気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!

東導 号

文字の大きさ
102 / 145

第102話「激戦②」

しおりを挟む
『バッカヤロォ!! 肝心な時にドジ踏みやがって!」

『わ、わりぃっ! 兄貴っ!』

ケルベロスの罵声と、オルトロスが素直に謝るやりとりが響いた。
どうやらオルトロスが、『勢子』の役目を上手く果たせなかったらしい。

と、なれば、新たな『ゴブどもの援軍』が続々来るって事だ!

瞬時に判断したディーノは納剣すると、思い切り大地を蹴り、
襲いかかるゴブリンどもの中で、未だ奮戦するステファニー達の下へ向かった。

ディーノが走った方向には投げ捨てられたロクサーヌの大剣があった。
素早く拾ったディーノは、そのまま振りかざし、ゴブリンの群れに突っ込む。

これまでのディーノなら、使うどころか、
持ちあげるだけでも難儀したほど巨大な剣である。
さすがに巨躯を誇るロクサーヌ愛用の剣、切れ味は抜群どころか、半端なかった。

無防備に背中をさらしていたゴブリンどもは、あっさりと「なます」のように切り刻まれる。

ディーノの圧倒的な強さを目の当たりにし、
ステファニーとロクサーヌも気合を入れ直し、周囲のゴブリンどもを全て倒した。

軽々と片手で大剣を掲げたディーノは、ステファニーとロクサーヌへ、
『勝利』をしっかりとアピールした。

「ふ、ディーノったら、さすが私が見込んだだけある! まあまあ、やるじゃない!」

満足そうに笑ったステファニー。
片や、悪い夢から覚めたという顔付きで

「な!?」

驚いたのは剣の持ち主ロクサーヌである。

「ディ、ディーノっ! ど、どうしてっ!? わ、私の剣を!?」

「はは、回収しておいたぞ、ロクサーヌ」

「な!!??」

「ステファニー様につられ、夢中になり過ぎたな。……戦いの中で戦いを忘れるなよ」 

ディーノはゴブリンの屍《しかばね》が折り重なる中をゆっくり歩いて行った。

呆然としているロクサーヌへ愛用の大剣を渡す。

「聞け、ロクサーヌ! 悪いが、俺の戦友が下手打《へたう》った。これから、想定以上のゴブリンが来る」

「想定以上だと!」

剣を受け取って、ロクサーヌはようやく『正気』に戻ったらしい。 

ここで、すかさずステファニーが胸を張る。

「ふっ、ノープロブレム! 全然平気!」

「ステファニー様!」

「ダメ夫《おっと》ディーノの致命的な失策を、しっかりとカバーするのが、『出来た妻』ステファニー様というものよ!」

「はあ? 俺がダメ夫《おっと》?」

「でしょ!」

「いやいや! 俺がステファニー様の夫とか、事実と全く違いますから」

「何で違うのよ! 聞いてないわ!」

「いやいやいや! 何度も何度も何度も! 違うと言ってますって! そもそも俺、ステファニー様とは絶対に結婚しません!」

「ダメ! 却下! そんなの無効! あんたの意思など関係ないって言ったでしょ! 第一、私から逃げられるわけない!」

「逃げられない? 何故ですか?」

「ゲームのラスボスからは絶対に逃げられないわ! 必ず回り込むから!」

「はあ、何ですか、それ? 全く意味が分からないですよ」

「分からないの、馬鹿ね! じゃあ私は大口を開けた蛇《へび》で、あんたは、にらまれて動けなくなったかえるよ。このたとえならよ~く分かるでしょ?」

「うっわ! 身体が硬直して、ぞくっとしました! 勘弁してください」

「はは、ダメ夫《おっと》に出来た妻ですか、本当にお似合いですよ、ステファニー様」

「サンキュ! ロクサーヌ!」

ロクサーヌは普通ならば、絶対に口にしない言葉を告げた。

「大器だ!」とたたえるステファニーに対し、
凡人とさげすむディーノが、「本当にお似合いだ!」などと。

だが……
ロクサーヌは遂に目の当たりにしたのだ。

ゴブリンの群れを瞬時に倒したディーノの俊敏さ、そして恐るべき実力を……

さすがに……認めざるをえない。

ステファニーの言う事はほぼ信じるロクサーヌではあったが……
ディーノの強さに関してだけは、過大評価の『単なるノロケ話』として信じてはいなかった。

ロクサーヌとは旧知の間柄である、
ギルドマスター、炎の飛燕ミルヴァ・ラハティの証言があったとしても。

主ステファニーの決めゼリフではないが、まさに『論より証拠』である。

と、ここでディーノが提案する。

「申しわけない、今回やらかした戦友のミスは俺の責任だ」

「へぇ、だから何?」と、ステファニー。

「どう責任を取ると言うのだ?」と、ロクサーヌ。

「今度は俺が盾役となる! だから、ふたりは少し下がってフォローしてくれ」

と、ディーノは前衛で戦う事を申し出たが……

「はあ? 嫌よ、あんたの後ろへ下がるなんて! 私の主義に反する!」

「でも、ステファニー様は少し疲れたんじゃないですか?」

「全然大丈夫! それにダメ夫《おっと》を見捨てて死なせたら、目覚めが悪い!」
 
と、ステファニーには断固拒否され……

「いや、俺ダメ夫《おっと》じゃないですし、死にませんから」

と返したが、更にロクサーヌからは、

「ディーノ、お前の実力は充分に分かった」

「はあ……」

「だが! 私はステファニー様から、片時たりとも離れる事は出来ないっ!」

と、きっぱりと断られてしまった。

そうこうしている間に……
街道には新手のゴブリンどもが現れた。

やはりオルトロスが失策したらしい。
数は……先ほどの倍、200体近いようだ。

少し離れた場所で、3人はそのような『やりとり』をしたのだが……
マドレーヌ達後衛組は、しっかりと結末を予想していたようだ。
3人が一緒に戦うという結末を……

ロクサーヌが「にやっ」と不敵に笑い、迫るゴブリンどもを指さし、
大きく手を打ち振った。
 
すると!
「待ってました!」とばかりに、 後方で待機していたタバサの炎弾が放たれ、
ちょうどゴブリンどもの『ど真ん中』でさく裂したのである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

処理中です...