気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!

東導 号

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第100話「村民へ勇気を!②」

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村内でも……
得物を手にした守備役たる村民達の雄叫び、地面を踏みならす音が、
気合の波動と共に、オレリアへ伝わって来た。

村民全員が感じている。
今が勝負の時だと!
運命のターニングポイントなのだと!

ポミエ村存亡の危機が、すぐそこまで!
不気味な足音を響かせながら、迫っていると!

怯えていた村民達にも容易に想像出来る。
人喰いゴブリン達の怖ろしい脅威を。
群れをなし、数を頼んで襲い、全てを蹂躙じゅうりんする人外の恐ろしさを。
 
普段は農業に勤しむ彼等自身が、慣れない手つきで
斧や鎌を手にし、恐怖に耐え、必死に戦って村を守って来た……

本来ならば、領主とその配下である『戦う者』達が、
外敵を排除し、平穏な生活を守るのが課せられた務めである。
その為に村民は、汗水流し働き……
重き負荷となる税金を、自分達の生活を犠牲にしてまで領主へ納めている。

ピオニエ王国を含めた世界の各国は、その理《ことわり》により、
厳しい身分制度を成立させていた。
 
だが……
ポミエ村の領主は、今回その約束を反故にした。
 
戦う義務を全く果たさず、わずかな『はした金』を渡しただけで、
村民を見捨てたのだ。

その上……
日々襲って来るゴブリンどもは、
倒しても、倒しても、倒しても、倒しても……
一向に数が減らなかった。
 
それどころか!
逆に、どんどん数を増やし!
……雲霞《うんか》の如く村民へ襲いかかって来るのだ。

こうなると消耗戦となり……
1万体とも推定される圧倒的な群れのゴブリンどもに比べ、
数で劣る村民には、もう何人も犠牲者が出ていた。
 
衆寡敵《しゅうかてき》せず、力尽き倒れた者が、生きながら喰われる!
断末魔の叫び声が、誰の耳にも残っている……

もう駄目だ!
しまいだ!
村民全員が喰われ、殺される。
 
絶望感、無力感……
 
うちひしがれる村民達の前に、突如、冒険者ディーノが、そして彼の婚約者を称する荒ぶるステファニー、彼女に率いられた戦う女子冒険者達が現れた。
 
何の縁もゆかりも無き見ず知らずの自分達の為に……
年端も行かない少年と若き女子達が、身体を張って戦ってくれる。
 
それも村民達の加勢を一切断り、自分達たった6名のみで戦おうとしている。
人間を喰らいつくそうとする、ゴブリンどもの大群に立ち向かおうとしている。

そんなディーノ達の覚悟と心意気が……
 
領主から見捨てられ、人間不信寸前に陥った村民達の心へ……
生きる事に前向きとなる『熱いエネルギー』を送り込んだのである。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

時たま、遠くの森でケルベロス達の咆哮が聞こえる。
 
ディーノが装着した、魔法王ルイ・サレオンが所持したという究極の魔法指輪が、
凄まじい効力を発揮していた。

聴覚が異様に鋭くなったディーノの耳へ……
ケルベロス達に威嚇されたゴブリンどもの悲鳴が聞こえて来る。
合わせて、ゴブリンどもが逃げ惑う気配も伝わって来るのだ。
 
多分、ケルベロス達は周囲が無人なのを確認した上で『素』の本体に戻り、
ゴブリンどもを追い立てているのだろう。

念話でケルベロス達と相談した結果……
1回の戦闘につき、約100頭のゴブリンを追い込む。
 
加えて1回送り込んだら……
ディーノから念話で指示があるまで再び送り込まない。
 
そのような段取りとなっていた。

ディーノが伝えた事で、ステファニー達とも、その段取りを共有している。

やがて……
打合せ通りに、ケルベロス達に追われたゴブリンどもの第一弾が現れた。

ざっと見て数は100頭を少し超えたくらい……
打合せ通り、これならば、上出来だろう。

後はディーノ達が実際に戦い、臨機応変に対応して行くしかない。
 
ちなみに、新生クランの初陣ということもあり、
ステファニーは、実戦慣れしたロクサーヌに指揮を任せている。

という事で、ゴブリンの群れが見えたと同時に、ロクサーヌから指示が飛ぶ。

「タバサ! 奴らが後、5m近付いたら、炎弾を撃て! 落ち着いて群れの真ん中を狙うんだ」

「はいっ! 姉御っ!」

タバサの返事があると同時に、ロクサーヌは前方を見据えたまま、ステファニーへ指示を出す。

「ステファニー様! タバサの炎弾で奴らがひるんだタイミングに、私が盾となり突っ込み、支えます! 思う存分、戦ってください! 遠慮せず、何匹ぶち殺しても構いませんっ!」

「分かったあ!」

「ディーノ!」

「おう!」

「お前は『戦友達』との連携をとりながら、遊軍として私達の直後でフォローしろ。万が一、こちらで打ち漏らし、突破したゴブリンが居たら、容赦なく掃討しろ! 様子を見て、臨機応変にマドレーヌ達への援護も宜しく頼む!」

「了解!」

「ジョルジエット!」

「はい、姉御!」

「あんたは怪我人が出たら、すぐ治癒魔法を使って! 即、発動可能なようにスタンバって!」

「はいっ!」

「マドレーヌ!」

「はい!」

「あんたは後方支援のジョルジエットとタバサをしっかり守れっ! 物見やぐらのオレリアと連携して、敵の情勢もしっかり把握しときなっ!」

「わっかりましたっ!」

ロクサーヌからの指示が全て通った瞬間!

「ビナー、ゲブラー、……炎弾いっくよ~!!!」

指示通り、接近したゴブリンどもの群れめがけ、
タバサが言霊ことだまを詠唱。
異界から呼び出した、魔法の炎弾が、放たれたのであった。
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