気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!

東導 号

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第133話「幻の剣技を求めて」

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クリストフへ、元気よく礼を述べたディーノは、
笑顔で平静を装っていたが……
心の中ではどっと疲れ、安堵のため息を、大きくついていた

そんなこんなで……
ステファニー絡みの話が終了すると……
後はもう他愛のない話となった。

剛直な武人であるクリストフは、意外に話好きでもあった。
彼は、旧き友ルサージュ辺境伯から、ディーノ生い立ち等を話を聞いていたらしい。
 
また……
父が死に、少し前にルサージュ家を出された事も知っていた。

だからなのか、ステファニーとの結婚をきっぱり断っても、
ディーノに対してはおおむね好意的である。

「なあ、ディーノ、私はな、お前の父クレメンテとは数回会った事がある。とても気持ちの良い男だった」

「そうだったんですか」

「うむ、裏表のない誠実な男だった。だが、そのクレメンテの息子が既に父を超えた冒険者になろうとは思わなかった」

「え? 俺が父を超える? いやいや、まだまだですよ」

「いや、論より証拠。今回の戦いで、お前はもうランクBの器ではない事を証明した」

「俺が……もうランクBの器ではない……ですか?」

「うむ! 我が騎士隊に入らず、冒険者としてやって行くのであれば、更なる上を目指せ。お前ならランクSに届くやもしれぬ」

ランクS……雲の上の超上級ランカー
ディーノが「ぱっ」と思い浮かべるのは、
冒険者ギルド、マスターのミルヴァ・ラハティである。

「ランクS……ギルドマスター、アールヴのミルヴァ・ラハティさんみたいな……ですか?」

「うむ、私は、ミルヴァ・ラハティとは騎士隊長という職務上、普段いろいろとやりとりしている」

「へぇ、そうなんですか?」

「彼女とは、剣の鍛錬を通じ、しのぎを削るライバルというか、会えば皮肉を言い合う悪友という表現の方がピッタリ来るが……今回の件は、私からも良く話しておこう」

「え? 話すってどういう事ですか?」

「うむ、お前がかかわったこの事件は、ギルドからの正式な依頼を完遂したものではない」

「は、はい……まあ、そうですね」

「だが! 己の利害を全く考えず、難儀する人々を救った崇高な行為だと私は思っている」

「いえ、そんな大した事は……」

「いやいや大したものだよ」

「は、はい。ありがとうございます」

「まあ、あまり期待はしないで欲しいが……私の口利きがあれば、お前のランクアップに少しは反映されるはずだ」

「感謝致します」

やはり、情けは人の為ならずだ。

クリストフの言う通り、ポミエ村の一件はギルドの依頼ではなく、
ギルドのランクアップとは一切関係がない。

但し、例外はあり、最終決定はギルドマスターの判断によるところが大きいと、
亡き父から聞いた事がある。

「ディーノ、お前が使う魔法剣同様、ミルヴァ・ラハティの使う炎の飛燕ひえんも凄まじい魔法剣だ。私は、一回だけ彼女が炎の飛燕を使うのを見た事がある」

「凄まじい魔法剣……それが炎の飛燕……ですか」

「うむ! 凄かった! まるで目の前に、伝説の不死鳥フェニックスが出現したようだった」

「伝説の不死鳥……」

「しかし残念ながら、私はミルヴァやお前と違って、魔法を使えぬ。魔法剣を会得する事は不可能だ」

「…………」

「それゆえ、魔法剣の代わりに剣技の神髄を極めるべく、日々鍛錬し、最終的には剣聖を目指している」

クリストフの言う剣聖とは……
剣技の達人なのは勿論、奥義を極める存在をそう呼ぶ。

この世界では、東方の剣士を特に『サムライマスター』とも呼ぶ。

「剣聖? 凄いですね、それ」

「ああ、でも言うは易く行うは難し。剣聖への道は遥かに遠い」

「成る程……」

「これは、はかない夢なのだが……」

「はかない……夢」

「おう! もしも叶うのなら……我がピオニエ王国から遥か東方……ヤマト皇国のリシン流をぜひ学びたい! 幼かった子供の頃から憧れている」

「リ、リシン流? 聞いた事がない流派ですね?」

「ああ、知る人ぞ知る究極の剣技さ。わずかな文献が古文書にはあった。リシン流最後の後継者、ヤマト皇国の天才剣士、サムライマスターのオキタ……彼の死と共に絶えてしまったと伝えられる幻の剣技なのだ」

「幻の……剣技……確かに憧れますね」

「おお、ディーノ! お前にも分かるか?」

「はい!」

「ああ、一度でも良い! オキタが使う無敵の三段突きを学んでみたかった!」

こうして……
ディーノと、クリストフ、帰還の車中は大いに盛り上がったのである。
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