に事を進め、正確な情報収集と合わせたロジックも万全。
一分の隙もない。
言葉は悪いが、「型にはめる」という言葉がぴったりだ。
しかし、こういうことわざもある。
窮鼠猫を嚙むだ。
追いつめられた鼠のように、追いつめられピンチに陥ると、
自分よりも強いものに反撃することを意味する言葉だ。
そういえば、どこかで聞いた事がある。
戦いにおいて、敵を囲んだ時……
攻め一方で完全に退路を断つのではなく、1か所、逃げ道を開けておくと。
そうすれば、敵は命を懸けて反撃する事をしない。
自分を捨てて、なりふり構わず向かって来ないのだと。
ローラン様は、そういう事もしっかりと認識していた。
「アングラ―ド侯爵」
「は、はいっ!」
「いきなりの話ですが、貴方の領地で、最近、魔物の害に困っている村がありましたね?」
「は?」
それまでは、ぐいぐいと追い込んでいたのに、
ローラン様から突然、話を変えられ、尋ねられた事に、アングラ―ド侯爵は戸惑う。
何故、知っているのかという感じで。
やはりローラン様、アングラ―ド侯爵家の綿密な調査を行っている。
「はっ、はい。ローラン様……あります。1週間ほど前、ゴブリンが大量発生していると連絡が入った村がありますよ」
「成る程。では、私の方でお受けしましょう。我がグランシャリオが、そのゴブリンどもを討伐します。勿論、お金は頂きますが」
「え? ローラン様が……本当にグランシャリオが引き受けてくださるので?」
「本当です。1週間以内に冒険者ギルドへ、指名依頼を入れてください。こちらの都合がつき次第、依頼申し込み後、1か月以内に対応させて頂きます」
補足しよう。
ゴブリンは下級の魔物。
大群になると脅威ではあるが、本来は、グランシャリオが引き受ける案件ではない。
そして指名依頼とは、受諾するクランを決め、案件を依頼する事。
ちなみに、内容が妥当か、冒険者ギルドの審査が入り、特殊なケース以外には、
クラン側が断る事も出来る。
成る程。
と俺は納得した。
攻めるだけでなく、敢えて退路を開ける事も必要。
または、飴と鞭に例えられるだろう。
ローラン様は、アングラ―ド侯爵家領の村を救う事で、
落としどころを提案したのだ。
凄く勉強になるなあと、俺は思い、気が付いた。
訓練場における研修は終わった。
けれどこれって……研修の一環ではないかと。
つらつら考える俺であったが、ハッと我へ返った。
いかん!
今、ローラン様はカードを切った。
いわば、アングラ―ド侯爵親子へ、最後通告をしたのだ。
この最後通告を聞き、侯爵親子がどこまで本気か、
そしてどんな反応をするのか、探らなくてはいけない。
それが俺が連れて来られた本来の役目。
俺は慌てて、何の気なしに張り巡らせていた勘働きスキルをMAX状態にして、
改めて探りを入れた。
まずはアングラ―ド侯爵……
ローラン様の言葉を受け入れたようである。
当然、喜んで!というわけでなく、仕方なくだが。
しかし、しかし!
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俺たち全員をにらみつけていたのである。
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